リノベーション

不動産投資でリノベーションを活用すると成功する確率が飛躍的に高くなる理由

日本では昔から新築物件が好まれてきました。新しいものがよいもので、古いものはそれに劣るという思想があるため、それが不動産にも反映してきました。「築年数」にこだわる人が多いことや、「築浅」が好まれるのも、こういった国民性によるところが大きいでしょう。

ただこの傾向は世界的に見ると珍しく、欧米では中古物件を適切にメンテナンスして使い続けることが一般的です。近年は日本でも新築物件の高さやリノベーション技術の向上から新築へのこだわりが薄れて「リノベーション物件なら中古でも構わない」という人が増えてきました。

そこで本記事では、不動産投資として中古物件をリノベーションして貸し出すことの魅力やリノベーションでどこまで変化するものなのかを見ていきたいと思います。投資家目線で見ると、中古物件には大きな魅力があることがおわかりいただけるでしょう。

リノベーションで物件はどこまで生まれ変わるのか?

1.不動産投資におけるリノベーションの有効性

中古でも構わないと考える人が多くなったとはいえ、単に古いままの物件が好まれているわけではありません。中古物件であっても住みたくなるような価値が再生されていることが重要で、それを実現するのがリノベーションです。

不動産の世界には、古い建物ほど立地に恵まれたものが多いという「定説」があります。立地条件のよい土地は投資価値が高いのでマンションなどの建物が建ちやすいですが、すでに建物がある場所に新築することはできません。

後から建つ建物は残された土地しか選択肢がないため、条件に恵まれた土地を選びやすかった時期に建てられたマンションなどの建物には好立地のものが多く見られます。

しかし築年数が古い建物はそのままだと集客力に欠けます。リノベーションによって付加価値を高めれば、「好立地で洗練されたマンション物件」を生み出すことができるわけです。

1-1.マンションの躯体の寿命はかなり長い

そもそも中古物件よりも新築物件が好まれる理由は何でしょうか。「知らない人が使ったものは嫌だ」という人間の感覚や時代遅れとなった設備・デザインの古さなどいくつか挙げられます。

しかし、最大の理由は新築のほうが中古よりも建物の寿命が長いということでしょう。利用できる期間が長い新築が中古物件よりも価値があるのは、ある意味、当然です。

ただし、鉄筋コンクリート造のマンション寿命は非常に長く、適切なメンテナンスを行えば「120~150年は活用できる」ともいわれています。

減価償却費を経費として計上できる年数を法定耐用年数といいますが、鉄筋コンクリート造の建物は耐用年数が47年です。税務上の耐用年数が47年と定められているものの、だからといってマンションが47年を経過した翌年からいきなり住めなくなるわけではありません。

つまり中古物件の価格は新築物件よりかなり安くなるのに、耐用年数は値段ほどの差が開きません。そのため「中古物件はお得」といわれるのです。

しかし、鉄筋コンクリート造のマンションは建物自体の寿命が長いとはいっても、水道管などの設備や外壁塗装、屋上防水などは、十数年おきに大規模な修繕を施さなければなりません。修繕のためにはマンション管理組合が長期的な計画のもと修繕費用をきちんと積み立てていくことも必要です。

中古マンション購入の際には、建物という「ハード面」だけではなく管理組合などの「ソフト面」にも注目する必要があります。管理組合の活動がこれからスタートする新築物件よりもすでに管理組合が管理をしている中古物件は、判断しやすいといえるでしょう。

マンションの躯体の寿命はかなり長い

1-2.リノベーションはどこまで機能するのか

不動産投資は物件を買って終わりではありません。物件を貸し出して家賃収入を得ることで初めて成立するものです。入居者にとって物件選びでは、築年数や設備が重要な判断材料となります。そのため新築物件が有利になるケースが多いのです。ただ中古物件のハンディキャップを埋めるための方法があります。それがリノベーションです。

「リノベーションという言葉は聞いたことがあるけれどリフォームとの違いが分からない」という人もいるでしょう。リフォームとは、物件を新築時の状態に戻すための「原状回復行為」です。

一方のリノベーションは、間取りや内装を大幅に変更したうえで最新設備を導入するなど、古くなった中古物件を現在のトレンドも考慮し付加価値を加えたうえで新築以上の状態に生まれ変わらせる行為です。適切なリノベーションが行うことで内装や住み心地は新築物件に引けをとらない物件になるでしょう。建物の骨組み以外をすべて改修してしまうフルリノベーションという工事もあります。

先ほども述べたように、古いマンションのなかには好立地の物件が少なからずあります。マンションは立地条件によって集客力が決まるといってもよいほど多くの入居者は立地や利便性を重視します。たとえ古くなってしまった内装のマンションであっても、フルリノベーションで価値を再生することができれば新築マンションよりも高い集客力が期待できます。

ただ自由に設計ができる新築工事の場合とは異なり、リノベーションの工事は配管や柱など既存の建物の規制を受けるため「どこまで変更できるか」はリノベーションが得意な不動産会社や専門家の判断が必要になります。

2.不動産投資におけるリノベーションのメリット

リノベーションを活用した不動産投資の魅力についてここまで解説してきましたが、具体的にどんなメリットがあるのかを整理しました。3つの項目でリノベーションのメリットをお伝えします。

2-1.高い費用対効果が期待できる

不動産投資は事業なので、費用対効果(コストパフォーマンス)がとても重要です。投資した金額に対してどれだけの利益が得られるかについては常にシビアである必要があります。ここで知っておきたいのが、新築マンションとの比較でよく用いられる「新築プレミアム」です。

中古マンションは市場価格で売買されているので、価格の妥当性があります。築年数が古い、立地条件がよくないなどマイナス要因があればその分価格も安くなり、相場どおりの市場価格で購入すれば、高値で掴んでしまうことはありません。

一方で新築マンションはまだ市場に流通していないため市場価格ではなく、マンションディベロッパーが売りたいと思う価格で販売されます。新築マンションの販売価格にはマンションの建設費用や広告宣伝費などが上乗せされており、市場価格とはギャップがあります。このギャップのことを、「新築プレミアム」といいます。

新築で購入したばかりの物件をすぐに売りに出すと市場価格になるため、新築価格では売れません。「新築プレミアム」の分を差し引いた金額が市場価格なので、新築物件でマンション投資をすると費用対効果が低くなってしまいます。

中古マンションをリノベーションしても新築物件ほどの価格になることはないので、少ない費用で高い集客力を実現することができます。

2-2.物件・エリアの選択肢が一気に増える

中古マンション市場はとても大きく、公益財団法人東日本不動産流通機構が発表したデータによると2020年の首都圏における中古マンション成約件数は3万5,000件台 です。1年を365日とすると、単純計算でも1日に100戸近い戸数の中古マンションが売買されていることになります。

同年に首都圏で販売された新築マンションの戸数は2万7,228戸 であることを考えると、中古市場がいかに大きく、なおかつ活発に物件が流通しているかがおわかりいただけると思います。

流通している物件数が多いということは、それだけ選択肢が多いことを意味します。物件の種類やエリアなどの選択肢が多いので、不動産投資を始めようと考えている人の意向や事情を反映しやすくなります。

2-3.若者・単身世帯から常に人気がある

マンション投資のなかでもリノベーションをする有効性が高いのは、ワンルームマンションです。なぜなら、今後東京などマンション投資の好適地である大都市圏では単身者世帯が増加するのが必至だからです。以下は、東京都がまとめた一世帯当たり人員の推移グラフです。

東京都 「東京都世帯数の予測」の概要

出典:東京都 「東京都世帯数の予測」の概要」

注目したいのは、紫色の線で示されている1世帯当たり人員です。すでに2015年時点で2を下回っており、世帯当たりの人員が減少つまり単身者世帯の増加が進んでいることが見て取れます。しかもこのグラフは右肩下がりになっており、今後東京では単身者世帯がさらに増加していく傾向です。

ワンルームマンション投資はこうした単身者世帯をマーケットとするため、今後に向けて有望であるといえます。

3.投資用中古マンションを選ぶ時のポイント

不動産投資で成功するためには、投資家目線が必要です。自分が住むのではなく投資用として中古マンションを購入するのにあたって、選び方のポイントとしてどんなところに注目するべきなのでしょうか。

重要なのは、今後に向けて需要が落ち込まないことと、いくら中古といっても古ければ何でもよいわけではないという2点です。

3-1.需要が長期間見込めるエリアの物件を選択する

不動産投資は長期投資なので、今だけでなく将来に向けて需要が維持されるかどうかが成否を分けます。それでは将来に向けて需要が維持される物件というのは、どんな物件なのでしょうか。

それを決める最大の要素は、立地条件です。建物は時間が経つと劣化しますし資産価値も緩やかに低下していきますが、土地が劣化することはありません。立地条件は外的要因なので、以下の点をチェックリストとして活用し、将来に向けて需要が維持されるかどうかを精査してください。

  • 最寄り駅から徒歩10分以内
  • その最寄り駅が急行、特急などの停車駅である
  • 近隣にスーパーやコンビニエンスストアなどが揃っている
  • 近隣に公園や学校などがあって環境が良好である
  • 近隣にいわゆる迷惑施設がない

これらの要件を満たしている中古マンションは長期にわたって需要が維持される可能性が高いと考えられます。

その一方で注意したいのが、「特定の需要施設に依存している物件」です。近隣に大手企業の工場や大学などがあって、その施設があるがゆえの需要に支えられているような物件は、その需要を喚起している施設がなくなってしまうと一気に需要がなくなってしまう恐れがあります。

例えば、大学のキャンパスが郊外から都心に回帰する傾向 があります。大学の魅力づくりの一環で郊外のキャンパスから利便性の高い都心にキャンパスを移転する動きが加速していますが、この流れが加速すると郊外のキャンパス周辺にあるアパートやマンションがどうなるかは、容易に想像がつくと思います。

このように特定の要因だけに依存するのではなく、複合的な要因で需要が維持されるエリアを選ぶのはとても重要なポイントです。

3-2.あまりにも古すぎる物件は除外する

新築よりも中古マンションのほうが、費用対効果が高く成功する確率も高いとはいっても、古ければ何でもよいわけではありません。特に注意したいのが、「あまりにも古すぎる物件」です。

先ほども述べたように、多くのマンションが該当する鉄筋コンクリート造の建物は法定耐用年数が47年です。リノベーションをしているからといって物件の築年数まで若返るわけではないので、物件情報の築年数は確実に加齢していきます。あまりにも古い物件だと入居者から敬遠される可能性が高くなり、その1つの目安が税務上の耐用年数である47年です。

法定耐用年数は銀行融資の期間にも影響を及ぼすため、あまりにも古い物件だと十分な融資期間が得られない可能性があります。融資期間が短くなると毎月の返済額が大きくなるため、キャッシュフローの悪化につながります。資金計画の観点からも、法定耐用年数に近づいている、超過しているような古すぎる物件は選択肢から除外しましょう。

4.リノベーションに強い不動産会社を選択

本記事では、中古マンションの寿命やリノベーションについて考えてきました。不動産投資の観点からは、比較的築年数が浅く割安な中古物件を購入して適切なリノベーションを行い賃貸に出すのがおすすめです。本文中で述べているように古ければ何でもよいわけではなく、適切な築年数でなおかつ割安であることが集客力、資金計画などの面からも重要です。

住み心地の良いリノベーション物件は、高めの家賃設定が可能になるので利回りも十分に期待できます。それでいて新築よりも割安なので、費用対効果も抜群です。

ただし、中古物件購入とリノベーションについては、「管理組合が機能しているのか」「どのようなリノベーションが可能なのか」について詳細に確認する必要があります。

これらを自分自身だけで行うのは非常に困難でしょう。その際はリノベーションに強い不動産会社の力を借りるのが最善です。またリノベーション済みの物件を多数用意している不動産会社もあります。中古物件を購入して自分でリノベーションするよりも手軽にリノベーション物件の良いところを享受できるでしょう。

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