文京区

歴史と散策のまち『千駄木』

「REISM エリア分析レポート」は、毎月1つの駅を取り上げ、交通アクセス、商業施設、人口など様々な視点から分析し、そのエリアの特長をレポートしています。

「千駄木」エリアの特徴

  • 地元住民はもちろん、来街者でも賑わう人気の散策エリア
  • 都心への交通の便が良いうえに、歴史的な街並みが残る希少立地
  • 若い世代の流入とエリアの活性化による将来性の高さ

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人の往来がたえない「夕焼けだんだん」と「谷中銀座商店街」。

 

散策のまち「千駄木」

千駄木は、街に昔ながらの風情と雰囲気があり、下町情緒あふれる地域
として知られています。夏目漱石や森鴎外といった多くの文豪が暮ら
した旧跡が残り、文学・文化的な歴史を感じさせる街として、文京区の
観光ガイドでも紹介されています。
また、美しい夕焼けが見られることから名付けられた「夕焼けだんだ
ん」から「谷中銀座商店街」へと続く有名な通りがあります。商店やスー
パー、惣菜店が充実し、地元住民はもちろん、NHK朝ドラの舞台になっ
たこともあり、散策や観光で訪れる方にも人気のお店が多くあります。
そのためTVや雑誌の街特集で取り上げられることも多く、週末は多く
の人で賑わっています。

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路地も多く、隠れた名店が点在。

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古い建物を改装したお店も多い。

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猫が多い街としても有名。

谷根千の人気

「千駄木」は近隣の「谷中」「根津」とあわせて、頭文字を並べた『谷根千(やねせん)』という愛称で親しまれています。寺社や文化財が点在し、近隣には
上野公園をはじめ、多くの記念碑や美術館、文豪の住居跡などの史跡が残されています。また「芸工展」などのアートイベントの開催や、古い一軒家を
活かしたカフェが増えたり、長屋の賃貸に行列待ちができるなど、若い世代に親しまれるコンテンツが近年充実しはじめ、人気のエリアとして注目
を集めています。

地下鉄とJR利用でアクセス良好!

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「千駄木」駅は東京メトロ千代田線を利用でき、「大手町」「日比谷」「霞ヶ関」「赤坂」などのオフィスエリアにダイレクトにアクセスできるため、交通の便がよい路線です。

また、「千駄木」駅はJR山手線と東京メトロ南北線の中間付近に位置するため、住む場所によってどちらかの駅を徒歩圏で利用することができます。「本駒込」駅からは東京メ
トロ南北線を利用することで、「飯田橋」「四ツ谷」「麻布十番」「白金」などへの移動が便利。「日暮里」駅からはJR山手線・京浜東北線を利用できるため、都内のターミナル駅はもちろん、「大宮」や「横浜」といった埼玉・神奈川のターミナル駅にも乗り換えなしでアクセスできます。さらに京成線を利用すれば「成田空港」へも36分で直行!一帯でみると、たいへん利便性の高いエリアとなっています。

「千駄木」駅周辺の賃貸市場

「千駄木」駅周辺の賃貸情報を収集し分析したところ、まず23区、東京都内のデータと比べて標準偏差(ばらつき)が小さく経年変化によ
る賃料単価の減価率が約0.5%と低いことから、都内、23区に比べて価格が変動する幅は比較的小さく安定していることがわかります。

また、本エリアに近いターミナル駅・上野と比較すると、賃料単価ではほぼ同水準で類似した傾向が見られ、23区、東京都内と比べると、
どちらも高いことがわかります。一方、築年数の傾向をみると「千駄木」の方が古い物件が多いことから、同じ築年数であれば、上野より
「千駄木」の賃料が平均的に高いことがデータからよみとることができます。

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※賃料単価は中央値であり、平米数を乗算した価格が必ずしも相場と一致するものではありません。
※賃料単価、築年傾向ともデータは16 ㎡以上30 ㎡未満の物件から算出しています。

文京区と千駄木周辺の居住者の特長

 

人口のうち単身世帯の割合をみると、東京都全体で42.53%に対し、文京区は55.74%と割合として比較的高いことがわかります。対象エ
リアとなる千駄木(1丁目~5丁目)、根津(1丁目,2丁目)の調査資料によると、単身世帯の割合は55.99%となっており、区全体の傾向と
同じく半分以上が一人暮らし世帯となっています。また、対象エリア内住民の年齢構成をみると、20~39歳の割合が約32%と最も高く、
次いで40~59歳が約27%、60歳以上が約26%。若干若い世代の割合が多い傾向となっています。

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販売・管理物件の入居者傾向。(2012年1月現在)

都内の好立地の中古マンションを投資向けに販売し、賃貸管理を行ってい
ます。「千駄木」エリアでも、駅周辺の投資用賃貸マンションの販売・管理物件があり、リノベーション実績もあります。

実際に住んでいる方々の傾向をみると、近隣の大学に通う学生や、沿線企業に勤める
20代~30代の会社員の方たちが入居されています。通勤・通学先が近場で都心という
方が多く、交通アクセスや街の生活環境の良さによる需要の高さが伺えます。


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空き家率が低下している文京区

住宅・土地統計調査「借家数の変化」によると、平成15年から5年の間に23区全体で約146千戸の賃貸物件が増え、「空き家の変化」によると空き家も
5年の間で全体的に増えています。各区によって借家数や空き家率の増減にばらつきがありますが、文京区をみると、借家数が上昇しているのに対
して空き家数が減少していることが分かります。つまり供給以上に需要があることがデータからは読み取れます。数字上ではオーナーに有利な状況
にも見えますが、もともとの総数が大きいので油断できません。とはいえ、高いニーズがある点はマンション経営を行う上でともて好ましいエリア
であると考えられます。

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エリア別に貸家の住宅着工数を見ると、東京都と23区の各年の増減は相関していることをグラフから読み取ることができます。文京区の供給傾向も東京都や23区の増減と似たような動きを見せています。2010年の数値は公表資料が無いため予測となりますが、全体的な傾向として、2006年と2008年で比較的多く着工している一方、東京都と23区ともに2009年、2010年と連続して過去10年間での最小着工数であることから、文京区の供給も2010年は比較的低い状況であると予測できます。

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供給が増えて、需要がそれ以上に伸びている文京区の需給バランスを見ると、人気物件は希少価値が高くなり、空室や家賃下落リスクは低くなることが期待できます。収益性という点でも魅力的なエリアといえますが、同じ情勢が続くかどうか、変化した場合にどう対応するかが将来の課題
といえます。

《まとめ》

 

「千駄木」は、谷根千の人気の高まりとともに注目されているエリアです。それは、TVや雑誌といったメディアでの露出が多いこともそうですが、古くからの街並みが残っていること、さらにそういった街の資源を保全し活用しようという経済活動が行われている点が大きな要因であると思われます。

文京区が検討を進めている『千駄木駅周辺地区まちづくり基本計画』でも、周辺住民のアンケート結果から多くきかれた景観の保全を希望する声に応え、古き良き佇まいを残しながら整備していく方針を出しています。大きなビルが建つような再開発ではなく、街の歴史や風情ある街並みを残し
ながら活かす計画は、近年若い世代が長屋や蔵を改修しシェア住居にしたり、カフェや雑貨屋、美容室としてオープンしたお店が人気店になる、といった取り組みが後押しをして、魅力的なまちを形成していると思われます。今後もまちの変遷が楽しみなエリアです。

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