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「準富裕層」と呼ばれる人たちはどんな生活をしているの?

富裕層は多くの人たちにとって憧れの存在です。しかし、一代で財を成して富裕層に入ることはかなりハードルが高いため、まずは富裕層の一つ下の「準富裕層」を目指すことも、富裕層への階段を駆け上がる方法の一つです。

ところで準富裕層とは一体どんな職業の人が多く、どんな生活をしているのでしょうか。
本記事では、「準富裕層」の概要や、準富裕層になれば早期リタイアは可能なのかどうかについて調べてみました。

準富裕層の上には富裕層が、その上にはさらに超富裕層がいますが、それぞれのクラスにはどんな特徴があって、その中で準富裕層はどんな位置づけになるのかも紐解いていきたいと思います。

「準富裕層」と呼ばれる人たちはどんな生活をしているの?

1.準富裕層とはこんな人たち

株式会社野村総合研究所は、国内の総世帯を純金融資産(預貯金や株式などの金融資産の合計額から負債を差し引いたもの)の所有額で以下の5つの層に分類しています。

金額が多い順に超富裕層(5億円以上)、富裕層(1億円以上5億円未満)、準富裕層(5,000万円以上1億円未満)、アッパーマス層(3,000万円以上5000万円未満)、マス層(3,000万円未満)に分けられています。

マーケットの分類 保有している純金融資産
超富裕層 5億円以上
富裕層 1億円以上5億円未満
準富裕層 5,000万円以上1億円未満
アッパーマス層 3,000万円以上5,000万円未満
マス層 3,000万円未満

このそれぞれの層には、いったいどれくらいの人口が分布しているのでしょうか。当記事の執筆時点での最新データである2019年の調査結果を見てみましょう。

マーケットの分類 世帯数 世帯の割合 2009年からの伸び率
超富裕層 8万7,000万世帯 0.1% 74%
富裕層 124万世帯 2.4% 56%
準富裕層 341万8,000世帯 6.3% 26.7%
アッパーマス層 712万1,000世帯 13.2% 11.4%
マス層 4,215万7,000世帯 78% 5%

参考:野村證券 EL BORDE by Nomura

1-1.準富裕層は増加傾向

上記の人口分布の中で顕著に表れているのが、準富裕層より上の層が高い伸び率を示していることです。世の中は不景気だ、デフレだ、と言われている一方で、準富裕層以上のクラスの人たちは着実に増えている事実があります。

最も高い伸びを示しているのは資産額が5億円以上の超富裕層ですが、このクラスはそもそも人口が少なく、ちょっとした増加で高い伸び率になります。

分母の大きさを考慮すると、準富裕層が10年で26.7%も伸びていることは注目に値します。これだけ多くの人が準富裕層の仲間入りをしているということは、今はマス層にいる人であっても準富裕層の仲間入りをするチャンスは大いにあるということです。

1-2.準富裕層は東京にどれくらいいる?

東京都にどの程度の準富裕層が存在するかを示す明確なデータはありませんが、前表のデータでは日本全国に341万8,000世帯の準富裕層世帯が存在し、その割合は6.3%です。

令和2年の国勢調査では東京都の総世帯数が約722万となっているため、これに対する6.3%を単純に算出すると約45万世帯です。

東京都が発表している令和3年版「都民のくらしむき」によると東京都の全世帯平均年収は763万円で、国税庁が発表している同時期の平均年収は433万円となっているため、全国平均に対して東京都は平均値で約1.76倍の年収水準です。

これらの事実を踏まえて考えると、東京には全国の平均値よりも多くの準富裕層が偏在している可能性が高いでしょう。

約722万世帯のうち6.3%は約45万世帯、それに「東京への偏在分」として1.76を掛けると、あくまでも状況証拠からの推測ですが、80万世帯程度の準富裕層がいてもおかしくないことになります。

参考:東京都 令和2年国勢調査人口等基本集計結果概要について
参考:国税庁 令和2年分 民間給与実態統計調査

2.準富裕層はインカムリッチ・プロフェッショナル

準富裕層に当たる人たちの職業で多いのは、いわゆる「インカムリッチ・プロフェッショナル」という高収入の専門職です。例えば以下のような職業をイメージすると分かりやすいかもしれません。

  • 弁護士
  • 公認会計士
  • 税理士法人などの役員
  • 外資系企業の経営幹部
  • 金融機関やITおよび経営コンサルティング分野の専門家
  • キャリア10年以上の医師など

彼らは収入が多いだけあって仕事は激務な傾向で長時間労働を強いられるため「稼いだお金を使う暇がない」という人が多いとされています。一方、日常のストレスを散財で解消し貯金ができない人も少なくないようです。

このほか夫婦共働きで退職金を受け取った公務員の家庭なども当てはまるでしょう。なぜなら夫婦2人の退職金だけで4,000万~5,000万円程度の金額を受け取るケースが多いからです。この退職金だけを見ても、定年まで勤めあげた公務員は自動的に準富裕層になれる計算になります。

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準富裕層はインカムリッチ・プロフェッショナル

2-1.超富裕層や富裕層と準富裕層の違い

一般的な感覚で見ると、準富裕層であっても富裕層の一部であり、このクラスより上の人たちは総じてお金持ちに見えることでしょう。しかし、いずれも「富裕層」と呼ばれているものの、準富裕層とそれ以外の富裕層には大きな違いもあります。

まず言えることは、先ほどの公務員の退職金からもわかるように準富裕層は給与所得者も多く含まれている点です。退職時に多額の退職金を受け取ることにより、それだけで準富裕層の仲間入りをする人が多くいます。

それに対して富裕層や超富裕層は退職金レベルでは到達できないため、企業経営者や資産家など、特殊な人が多い層とも定義できます。

また、富裕層や超富裕層の中にはかつての準富裕層だった人たちもいます。先ほど示した10年間の伸び率でも富裕層と超富裕層は高い伸び率であることが明らかになりました。この中には準富裕層からさらに資産を増やして、富裕層や超富裕層に「格上げ」した人たちが多く含まれています。

その主な原動力となっているのは、株価の成長です。資産の多くを株式で保有している人は株価の上昇によって資産額が大きくなるため、企業の創業者や大口の株主などが恩恵を受け、準富裕層から富裕層以上のクラスになったケースも多いと考えられます。

こうしたことから言えるのは、「富裕層以上を目指すのは難しくても準富裕層なら目指せる」という現実味です。今はマス層だとしても、努力や知識次第で準富裕層になることは十分に可能と言えます。

3.準富裕層に共通する特徴

準富裕層を目指すにあたって、準富裕層と呼ばれる人たちの特徴をマスターしておきましょう。その特徴を知ることで、目標設定がより明確になります。

3-1.健康意識が高い

誰もが健康でありたいと願うのは当然のことですが、富裕層と呼ばれる人たちのそれは次元が違います。健康意識がとても高く、健康であることこそ最大の財産であるという考え方もあります。

さまざまな調査から富裕層の人たちにとって健康増進が大きな関心事であることが明らかになっており、健康のためには多額のコストもいとわないのが特徴です。どれだけ資産があっても人生を謳歌するには健康でなければならないというのは、自然な考え方でしょう。

健康でなければ仕事を頑張ることもできないので、高い健康意識を持つことは準富裕層を目指すための大切な第一歩です。

3-2.ポジティブ思考

身体だけでなく精神的にも健康を求めるのが富裕層の特徴です。そこで重要になるのが心の持ちよう、つまりポジティブ思考です。

どんな人にも逆境やうまくいかないことはありますが、それを「今後に向けたチャンス」「新しい気づきが得られた」といったようにプラスに捉えることはポジティブ思考の基本になります。

「自分ばかり辛い思いをしている」と考えると、良いアイディアや人間関係も遠ざかってしまいます。常に前向きに、どんなことでも自分の糧にする思考を持つことが大切です。

3-3.本質的価値観

一般的な価値観と富裕層の価値観には、大きな違いがあります。それは、本質的価値への判断力です。

人は高価なものを価値があるものと考えてしまいがちですが、富裕層はそれが自分にとって価値を持っているか、自分の人生に資するものかを判断基準にします。

たとえ高価なものであってもその値段以上の価値をもたらすと判断すれば買い、逆に値段だけの価値がないと判断すれば100円ショップの商品ですら買わないのが富裕層です。

車や腕時計といったステータスシンボルについても、同様です。一般的な価値観だと高価であるだけでなく目立つものを欲しがる相対的な判断をする傾向が強いですが、富裕層は値段ではなく自分にとって有益であるかの物差ししかなく、絶対的評価です。

大衆車であってもライフスタイルに合致しているのであれば購入し、どの車に乗っているかで他者と比較することもないでしょう。

これが富裕層の本質的価値観です。準富裕層の人たちもこうした価値判断をする人が多く、自分にとって本当に価値のあるものかを判断することを習慣づけると無駄遣いがなくなってお金が貯まりやすくなります。

3-4.具体的で壮大な目標

物事を成功させるには、目標設定が必要です。しかし、「準富裕層になる」という目標を立てたとしても、それは単に壮大なだけで具体的ではありません。

具体的な目標設定には必ず、数値と期限があります。いつまでにどれだけの年収を得て、どれだけの資産を保有するか。そして、その資産をどれくらいの年利で運用して増やしていくか、といったように、具体的な数値に裏づけられた目標を持ちましょう。

具体的な目標を設定すると、そこから逆算していつまでにどんな行動をするべきなのかが見えてきます。準富裕層は一代で成功している人が多く、そのほとんどは緻密な目標を設定し、そのために無駄のない行動をしています。

4.早期リタイアは可能?

すでに解説したように、「準富裕層」は純金融資産が5,000万円以上ある人たちを指します。それでは、この5,000万円以上があれば早期リタイアは可能なのでしょうか。

例えば不動産投資を行って家賃収入で生活した場合、どれくらいの所得になるのか考えてみましょう。5,000万円の物件を購入して実質利回りが3~4%だと仮定します。

単純計算すると年間所得は約150~200万円、月収換算では約12万5,000~16万7,000円です。正直、これだけの収入で暮らしていくのは、厳しいかもしれません。

しかし、5,000万円のキャッシュが手元にあれば不動産投資ローンを利用して1億円程度の物件を買うことは十分に可能です。1億円程度の不動産を3~4%で運用できた場合、年間所得300万~400万円は見込めます。

月収に換算して25~33万円程度のため、ぜいたくはできないにしても早期リタイアは可能な金額と言えるかもしれません。現状では、65歳になると年金が支給されることになっているので、使えるお金も増えて安定した生活が期待できそうです。

《関連リンク》
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ここまで、準富裕層と呼ばれる人たちの職業や生活、準富裕層になるためにクリアしなければならない条件などについて考えてみました。

しかし、努力していくら収入を高めても、きちんと節約しなければ5,000万円の資産形成は望めません。そのため、まずは資産管理をしっかりと行うことが重要です。また、準富裕層になるために不動産投資のような資産運用を行うことも一つの方法でしょう。

その際に大切なことは、立地が良い物件を選ぶことです。好立地の物件は地価が下がらないため、長期にわたって家賃収入を得た後に出口を求めて売りに出しても、買いたたかれてしまう可能性は低いと言えます。

このように、出口戦略までを見すえた不動産投資で、リタイア時に準富裕層入りすることを目標にするのも、一つの手かもしれません。

4-1.会社員が準富裕層を目指すなら不動産投資がおすすめ

準富裕層は一代にして資産を築いた人が多く、会社員から準富裕層になった人も珍しくありません。実はこの会社員の方々こそ、不動産投資で準富裕層になる大きなチャンスがあります。

その理由は、ローンの審査です。会社員として長くお勤めの方には安定した給与所得という強い武器があります。そして、自己資金だけでは買えないような物件であっても、ローンを利用すれば数倍以上の価格でも手が届くようになります。

家賃収入をローン返済に充当すれば、実質的に他人資本で不動産を手に入れることが可能になるため、準富裕層への道も現実味を帯びてくるでしょう。

4-2.コロナ禍を経てリノベーション投資に注目が集まる

一口に不動産投資といっても、物件の種類や形態はさまざまです。今後の不動産投資はコロナ禍を経た社会、アフターコロナを意識する必要があります。

コロナ禍をきっかけにリモートワークなど働き方が多様化したことを受けて、これからのマンション物件には自宅でより快適に仕事ができる工夫も求められるでしょう。

時代に合った物件をつくるためには、リノベーションが有効です。立地条件に優れた中古マンションをリノベーションによって付加価値の高い物件に生まれ変わらせることで、競合物件との差別化ができ、家賃の引き下げ競争で消耗することなく、安定的な家賃収入を実現できます。

《関連リンク》
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