新宿区

地名=大学名、学生街『早稲田』

「REISM エリア分析レポート」は、毎月1つの駅を取り上げ、交通アクセス、商業施設、人口など様々な視点から分析し、そのエリアの特長をレポートしています。

「早稲田」エリアの特徴

  • ターミナル駅「新宿」「池袋」に近く、加えて「渋谷」にも行きやすいアクセスのよさ
  • 情緒ある学生街ゆえの生活利便性の高さ
  • 学生、社会人ともに単身者世帯の賃貸需要が高いエリア

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早稲田大学の中でもランドマークとなっている大隈講堂

 

早稲田大学をはじめ大学・専門学校が多い学生街

「高田馬場」・「早稲田」の2つの街で構成されている早稲田エリアは、地
名ともなっている早稲田大学をはじめ、学習院、学習院女子大学や早稲
田医療専門学校、国際ホテル専門学校など多くの教育機関揃う都内でも
有数のエリア。そのため、早稲田には多くの学生専用のマンションやア
パートが立ち並び、昼・夜問わず、たくさんの学生がいるエリアです。
昔ながらの商店街には多くの古本屋や低価格の定食屋、大手飲食チェー
ン店などが充実していることから生活の便がよく、多くの学生の生活を
支えています。また、JRと地下鉄が利用でき、新宿や池袋にも近いた
め、交通の便にも優れたエリアです。

また、「早稲田」・「高田馬場」は、都内でも有数のラーメン激戦区でもあ
り、お目手当のラーメンを求めて、遠方から食べにくる人々も多く、街に
人を呼び込むための魅力あるコンテンツをもったエリアと言えます。

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安くて美味しい定食屋が充実

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神保町に次ぐ古書店街も

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都内では珍しい路面電車の都電荒川線

文化的情緒の残る、親しみのある街

早稲田大学のキャンパスが2009年の整備事業により一部新しくなり、近年は、地元に根付いた昔ながらのお店だけでなく、時代と共に新しいお店も増
え、街としての新陳代謝があります。しかし、ただ綺麗になっていくだけではなく、大学や街自体がもつ歴史や文化や昔から住民を支えてきた路面電車
(都電荒川線)など、現代においても街全体に懐かしさ=親しみが変わらず下地としてあることが、ほかの街にはない特長であり強みといえそうです。

新宿と池袋に挟まれた地の利と複数路線の利用でアクセス良好!

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「早稲田」周辺エリアには、いくつかの駅・路線が通っています。
それぞれの路線を見ていくと、東京メトロ東西線は「飯田橋」「大
手町」「日本橋」へ、副都心線は「池袋」「渋谷」を結び、山手線はさ
らに都内の主要駅へ乗り換え無しでアクセスできるため、非常
に利便性のよいエリアとなっています。
また、都電荒川線は「早稲田」を始発に荒川区の「三ノ輪橋」まで、
「大塚」「王子」「町屋」といった城北エリアを横に結ぶ交通手段と
して、地元住民に愛用されており、レトロな雰囲気もあって、利
用者をはじめ鉄道ファンなどにも親しまれています。
住む場所によって最寄り駅は変わりますが、「高田馬場」と「早稲
田」を結ぶ周辺エリアであれば、徒歩圏内で少なくとも2路線は
利用でき、「新宿」と「池袋」の間に挟まれた地の利とともに、とて
も交通の便がよいことがわかります。

「早稲田」駅周辺の賃貸市場

「早稲田」駅周辺の賃貸物件データを収集し分析したところ、平米賃料単価をみてみると、23区全体のデータと比べて「早稲田」駅の平均価格は高く、
標準偏差(ばらつき)が小さいことから、価格のふれ幅は23区に比べて少ないことがわかります。また、本エリアに近いターミナル駅・新宿と比較する
と、賃料相場では平米当たり約300円(20㎡で約6,000円)の差があるものの、23区と比べると、どちらも高い水準であることがわかります。重回帰
分析による、築年数に対する平米賃料の減価傾向を築10年~30年の物件データに絞り込み分析したところ、23区平均の-1.5%と比べて、「早稲田」は
-1.2%と、築年数が古くなっても賃料は下がりにくいエリアであることがわかります。

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※賃料単価は中央値であり、平米数を乗算した価格が必ずしも相場と一致するものではありません。
※データは16 ㎡以上30 ㎡未満の物件から算出しています。

新宿区と早稲田周辺の居住者の特長

 

人口のうち単身世帯の割合をみると、東京都全体で45.71%に対し、新宿区は62.35%と割合として比較的高いことがわかります。対象エリ
アとなる高田馬場(1~4丁目)、西早稲田・戸山・原町(1~3丁目)などの調査資料から単身世帯の割合をみてみると、区全体に近い62.81%と
なっており、早稲田周辺エリアは一人暮らしの方が多いということがわかります。また、対象エリア内の居住者の年齢構成をみると、20~
39歳の割合が36.2%と最も高く、40歳未満が約半数を占めています。学生向けのマンション・アパートも多いことから、比較的若い世代の
割合が多い傾向となっています。

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販売・管理物件の入居者傾向(2012年3月現在)

都内の好立地の中古マンションを投資向けに販売し、賃貸管理を行っています。「早稲田」エリアでも、駅周辺の投資用賃貸マンションの販売・管理物件があり、リノベーション実績
もあります。

実際に住んでいる方々の傾向をみると、年齢は前項の居住者傾向で最も割合が高かった20~
39歳が約8割を占め、約半数の方が周辺の大学・専門学校に通う学生、ほか周辺の企業に勤めて
いる方が入居されています。住まいから通勤・通学距離の近い方が多い傾向がみられます。

空き家率が低下している新宿区

住宅・土地統計調査「借家数の変化」によると、平成15年から5年の間に23区全体で約14万6千戸の賃貸物件が増え、「空き家の変化」によると空き家も5年の間で全体的に増えています。新宿区と隣接する5区をみると、各区によって借家数や空き家率の増減にばらつきがありますが、新宿区をみると、借家数が上昇しているのに対して空き家数が減少していることが分かります。つまり供給以上に需要があることがデータからは読み取れます。他の区と比べて総数も多く、高いニーズがある点はマンション経営を行う上でともて好ましいエリアであると考えられます。

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エリア別に貸家の住宅着工数を見ると、東京都と23区の各年の増減は相
関していることをグラフから読み取ることができます。新宿区の供給傾向も東京都や23区の増減と似たような動きを見せています。2010年の数値は公表資料が無いため予測となりますが、全体的な傾向として、2005年と2008年で比較的多く着工している一方、東京都と23区ともに2009年、2010年と連続して過去10年間での最小着工数であることから、新宿区の供給も2010年は比較的低い状況であると予測できます。
供給が増えて、需要がそれ以上に伸びている新宿区の需給バランスを見
ると、人気物件は希少価値が高くなり、空室や家賃下落リスクは低くなる
ことが期待できます。収益性という点でも魅力的なエリアといえますが、
同じ情勢が続くかどうか、変化した場合にどう対応するかが将来の課題
といえます。

《まとめ》

 

「早稲田」「高田馬場」は、周辺に大学が多く、学生街として飲食店などが充実していることから大学生・社会人どちらにも賃貸需要の高い、都内でも希
少なエリアです。さらに都心への交通の便がよいのも大きなポイントのひとつです。新宿区では、中心となっている「新宿駅」周辺の再開発をはじめ、
同区内の他のエリアでも街づくりの取り組みが活発に計画されています。今回対象となっている「早稲田」周辺エリアで注目なのは、「高田馬場」駅南
側に住宅・オフィスが集まる、現在建設中の45階建ての高層ビルの計画です。山手線沿いにあるJR東日本の社宅跡地22,200㎡に地上45階建ての高
層ビルなど4棟を建設する予定で、2013年の完成を目指しています。 22,200㎡の敷地のうち、およそ半分にあたる11,500㎡は空地として確保し、
木などを植えるほか、周辺の住民が防災時に避難できる広場などとして整備する方針とのことで、「高田馬場」駅周辺をはじめとするエリアの活性化
も今後期待できそうです。

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