台東区

歴史と文化と祭りが人を惹きつける、東京の代表的な下町『浅草』

「REISM エリア分析レポート」は、毎月1つの駅を取り上げ、交通アクセス、商業施設、人口など様々な視点から分析し、そのエリアの特長をレポートしています。

 

「浅草」エリアの特徴

  • 観光地としてだけでなく、人が集まる、場の魅力がある街
  • 物件数に対してニーズの高い、安定した賃貸市場
  • 周辺エリアの開発による活性化が期待できる将来性

 

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観光のまち「浅草」は、年中お祭りさわぎで大賑わい!?

ご存知の通り「浅草」は日本を代表する観光スポット。お祭りや行事が一年中催され賑わいが衰える事はありません(上図参照)。「浅草寺」(雷門・仲見世通り)をはじめ、「花やしき」や演芸場・芝居小屋などが並ぶ「浅草六区」、春は花見客で賑わう「隅田公園」、川沿いのボードウォークや、お台場までの水上バスも出ている「隅田川」など散策スポットが多数あります。飲食店や商店が充実(それも老舗の名店と呼ばれるお店が多い)しているのも特長のひとつ。生活者の視点で見てみると、普段の交通や買い物に不便することは無く、休日には気軽に名所に訪れることができる等、便利と楽しさが両立したエリアといえます。日本文化を身近に感じることが出来るのも大きな魅力です。

歴史を重ね続ける街並

江戸時代以前から繁華街として栄えている「浅草」は、歴史を積み重ねながらも
時代の変遷に合わせて日々アップデートしています。近年では、仲見世通りのシャッターにアート作品が描かれ、開店前でも絵巻物のなかを歩くような演出がされています。また、伝法院通り商店街では、区の街並み景観整備事業を活用して、バラバラだった各商店の外観を江戸まち風に改装。黒、白、こげ茶を基調とした羽目板と塗壁の外壁に統一することで、商店街へ客足を誘う演出と街のイメージを高める効果を上げることに成功しています。このような街をあげての取り組みが、永く人々を魅了する街にさせていると考えられます。

地域の目が治安を守る

常住人口をベースとした自宅就業者の割合が1位の台東区には、働くことと住むことが一体化した地域社会の基盤が存在しています。人口当たりの民生委員数が23区で一番多く、また、面積1k㎡当たりの消防団員数は、23区平均25人に対して、台東区はその2倍以上の55人。消防団員がどの区よりも高密度に街を見守っている状況は、江戸時代の「火消し」を思わせます。面積当たりの交番数も23区中最多で、犯罪検挙率も上位となっており、下町ならではの地域の目が常に光っていることも犯罪抑止や治安維持に貢献しているものと思われます。

4路線利用可能でアクセス良好!

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「浅草」駅は東武伊勢崎線、東京メトロ銀座線、都営地下鉄浅草線、つくばエクスプレスの4路線を利用することができます。中でも特に銀座線は「日本橋」「銀座」「新橋」「赤坂見附」などの都心のオフィスエリアを通り終点「渋谷」駅まで乗り換えなしでアクセスできるため都内の地下鉄のなかでも人気路線の一つです。また、都営浅草線も「大門(浜松町)」「三田(田町)」「高輪(白金)」「五反田」など山手線内側のオフィスエリアをカバーしています。

ほかにも台東区内では一律100円で利用できる「めぐりん」という循環バスが3ルート走っており、区民の足として親しまれています。さらに「浅草」からは水上バスも出ており、「日の出桟橋」「お台場」「晴海」などへ船で移動できるのも、隅田川に近い「浅草」ならではの特長といえます。

「浅草」駅周辺の賃貸市場

「浅草」駅周辺は単身者向けの賃貸マンションが比較的多く、左下の散布図をみても、約40年ほど前からコンスタントに供給が増えていることがわかります。「上野」などターミナル駅へのアクセスの良さをはじめ、エリアに魅力があることから比較的相場家賃は高いことが、右下の比較表からわかります。さらにばらつき(標準偏差)が小さく、経年変化による平米単価の減価率が0.5%と低いことから、「浅草」駅周辺の賃貸市場は価格が変動する幅は比較的小さく安定していることがわかります。また、最頻値をみると築年数では築浅の物件、平米単価では比較的リーズナブルな物件が多いことがわかり、それだけ「浅草」エリアの賃貸マーケットにバリエーションがあり充実していることが見受けられます。

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※賃料単価は中央値であり、平米数を乗算した価格が必ずしも相場と一致するものではありません。
※賃料単価、築年傾向ともデータは16 ㎡以上30 ㎡未満の物件から算出しています。

販売・管理物件の入居者傾向(2011年12月現在)

都内の好立地の中古マンションを投資向けに販売し、賃貸管理を行っています。「浅草」駅ももちろん例外ではなく、駅周辺の投資用賃貸マンションの販売・管理実績があります。リノベーションを施した物件の実績もあり、実際に住んでいる方々のデータをもとに傾向の一端をみていきたいと思います。

まず、 REISM物件の特長として新耐震基準物件(1983年築)で、一定の仕様設備の物件を取り扱っており、今回事例として集計した物件の広さは20㎡~26㎡のもので、家賃の平米単価は3,100円~4,100円となっております。入居者の方の傾向として業種は多種多様で、20代前半~30代前半の一人暮らしの方を中心にご入居いただいています。男性・女性ともに半々の割合で、ご勤務先が浅草・上野・日本橋といった東エリア周辺の方や、「浅草」という街が好きで住む方が傾向として多い印象でした。


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23区のうち最も空き家率が低下している台東区

住宅・土地統計調査「借家数の変化」によると、平成15年から5年の間に23区全体で約146千戸の賃貸物件が増え、「空き家の変化」によると空き家も5年の間で全体的に増えています。各区によって借家数や空き家率の増減にばらつきがありますが、台東区をみると、借家数が上昇しているのに対して空き家数が減少していることが分かります。つまり供給以上に需要があることがデータからは読み取れます。数字上ではオーナーに有利な状況にも見えますが、もともとの総数が大きいので油断できません。とはいえ、高いニーズがある点はマンション経営を行う上でともて好ましいエリアであると考えられます。

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エリア別に貸家の住宅着工数を見ると、東京都と23区の各年の増減は相関していることをグラフから読み取ることができます。台東区の供給傾向も東京都や23区の増減と似たような動きを見せています。2010年の数値は公表資料が無いため予測となりますが、全体的な傾向として、2006年と2008年で比較的多く着工している一方、東京都と23区ともに2009年、2010年と連続して過去10年間での最小着工数であることから、台東区の供給も2010年は比較的低い状況であると予測できます。

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供給が増えて、需要がそれ以上に伸びている台東区の需給バランスを見ると、人気物件は希少価値が高くなり、空室や家賃下落リスクは低くなることが期待できます。収益性という点でも魅力的なエリアといえますが、同じ情勢が続くかどうか、変化した場合にどう対応するかが将来の課題といえます。

《まとめ》

浅草エリアは観光地として場に魅力があることが最大の特長です。名所や年間行事が充実し、1年を通して来街者を飽きさせないコンテンツがたくさん詰まっています。

そしてその魅力を支え、高めているのが、さまざまな街づくりに関する取り組みであり、その中心にいる市井の人々です。

昨今、日常生活で「つながり」が求められていると言われるなかで、お互いの顔が見えるコミュニティの存在が、新たに住みたいという方を惹きつけているのではないかと思われます。

台東区では浅草地域を中心に、いかに周辺エリアとの連携を高めていくか、を街づくりの基本指針としています。区は違いますが、川ひとつ隔てた目と鼻の先には、「東京スカイツリー」があり、国内はもちろん海外からの観光客も期待できるスポットです。新しい東京の”名所”が近くにできたことで、集客の波及効果も高まり、ますます浅草エリアの活性化が期待できそうです。

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