投資の基本

不動産投資で得られた家賃収入からどれくらい税金を取られるのか?

不動産を他人に貸し出すことで収入を得る不動産投資。収入からコストを差し引いて得られる所得には税金がかかります。そのとき、どんな税金がかかり、どのくらいの税率になるのかを知っておけば、不動産投資も怖くありません。

<参考>
なぜ不動産投資がサラリーマンにとって節税になるのか、落とし穴はないのか

不動産投資で得られた家賃収入からどれくらい税金を取られるのか?

所得税と住民税、収入から控除されるもの

物件を購入すると、不動産取得税と登録免許税がかかります。不動産取得税は、不動産価格から一定の控除をした課税対象額に税率(住宅は3%)をかけたもの。県税事務所から送付されてくる納付通知書で、コンビニや金融機関で納付します。登録免許税は、不動産の登記を受ける者に対して課税される税です。一般的には、登記を依頼した司法書士へ支払えば手続きをしてくれます。

また、購入時の費用としては、新築した際は所有権保存登記に、課税対象額の0.4%、中古住宅を購入した際は、所有権移転登記に2.0%も用意しておく必要があります。

一方、運用中にかかるのは、固定資産税と都市計画税になります。固定資産税は、固定資産評価額に1.4%、都市計画税は同じく0.3%をかけて得られる金額(いずれも自治体によって、これより少ないことがあります)から、減免措置があれば適用するのが一般的です。

送られてきた納税通知書にしたがって、分納の場合は年に4回、期限内に納付します。家賃収入が得られるようになると、そこからあらゆる経費を差し引いた所得に対して課税されるのが、所得税と住民税です。主な経費には修繕費、管理委託費、ローン金利、減価償却費、広告費、不動産取得税、固定資産税などが該当し、例えば、家賃収入が120万円で経費が70万円なら、不動産所得は50万円となります。

運用を始めた初年度は、諸経費がたくさん発生します。当面は、物件購入費用を減価償却できるので、会計上の不動産所得が赤字になることが多い傾向です。しかし、この赤字分を給与所得などと損益通算することで本来の課税額よりも少なくなるため、節税が可能になるのです。

サラリーマンの場合、会社からもらう給与所得から、基礎控除38万円、青色申告控除65万円(事業規模でなければ10万円)のほか、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、個人年金保険料控除などを差し引きます。

そうして算出された給与所得と不動産所得を合算(損益通算)して、課税所得額を算出します。給与としての年収が500万円で、控除できる金額の合計が300万円なら、課税所得額は不動産所得の50万円+年収500万円-控除総額300万円=250万円です。

<参考>
不動産投資にかかる経費はどこまで落とせるの?

所得税と住民税、収入から控除されるもの

住民税は一律10%、所得税は累進課税

民税は市町村民税と道府県民税とを合わせたものです。所得の多い少ないにかかわらず、一律10%となっています。一方、所得税は所得の多い人ほど税率が高くなる累進課税となっています。課税される所得金額と税率、控除額は、以下のとおりです。

所得金額 所得税率 控除金額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 9万7,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 42万7,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 63万6,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円

先ほどの例で考えると、課税所得額は250万円なので、住民税は250万円×10%=25万円、所得税は250万円×10%-9万7,500円=15万2,500円となります。

家賃収入が事業所得になればメリットあり

個人事業主として賃貸経営をしていることが認定されれば、さらに税制上のメリットがあります。その条件は「独立した部屋の数が10室以上」または「独立した家屋が5棟以上」が目安です。ただし、副業が禁止されている公務員などは、この基準を超えると問題になったケースがあるので注意しておきましょう。不動産投資が事業規模と認定される主なメリットは、下記の4つです。

  • 65万円の青色申告特別控除が利用可能
  • 親族が事業に従事していると給与を経費にできる
  • 赤字を繰り越せる
  • 自宅を事務所として申告して、使用した家賃や光熱費の一部を経費にできる

不動産投資も、さまざまな税金を納める必要があります。ただ、どの局面で、どういう税金がかかるのかを把握していれば、戸惑うことはありません。また、すべてを税理士に頼まなくても、クラウドシステムを利用すれば、必要項目を記入するだけで確定申告書を作成してくれるサービスもあります。さらに、マイナンバーカードを使えばe-Taxによる提出も可能です。

こうした税金や納税システムを理解しておくと、不動産投資をするうえで便利なため、時間がある方はぜひ勉強してみてはいかがでしょうか。

<参考>
不動産投資を始める人が知っておきたい「事業的規模」とは何か?
手順を押さえれば怖くない。不動産投資の確定申告の方法

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