投資の基本

投資とギャンブルの違いは?投資を成功させるための3原則も解説

投資とギャンブルはお金を増やせる可能性があるという点では共通していますが、全くの別物です。さらにいえば、名前こそ似ていますが投資と投機も別物です。それでは、いったい何が違うのでしょうか。

本記事では投資とギャンブルの違いを明確にした上で、なぜ多くの日本人が投資とギャンブルを同一視してしまっているのかという理由についても考察してみたいと思います。

投資とギャンブルの違いは?投資を成功させるための3原則も解説

1.投資はギャンブルではない

投資はギャンブルではない

まずは、投資の本来の意味や目的、投機との違いについて解説します。

1-1.投資の本来の意味や目的

投資とは本来、資本を投じるという意味です。例えば株式投資の場合、ビジネスを展開するために必要な資金を出し、その資金を元手に行ったビジネスで利益が出ればそれを還元するというのが基本的な形です。ここで重要なのは、敵がいないということです。

出資者である株主と出資を受けた経営者には共通の目的があります。その目的とは、ビジネスを成功させて利益を上げ、株主も経営者もそれぞれ潤うことです。目先の、しかも自分だけの利益を追い求めるだけではなく、自分が資本を投じることによって経営者や従業員、さらには社会によい効果をもたらすことでその対価として利益を得るのが、投資が持つ本来の意味です。

これに対して、ギャンブルには敵がいます。競馬であれば馬券を的中させる人と外れる人がいます。全員が的中することはありえず、仮に全員が同じ馬券を買った場合にはオッズ(倍率)が1倍になってしまい、的中してもお金は増えません。なぜなら、この場合は負ける人がいないため、「負ける人から入ってくるお金」がないからです。

1-2.投資は投機とも違う

次に、投資と投機の違いも明らかにしていきましょう。銀行の業界団体である一般社団法人全国銀行協会は、投機のことを「相場の変動を利用して利益を得ようとする短期的な取引」と解説しています。先ほどの投資との比較で解説すると、勝つ人と負ける人がいる世界で、勝ちを狙う取引(トレード)を投機といいます。

株式投資であっても、デイトレードといって短期売買を繰り返して株価変動からの利ザヤを狙うのは、投資ではなく投機です。その企業に出資をする気はなく、株価上昇による利益が出ればすぐに売却することを前提にしているからです。

他にも、「投資」と名のつくものであっても勝つ人と負ける人がいるものについては、厳密には「投資」とは呼べないかもしれません。代表的なものに、FXがあります。FXには必ず勝者と敗者がおり、誰かが負けないことには勝てないからです。ある国の通貨を売買したとしてもそれはその国に出資しているわけではなく、為替差益を狙っているだけです。利益が出ると見込めば投資家は売りを浴びせることもあるため、投資よりも投機と呼んだ方が的確でしょう。

2.日本人が投資をギャンブルだと思いがちな理由

ここまでの解説で、投資とギャンブル、投機には明確な違いがあることがお分かりいただけたと思います。しかし、投資をギャンブルと同一視している日本人は多く、貯蓄には熱心であっても投資については「ギャンブルだからやらない」と背を向けている人も少なくありません。

なぜ多くの日本人は投資をギャンブルだと思ってしまうのでしょうか。これには、2つの理由が考えられます。

2-1.金融教育が大きく遅れている

近年、日本の金融教育の遅れを指摘する声がよく聞かれます。投資やお金儲けのことを欲深い行為ととらえる価値観が長らく続いてきた結果、お金のことを学んだり議論したりすることがタブーのように見られてきた節があります。その結果、投資をギャンブルと混同してしまい、「リスクが高い」「怖い」と思ってしまう人が多くなるわけです。

長期投資においては単利と複利の違いを理解することに大きな意味がありますが、日本では大人になってもこの違いや複利が持つ力を説明できる人は多くないかもしれません。米国の学校では10歳で複利についてのカリキュラムが用意されているため、日本と大きな差があると言わざるを得ません。

日本でもようやく高校で金融教育が行われることとなり、国もさまざまな教材を配布しています。新NISAによる投資への関心の高まりも相まって、今後は少しずつ状況が変わってくると思われます。

2-2.投資経験がある人も少ない

投資とギャンブルを混同してしまう人のほとんどは、投資未経験の人たちです。実際に長期的な視野で投資をしている人であれば、投資とギャンブルの区別はついているはずなので、未経験の人が未知のものに対して不安を感じている構図が垣間見えます。

ただし、こちらも新NISAの導入を契機に投資を始める人が増えることや、学校での金融教育が充実してくることによって、少しずつ解消していく問題かもしれません。

3.投資を成功させるための3原則

投資とギャンブルの違い、また投機との違いについて解説しましたが、将来に備えて資産形成を目指しているならば、自分のお金は投機ではなく投資に使うべきです。ここでは、投資を成功させるための3原則を解説します。

3-1.正しい知識を身につける

投資には、元本割れのリスクがあります。そのリスクをコントロールするためにも経済ニュースをチェックしたり、銘柄選びに慎重になったり、できる限りの努力をするべきです。失敗を起こさないためにも、正しい知識を身につけ、スキルと経験を積み、自分自身が成長できるように努力しましょう。

例えば、商品先物取引のようなハイリスクの投資で成功するためには、世界の農産物や原油の需要、生産事情、地政学リスクなど、幅広い知識が必要で、しかも将来を予測する力も身につける必要があります。

金融漫画『ナニワ金融道』では、知識がゼロで、営業マンに勧められるがままに商品先物取引に手を出して、人生が狂ってしまった公務員の姿が描かれていました。投機をすべて否定するわけではありません。しかし、リスクが非常に高いことを理解するべきです。自分がリスクをコントロールできる範囲で行うことが賢明です。

3-2.目標を明確にする

投資とギャンブルの違いとして、「目標の有無」も挙げられます。ギャンブルには「勝つ」「お金を増やす」という目的はありますが、これは長期的な目標ではありません。「将来はギャンブルで生計を立てる」ことを目標にしている人はいるかもしれませんが、それを実現できている人はごく稀です。

これに対して、投資には長期的な目標があります。子供がいる人であれば教育資金、老後までの年数が少なくなってきた人であれば老後資金などです。近年ではFIREといって投資による利益だけで生計を立てるための資産形成がブームになっていますが、これも目標の1つです。

目標となる資産規模が確定すると、そこから逆算して毎年どれだけの積立をする必要があるのか、どれだけの利回りで運用する必要があるのかといった手段に落とし込むことができます。5年後、10年後といったスパンで目標を立てて、そのためのロードマップを描くことから投資は始まります

3-3.最適な投資方法を選択する

投資には実に多くの種類があります。株式や投資信託、外貨預金、貯蓄型保険、不動産、さらにはFXや暗号資産などもあります。これらはリスク別に細かく分類されており、高いリターンが期待できる投資ほどリスクも高い関係にあります。

リスクの度合いに応じて複数の投資を組み合わせるのが理想で、この組み合わせのことをポートフォリオといいます。リスクの低いものから中程度のもの、そして資金の一部をリスクが高い一方で高いリターンが見込めるものに投じることで、「攻め」と「守り」のバランスをうまくとることができます。

数ある投資の選択肢の中でミドルリスクとされているのが、不動産投資です。マンションやアパートなどを所有して家賃収入や値上がり益を狙う投資手法で、景気変動による影響を受けにくいメリットも期待できます。また、他の投資と違って現物資産を所有する「事業」なので、金融機関の融資を活用することで資金効率を高められることも魅力です。

長期的な視野に立って、リスクとリターンを考慮しながら自分に合った投資のポートフォリオを組むことから始めてみてはいかがでしょうか。

4.長い人生の味方になるのは、投資

投資とギャンブルの違いについて解説してきた上で、1つの結論があります。それは、人生の味方になるのは投資であり、ギャンブルは娯楽であるという事実です。ギャンブルに近いような投資にも面白さはあるので否定はしませんが、あくまでも全額を失っても感情が動かない程度の金額で楽しむようにしましょう。

投資は長期的な目線でコツコツと行うことが大切です。ギャンブルや投機との違いをしっかり認識して、目標である資産を築くための一歩を踏み出しましょう。

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