不動産投資

マンション管理適正評価制度とは?今後のマンション価値は管理で決まる

2022年4月から、マンション管理適正評価制度がスタートしました。これまでマンションを建てたあとの管理については、明確な基準や情報を公開する制度はありませんでした。しかし、第三者機関が関与し客観的にマンション管理を評価することで「管理品質」を知ることができるようになります。

特に中古マンションは「管理で買う」という言葉があるほど、それまでどう管理されてきたのかを知ることが重要です。しかし、管理状態を知る手段が乏しかったのが実情で、購入後の思わぬトラブルの原因にもなっていました。

そんな問題を解決できるマンション管理適正評価制度の概要と、マンション管理の正しいあり方について解説します。

1.マンション管理適正評価制度とは?

マンションは建てて終わりではなく、使い続けるものです。その過程で劣化することもありますし、メンテナンスや補修が必要な箇所も出てくるでしょう。適切な管理がなされているマンションは本来の機能を維持し、資産価値の低下も最小限に食い止めることができますが、その逆だと住環境としての価値が低下し、もちろんそれが資産価値の低下にもつながります。

マンション管理適正評価制度は、マンションの管理状態や管理組合の運営状態を第三者機関が評価し、それを報告する制度です。マンションを購入もしくは借りようと思っている人が対象のマンションがどのように管理されてきたのか、今はどんな状態になるのかを知るのに役立ちます。

1-1.マンション管理適正評価制度の評価項目

マンション管理適正評価制度で評価の対象になるのは5つの項目です。その5項目は以下のとおりで、これらのカテゴリーそれぞれで「S」から「D」まで5段階で評価点がつけられます。

1-1-1.管理組合体制関係

「誰が管理しているのか」という責任の所在を明確にしているかを診断します。管理者が設置されているか、管理組合は定期的に総会を開催し、その議事録が作成されているか、マンション管理規約がしっかりと整備・運用されているかといったマンション管理のガバナンスが評価の対象になります。

1-1-2.組合会計収支関係

マンション管理組合を維持していくにはお金が必要ですが、そのお金の管理が適正であるかどうかを診断するカテゴリーです。管理費会計の収支がどうであるか、修繕積立金会計の収支がどうであるかといった財務の健全性に加えて、管理の滞納状況も評価の対象になります。

1-1-3.建築・整備関係

建物の管理に関するカテゴリーです。法定点検の実施状況、長期修繕計画書の有無、またこれまでの修繕履歴が適切に記録・保管されているかといった項目が評価されます。

1-1-4.耐震診断関係

建物の耐震性は安全に生活をするうえで必須の項目で、資産価値にも大きく影響を及ぼします。そもそも耐震診断が実施されているか、実施されている場合はその結果はどうであったのか、さらに結果を受けて今後の改修計画は立てられているかといった部分が評価されます。

1-1-5.生活関係

住む人の命と安全を守る態勢が整備されているかが評価されるカテゴリーです。設備などに異常が発生した時の緊急対応マニュアルの有無、消防訓練が実施されているか、防災マニュアルがそのマンションに合った形で整備されているか、などが評価対象です。

1-2.マンション管理適正評価制度の評価結果

上記の評価項目には、それぞれ得点が設けられています。カテゴリーによって配点が異なります。

  • 管理組合体制関係 ⇒ 20点
  • 組合会計収支関係 ⇒ 40点
  • 建築、整備関係 ⇒20点
  • 耐震診断関係 ⇒ 10点
  • 生活関係 ⇒ 10点

この5つすべてが満点だと合計で100点になるので、マンション管理適正評価制度による評価は100点満点で見るとわかりやすいと思います。

2.マンション管理適正評価制度の活用法

マンション管理適正評価制度によって第三者機関が評価したマンションについては、専用サイトに情報が掲載されます。マンションを買う、借りることを検討している人は自由にそのサイトから評価の結果を見ることができるため、フェアな目線で評価を閲覧することができます。

加えて、不動産ポータルサイトや流通サイトなどでも評価の結果を表示することで販売しやすくなることが考えられるため、物件情報ページに評価点が掲載されることになるでしょう。

マンションを購入、借りることを検討している人はネット上で公開されている情報から対象のマンションがどんな管理状態にあるのかを正確に知ることができ、物件選びや購入判断の材料として役立てることができます。

ちなみに、リズムでは中古マンションの仕入れについて入居者目線での厳しいチェックを行っています。マンションのオーナーになる方と入居される方のそれぞれに安心していただくため、非破壊検査も含めた躯体部分のチェック(インスペクション)を行っています。

第三者機関による中立的な立場でマンションを評価し、それに合格したものだけを仕入れるリズムのインスペクションについては、以下のページでも解説しています。

オーナー様目線、入居者様目線の厳しいチェック基準。リズムならではの「こだわりの仕入システム」とは
https://invest.re-ism.co.jp/special/interview-7/

3.管理費の豆知識

冒頭からマンション管理適正評価制度についての解説をしてきました。これをお読みになり、マンション管理がいかに重要かがおわかりいただけたと思います。そのために徴収しているのがマンションの管理費ですが、この管理費について知っておくべきことをまとめました。

3-1.管理費の概要

マンション管理費というと、一般的に建物のエントランスや共用廊下の電気代、電球交換費用、清掃費用、共用部分で発生する水道料金などを思い浮かべる人が多いでしょう。これに12~15年周期で行う大規模修繕のための積立金である「管理修繕積立金」も加わります。つまり「モノ」に対する費用です。

また、物件を安定的に運営していくためには、「ヒト」すなわち入居者を管理していくことも求められます。家賃滞納者が出たり、入居者同士がトラブルを起こしたりすることは賃貸経営につきものですが、オーナーが別に本業を持つサラリーマン投資家だと、こうした面倒ごとを自分で処理するのは大変です。

そこで、手数料を支払うことで管理会社に家賃の回収、滞納者に対する督促、契約更新手続き、クレーム対応などを代行してもらうことができます。さらに退去者が出た場合は、入居者の募集もしてくれます。これらにかかる費用を「管理委託手数料」と呼びます。

管理委託手数料の目安は家賃に対して5%程度とされ、管理修繕積立金と合計すると、家賃の1~2割程度を毎月支払うことになります。「モノ」にしても「ヒト」にしても、管理に不手際があればその分資産価値は下落します。

入居者に家賃滞納者やトラブルメーカーが多いという噂が立てば、それだけで入居希望者は減りますし、ボロボロで殺風景になっていくマンションに住みたいという人もいないでしょう。高いと感じてしまう人は多いかもしれませんが、管理費は家賃を安定的に得ていくために必要なコストなのです。

3-2.問題があれば改善しよう

とても重要なものでありながら、近年では管理費が不足していたり、必要になったときに修繕積立金が不足していたりという問題を抱えているマンションも多いようです。そもそも管理費は建物の劣化を防ぎ、良い状態で維持するために欠かせない費用ですし、修繕積立金も長期修繕計画に基づき、そのために必要な資金を逆算しながら徴収されています。

しかし、マンション分譲時に、少しでも売りやすくするために、管理修繕積立金をわざと低く設定して売り出すことがあるのです。入居者が増えた後に値上げをすればいいという考え方が根底にあると思われますが、値上げすることができず、なし崩し的に据え置いてそのまま年月が経ち、積立金不足に陥るというわけです。

マンションの外観や内装を見ているだけだと、こうした管理費の問題は見えてきません。そこで見えない問題にも光を当てて適正な不動産取引ができるようにとマンション管理適正評価制度が設けられました。今後は管理費に問題を抱えているマンションは売買前にその事実が丸裸になり、隠すことはできなくなります。

管理を委託している場合、管理員の勤務形態や清掃作業の内容や範囲、メンテナンスの内容など、委託している内容と費用が見合っていないことがあります。管理委託手数料を出し惜しみして、管理がずさんになってしまうケースもあるようです。

自分が実際に住んでいないと、管理組合との付き合い方が希薄になってしまうかもしれませんが、所有しているマンションが大切な資産であることに違いはありません。だからこそ価値の変化には敏感であるべきです。資産価値が下落してしまうと入居者が見つからず、結果的に家賃を下げなければならなくなり、売却するときに安くしなければ売れないという負のスパイラルに陥ります。

もし問題があると思ったときは、管理組合の総会や管理会社に問い合わせるなどして、積極的に改善するように働きかけるようにしましょう。

3-3.入居者から共益費で回収

賃貸物件の管理費は、「共益費」といった名目で入居者から集めることになります。共益費の回収方法は、「家賃7万5,000円、共益費5,000円」のように家賃と共益費を別々に徴収するか、「家賃7万円、共益費なし」のように家賃含まれるようにするかのいずれかです。

敷金や礼金は家賃額を基準としているので、前者であれば初期費用が軽減されることになり、後者であれば負担増ということになります。初期費用を抑えたいと考えている入居希望者には、共益費を分けて設定すると効果的でしょう。なお、共益費は家賃の5〜10%程度に設定されるケースが多い傾向です。

4.管理で選ばれる会社へ

本文中でも、マンションは「管理で買う」との言葉を紹介しました。メンテナンスがおろそかになっている中古車は寿命が短いといわれるのと同じで、マンションも適切な管理が資産価値を決めるといっても過言ではありません。リズムもこの考えに共感し、管理がマンションの価値を決めると考えています。

リズムが考える正しいマンション管理について、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらも読んでみてください。

リズムならではのリノベとコミュニティを活かし「管理で選ばれる会社」へ
https://invest.re-ism.co.jp/special/interview-4/

3年以上勤めた会社員へ。
あわせて読みたいおすすめコラム