大田区

池上本門寺を中心に栄えてきた門前町「池上」

「REISM エリア分析レポート」は、毎月1つの駅を取り上げ、交通アクセス、商業施設、人口など様々な視点から分析し、そのエリアの特長をレポートしています。

「池上」エリアの特徴

  • 「池上本門寺」を中心に栄えてきた門前町
  • 築年による賃料原価の小さい、安定した賃貸市場
  • 駅ビル開発(2020年完成予定)による魅力向上とエリア活性化

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駅ビル開発が計画されている池上駅。門前町の趣を感じさせる外観が計画されています。

 エリアレポートVol.75では「池上」駅をご紹介いたします。

 「池上」駅は東急池上線の駅で、大田区の行政・商業の中心「蒲田」から2駅に位置しています。都心に近いながら、穏やかで古くからの下町情緒のある落ち着いた街並みが魅力です。

 「池上」は日蓮宗の総本山、池上本門寺の門前町として発展してきました。池上線はもともと、池上本門寺への参拝客の輸送を目的に始まった路線であり、現在でも10月のお会式(おえしき)という大きな大法会(お祭り)の際には臨時ダイヤが運行されています。普段は落ち着いた街並みですが、お会式当日となると人で賑わい、盛大なお祭りが営まれます。

 駅前には日常生活に必要なスーパーや飲食店のほか、下町らしい八百屋や酒屋などが軒を連ねています。また、本門寺通りは門前町らしく煎餅や葛餅屋があり、赤い毛氈を敷いた縁台も見られます。こうした地元に根付いたお店から、池上が古くから愛されてきた町であることが伺えます。

 駅から離れたところは戸建てや低層住宅の並ぶ住宅街が醸成されており、今も昔も変わらない風景を残しています。治安もよく、女性も安心して暮らせるでしょう。
 帰ってくるとどこかほっとする、そんな安心感をもたらしてくれる町として、若者からお年寄りまで幅広い世代に選ばれています。

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700年の歴史を持つ日蓮宗の大本山「池上本門寺」

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古民家を再生して作られたカフェ「蓮月」は、人も物も大切にする池上ならでは。

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門前町らしい雰囲気の「本門寺通り商店会」

通勤の行き帰りも快適。都心へのアクセスを便利にする複数の路線網

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 「池上」駅は東急池上線が利用可能です。池上線はJR山手線「五反田」駅から、大田区の商業の中心地「蒲田」までを結ぶ路線です。

 「池上」駅は「蒲田」駅からは2駅約5分、「五反田」駅からは20分程度の場所にあります。蒲田駅からはJR京浜東北線へ乗り継ぐことができます。京浜東北線は埼玉方面から神奈川方面を結ぶ、いわゆる「南北縦貫路線」であり、都心の主要な通勤路線の一つです。
 また、五反田駅からはJR山手線に乗り継ぐことができ、都内各地への乗り継ぎが非常に便利な立地といえます。

 駅前にはバスロータリーがあり、西は洗足池と田園調布。東は蒲田や大森、大井町、品川方面へのアクセスも可能です。また、坂道もなく平坦な道のりなので、自転車での移動も視野に入ります。

「池上」駅周辺の賃貸市場

 池上駅の賃貸市場を分析していきます。まずは賃料相場と築年数の比較です。23区平均と比較すると、賃料相場は23区の3,339円/㎡に対し、池上は3,317円/㎡です。また、最頻値も2,849円/㎡と、繁華街まで2駅ながら賃料相場は安めなエリアです。

 次に重回帰分析で「築年数」「徒歩分数」「面積」の3つの変数が賃料にどの程度影響を与えているかを分析します。「■徒歩・築年・面積による賃料の重回帰分析結果一覧」を見てみると、池上駅の単身者物件の月額賃料は「d.切片」の57,688円からスタートし、徒歩1分ごとに「a.徒歩」の336円ずつ、築年数1年ごとに「b.築年」の738円ずつ値下がり、面積1㎡ごとに「c.面積」の1,382円ずつ値上がることがわかります。
 徒歩の影響度合い、面積の影響度合いが低いことから、池上駅の単身向け需要は「賃料の割安さ」を重視する人が多いことが推測されます。

 「賃料に対する影響割合の比較」から池上駅の賃貸市場の傾向を分析すると、築年による賃料下落「b.築年/d.切片」、徒歩による賃料下落「a.徒歩/d.切片」、賃料のばらつき(市場の幅)を表す「e.標準偏差/d.切片」ともに23区平均よりも低い水準です。池上はマンションの供給も少なく、市場が古くから形成されてきたこともあり、安定した傾向が見られます。

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※リズムマンションDBより作成(データは2014年3月末日現在のデータです。)
※賃料単価は平均値であり、平米数を乗算した価格が必ずしも相場と一致するものではありません。
※重回帰分析は築10~30年、16㎡以上30㎡未満の物件から算出しています。

「池上」の居住者特性

 「池上」の居住者特性を見ていきます。まずは単身者世帯の比較です。

 東京都ならびに大田区の人口のうち単身者世帯の割合をみると、東京都全体で約45%、大田区で約48%です。大田区は工業地帯と住宅街という二つの顔を持ち、職住近接エリアであるため、単身者も多いエリアです。「池上」も大田区の商業中心地「蒲田」へのアクセスのしやすさから、単身者割合は50%以上と多い割合です。

 次に対象エリア内の居住者の年齢構成をみると、30代と40代が多く、全体の32%を占めます。東京都との比較では20代の割合が若干多い程度で、東京都比率と同じ傾向が見られます。

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REISM 管理物件 ― 2017月10月現在 ―

 REISMでは池上エリアでのリノベーション実績があります。

 2面の窓が開放的で、スペースも広めなのでインテリアの配置もしやすいお部屋。備え付けのハンガーラックは動線を考えて2箇所に設置、便利な可動式の棚や、ミニマムな洗面台などスマートに使い勝手が良い空間に仕上がっています。

 リノベーションをすることにより賃料は約14%向上(リズム査定/平米賃料比)

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駅ビルの開発が進められる「池上」駅

 「池上」駅の所在する大田区は東京23区の最南部に位置しています。埋め立て地や東京湾近くの地域に工場の多いエリアや、都内の高級住宅地として有名な「田園調布」や「山王」など、2つの顔を持っています。

 住宅・土地統計調査「借家数の変化」によると、2008年から5年の間に23区全体で約190千戸の賃貸物件が増え、同調査による「空き家の変化」を見ると、空き家数も5年の間で全体的に増えています。大田区を見てみると、供給にあたる借家数は5年の間に23.2%増加し、空き家数も54.5%増加しています。

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 エリア別に貸家の住宅着工数を見ると、東京都と23区の各年の増減は相関していることがグラフから読み取ることができます。大田区の供給傾向も東京都や 23区の増減と似たような動きを見せおり、2000年頃から着工数の増加が見られ、 2006年以降は低い水準で抑えられていることがわかります。2009年以降はまた増加傾向がうかがえ、2015年も東京都と同じく増加傾向と予測できます。

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人口の推移を見てみると、大田区の人口は年々増加していることがわかります。東京都によると太田区の人口は2020年より徐々に減少を始めますが、2035年の段階でも2005年の人口数よりも多いと予測されています。
 また、池上では2020年完成予定の駅ビル開発が進められています。開発により駅の魅力が増すことにより魅力向上とエリア活性化にも良い影響が期待できます。

《まとめ》

 「池上」駅は東急池上線の駅で、大田区の行政・商業の中心「蒲田」から2駅に位置しています。都心に近いながら、穏やかで古くからの下町情緒のある落ち着いた街並みが魅力です。

 「池上」は日蓮宗の総本山、池上本門寺の門前町として発展してきました。駅前には日常生活に必要なスーパーや飲食店のほか、下町らしい八百屋や酒屋などが軒を連ねています。また、本門寺通りは門前町らしく煎餅や葛餅屋があり、赤い毛氈を敷いた縁台も見られます。こうした地元に根付いたお店から、池上が古くから愛されてきた町であることが伺えます。

 不動産市場に目を向けると、築年による賃料下落の影響が小さい、安定した賃貸市場といえます。また、駅ビルの開発計画が進んでおり、2020年に完成予定です。開発による魅力向上とエリアの活性化により、不動産市場にも良い影響が期待できます。

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