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不動産投資
物件管理で不動産投資の成否は決まる!?賃貸管理の種類と成功の鉄則
不動産投資では所有している物件の日常的な管理が必要です。物件の設備や機能などを維持するハード面の管理と、入居者への対応や家賃の回収といったソフト面の管理に大きく分けられ、この2つの管理を「物件管理」もしくは「賃貸管理」と言います。
また、管理会社に委託する管理と自分で管理業務を担当する自主管理という選択肢もあって、この両者には一長一短があります。
本記事では、不動産投資ではとても重要な業務である物件管理(賃貸管理)について、その内容や管理会社による管理と自主管理の違いについても解説します。

1.物件管理(賃貸管理)とは
物件管理(賃貸管理)とは、所有している投資用不動産を管理する業務全般のことです。そのため、物件管理とは別に賃貸管理と呼ばれることもあります。
賃貸経営には、さまざまな業務が含まれています。前述のとおり、ハード面とソフト面の業務に大別されますが、それぞれには細かいタスクが多岐にわたります。
不動産投資は物件を購入したら終わりではなく、そこから賃貸経営が始まります。良好な賃貸経営環境を維持していくためには、適切な物件管理が必要になります。
2.物件管理(賃貸管理)の業務内容
不動産投資で利益を上げるためには、入居者が必要です。その入居者を募集するのも物件管理の業務に含まれます。その際、インターネットの活用と不動産会社との連携が必要不可欠です。時間の許すかぎり不動産会社を回り、自分の物件について詳しく説明してください。そうすることで不動産会社の方々に印象づけられれば、入居希望者に紹介してもらいやすくなるでしょう。

多くの人たちがインターネットを活用して賃貸物件を探しています。ポータルサイトへの掲載には力を注ぎましょう。また、外観や部屋の中の写真はできるかぎり見栄えの良いものをたくさん掲載しましょう。
こうした努力の結果、せっかく入居者が見つかっても早々に退去されてしまっては悩みの種は尽きません。退去後、すぐに入居募集をしなければならず、募集広告の費用がかかったり、空室で家賃収入が減ったりするため、キャッシュフローの悪化が懸念されます。効率が一番良いのは、入居してくれた人が、ずっと住み続けてくれることです。そのためには、物件の維持管理が大切になります。
入居者が嫌がるのは、設備の問題と住人同士のトラブルです。その両方に素早くきちんと対応することも重要です。設備に対する不満は、予算的に対処できない場合もあるかもしれません。水まわりや電気面のトラブルは極力起こらないよう、入居者が入れ替わるタイミングで確認しておきましょう。共用部分などもこまめに清掃を行い、気持ちの良い住環境を提供するようにしてください。
なお、入居者同士のトラブルは面倒に感じるかもしれませんが、放置せずに入居者が不満を抱かないように心がけましょう。また、入居前の段階で「問題を起こしそうな方を入居させない」ということも、こうしたトラブルを防ぐうえで大切なことです。そのためには入居審査をおろそかにせず、きちんと相手を観察し、判断しなければなりません。
物件管理に含まれる業務を簡単に挙げただけでも、こんなに多くの業務があります。こんなことが自分にできるのかと思うかもしれませんが、こうした業務のほとんどは外部に委託することができます。このことについては、後述します。
2-1.建物に関する対応
建物に関する管理業務は、先ほど述べたハード面に分類されます。主な業務を挙げてみると、以下のようになります。
- 建物の維持、メンテナンス
- 設備の維持、メンテナンス
- 清掃
- 長期修繕計画の策定と実行
これらはいずれも、不動産という「箱」に関するものです。快適に住める状態を維持することによって入居者の満足度を高め、気持ちよく住んでもらうために欠かせない業務ともいえます。住宅としての快適性を確保することはもちろん、消防設備や水道設備、エレベーターなど法律で点検や機能の維持が義務づけられている箇所もあります。
不動産のオーナーは物件の状態を常に把握し、維持に必要な修繕やメンテナンス、清掃などを行う必要があります。
2-2.入居者に関する対応
入居者に関する対応は、先ほど述べたソフト面の管理業務です。ソフト面の業務は大半が入居者に対するものです。
- 入居者の募集業務
- 家賃の回収、滞納時の督促
- クレーム対応
- 入居者同士のトラブル対応
相手が「人」なので、営業的な業務も含まれます。募集業務については不動産会社に依頼するケースが多いため物件オーナーが直接行うことは少ないですが、それ以外の家賃に関する業務やクレーム、トラブルなどに関する業務は必要に応じて行うことになります。
不動産投資は「人」が相手のビジネスだけに、こうした対応もしっかり行うことが空室リスクの軽減につながります。
3.物件管理(賃貸管理)の方法は2種類
所有している不動産の物件管理には、主に2つの方法があります。先ほど「管理業務は外部委託ができる」と述べたように、外部に委託する方法と自分自身で管理をする方法に分けられます。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、これから不動産投資を始める人はそれぞれの特性を理解してから選ぶのがよいでしょう。
3-1.委託管理
不動産の管理を専門的に行っている会社に委託するのが、委託管理です。賃貸マンションや賃貸アパートの前を通ると、エントランス付近に不動産会社や管理会社と思われる張り紙や看板が設置されている風景を見たことはないでしょうか。これらの多くは、そのマンションやアパートを管理している管理会社です。
【委託管理のメリット】
委託管理によって考えられるメリットは、主に4つあります。
手間いらず
管理会社は物件管理のほとんどの業務をカバーしているため、物件オーナーの時間的な負担や労力が大幅に軽減されます。
精神的な負担が少ない
ソフト面の管理業務には、滞納家賃の督促やクレーム対応なども含まれます。これらの業務は精神的な負担が大きく、性格上不向きな人も少なくありません。こうした業務を任せられることは、精神的なメリットも大きいでしょう。
専門家による対応が期待できる
管理会社の担当者は、管理のプロです。ハード面、ソフト面の両方において専門的な対応が期待できるため、賃貸経営の質が向上します。
負担軽減によって投資規模の拡大ができる
時間的、肉体的な負担を軽減することにより、物件オーナーはより多くの不動産を所有・経営できるようになります。遠隔地にある物件の経営も視野に入るため、不動産投資の規模拡大が可能になります。
【委託管理のデメリット】
委託管理で考えられるデメリットについても見てみましょう。
管理費の負担が発生する
管理会社は事業として業務を行っているので、委託をするにあたって管理費が発生します。費用の相場は家賃に対して5~10%程度とされており、それが毎月発生します。物件オーナーの手残り収入がその分少なくなります。
管理会社の当たり外れが大きい
物件管理は人が行う業務だけに、管理会社や担当者の当たり外れが大きいと言われています。それゆえに管理会社選びがとても重要になります。
3-2.自主管理
自主管理とは、管理会社に委託をせず物件オーナー自身が物件管理を行うことです。
【自主管理のメリット】
自主管理で考えられるメリットは、主に3つあります。
低コスト
管理会社に物件管理を委託すると、家賃に対して5~10%程度の管理費が発生すると述べました。自主管理をするとこのコストがなくなるので、低コストです。
入居者とコミュニケーションの機会が増える
自主管理をしていると入居者と関わりを持つことが多くなるため、コミュニケーションの機会が多くなります。自分で信頼関係を構築していきたいと考えている人には、自主管理のほうが適しているかもしれません。
物件管理のノウハウが身につく
管理会社に委託すると専門的なノウハウもプロに一任することになりますが、それを自分でやることで物件管理のノウハウも身につくでしょう。管理業務にも関わりたいと考える人にとっては、自分自身でノウハウを高めることが非常に価値ある取り組みとなります。
【自主管理のデメリット】
自主管理のデメリットについても見てみましょう。主に3つあります。
手間や時間の負担が大きくなる
物件管理は細かいものも含めると業務の数が多く、それをすべて自分でやるとなるとかなり煩雑です。手間や時間的な負担が大きくなるため、兼業で不動産投資をするのは難しいかもしれません。
精神的な負担も大きくなる
家賃滞納への督促やクレーム対応などは、精神的な負担を伴う業務です。これを任せることに委託管理のメリットがあると述べましたが、自主管理だとこうした負担も大きくなります。
所有している不動産の資産価値が低下する恐れがある
管理会社に委託するとプロの管理品質が期待できますが、自主管理だとどうしても「素人仕事」になってしまう部分もあります。長期間にわたってプロの手によらない管理業務が続くと、不動産の資産価値が低下してしまう恐れがあります。
4.不動産管理会社を選ぶときのポイント
不動産管理会社は当たり外れが大きいと述べました。それなら管理会社をどう選べばよいのでしょうか。特に重視するべきポイントを挙げました。
4-1.入居率、実績
管理会社の業務には入居者の募集も含まれます。そこで重要になるのが、「空室を埋める力」です。入居率を公開していて、それが95%以上であることは1つの目安になります。
4-2.管理戸数
入居率が高いといっても、一定以上の分母がなければ本当に実績と言えるかどうかは分かりません。管理戸数が多いこと、これまでの管理実績が多いことも重要です。
また、管理戸数が多いとスケールメリットを発揮できるため、よりコストパフォーマンスがよくなります。明確な基準はありませんが、5,000戸もしくは1万戸以上というのが1つの目安になると思います。
4-3.管理費が相場どおりか
管理費は安いに越したことはありませんが、相場を逸脱するような安さの場合は要注意です。それだけ管理の質が低下する可能性が高く、かえって高くついてしまうこともあります。
4-4.トラブル、クレームの対応力
トラブルやクレームの発生時の対応力は、オーナーにとっての安心感に直結します。そのための専門の部署や人員を用意しているかどうか、また実際に問題が生じた際にどう対応するのかというノウハウが確立しているかどうかも重要な判断材料になります。
4-5.担当者への信頼感
実際に直接関わることになるのは物件管理を担当する人です。そのため、担当者との信頼関係を築くことが、賃貸経営の成功には非常に重要です。スキルだけでなく、コミュニケーションや人間的な相性も大切なポイントとなるため、慎重に選んでいくことが大切です。
5. 物件管理(賃貸管理)がうまくいけば、不動産投資もうまくいく
不動産投資は、収益不動産を購入してからがスタートです。その後に長く続く賃貸経営で重要なウェイトを占めるのが物件管理で、本文ではその業務内容や管理形態の種類などについて解説しました。
ほとんどの場合、管理会社に委託するのが現実的だと思うので、管理会社の選び方についても解説しました。これらの情報を参考に、不動産投資を成功に導いてください。