投資の基本

投資に関わる税金の話

不動産投資を行う最大のメリットは、安定的に不労所得を得ながら、最終的に資産を築けることにあります。不動産投資はそれなりに大きなお金の動く経済活動であり、それに伴ってさまざまな税金を納めることにもなります。ここでは、不動産投資で発生する税金を、購入時・所有(運用)時・売却時の三つに分けて見ていきましょう。また、節税方法とその注意点についても触れていきます。

投資に関わる税金の話

不動産購入時に発生する税金

不動産購入時の税金は、消費税、印紙税、登録免許税、不動産取得税の四つに分けられます。まず消費税ですが、2019年9月までは税率8%、2019年10月以降は10%になります。不動産仲介事業者から購入した建物の取得費や物件の修繕費、新築費用、仲介手数料に対して課せられます。ただし、土地の購入費は課税対象となりません。また、消費税は消費税課税事業者から物品やサービスを購入した際に課せられるため、個人間で物件を売買する場合も非課税となります。

印紙税は契約書に課せられる税金です。不動産投資では、物件の売買や住宅ローンの設定などで幾つか契約書を締結しますが、その契約書には収入印紙を貼る必要があります。契約金額に応じて、印紙の金額が変わります。

登録免許税は不動産の登記に課せられる税金であり、計算式は「不動産の固定資産税評価額×所定の税率(所有権の保存登記は0.4%・売買などによる所有権の移転登記は2.0%)」です。

不動産取得税は、その名の通り、物件の購入や建物の新築・増改築時に課せられ、計算式(原則)は「固定資産税評価額×4%」となります。ただし物件が一定の要件を満たせば軽減制度が適用されますので確認が必要です。

不動産購入時に発生する税金

不動産の所有・運用時に発生する税金

不動産の所有・運用期間に課せられる税金は、保有不動産に対して課せられる固定資産税や都市計画税と、不動産から得る所得に対して課せられる所得税や住民税とに分けられます。

固定資産税は、不動産のある市町村などに対して納める税金で、計算式は「固定資産税評価額×1.4%」となります。また都市計画税は、市街化区域内の不動産を対象に課せられるもので、計算式は「固定資産税評価額×0.3%」です。ただしこれらの税率は自治体によって軽減制度や例外があるので、物件ごとに確認が必要です。

所得税と住民税は、不動産から得られる家賃収入から必要経費を除いた、所得に対して課せられる税金です。ただし、不動産所得は給与所得や事業所得等と合算(損益通算)した金額が、課税対象額となります。そのため、他の所得額によって税額も変わってきます。

なお、所得税は累進課税ですが、住民税は「均等割」と「所得割」という2つの課税計算方法を採用しています。「均等割」の標準税率は5000円、「所得割」の標準税率は10%とされています。標準税率なので、実際の税率は都道府県や市町村によって異なる場合があるため、確認が必要です。

不動産から得られる収入には、家賃以外に礼金、更新料、管理費、携帯電話などのアンテナ基地設置料、自動販売機の設置料なども含まれます。一方、経費には建物や設備の減価償却費、修繕費、ローン金利、固定資産税、都市計画税、損害保険料、不動産の管理委託手数料などが含まれます。

節税を意識する場合の注意点

不動産投資における節税のポイントは、所得税と住民税です。経費が多いほど課税対象額が低く抑えられます。無駄な経費まで使う必要はありませんが、適切な経費をいかに多く計上するかが重要になります。

不動産投資では、土地を含まない建物や設備などの固定資産の取得費用を、資産の耐用年数で分割し、経費として計上する減価償却が認められています。このため減価償却期間中は、実際の支出はないにもかかわらず、会計上は経費として計上できるのです。

減価償却費を含めた経費が不動産収入よりも多くなれば、会計上は赤字になり、赤字分を給与所得や事業所得と損益通算できるため、総合的に節税効果を得られます。つまり、手元に残る現金が多くなります。ただし、帳簿上の不動産収支は悪くなりますから、金融機関からの評価は低くなる可能性もあるので、さらに投資を拡大したいのであれば注意が必要です。

不動産売却時に発生する税金

最後は、不動産売却時に発生する税金です。もし購入時よりも高い金額で売却できた場合には、その譲渡所得に対して税金が課せられます。この譲渡所得は、「収入金額-取得費-譲渡費用」で計算されます。仲介手数料などは、取得費に含めて控除されます。

その税率は不動産の所有期間によって異なり、所有期間が5年以下の短期譲渡所得は39.63%、5年超の長期譲渡所得は20.315%となります。また、家賃などの不動産所得と異なり、他の所得と損益通算することはできません。

なお、建物や設備の価値ですが、売却までに減価償却された分は取得価格から控除されます。例えば2,000万円で取得した建物が、1,000万円が減価償却された段階で、1,300万円という金額で売却できた場合、700万円の譲渡損失ではなく、残存価値1,000万円の物件が1,300万円で売却され、300万円の譲渡所得が発生したことになります。この点について勘違いしている人もいますので、注意してください。

このように不動産は購入時、保有時、売却時にそれぞれ、税金が発生し負担する必要があります。税金を負担した上でも不動産に投資することは、有効な資産形成方法の一つといえます。
不動産投資を検討する時には、売上である家賃やコストである融資の返済や管理費、想定修繕費などをシミュレーションすることが重要ですが、どのタイミングでどのような税金が発生するかを事前に把握し、事前シミュレーションにきちんと反映させたうえで投資判断を行いましょう。

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