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【2025年最新】不動産投資に関する税金のパーフェクトガイド。節税方法も解説!

不動産投資では、物件の取得時、運営時、売却時、さらには相続や贈与時などさまざまな場面で税金が発生します。不動産は高額な現物資産だけに税金との関わりが多く、不動産投資をしていく上でこれらの税金の仕組みや税率などをしっかり理解しておく必要があります。

これだけ多くの税金があるとウンザリしてしまう方もいるかもしれませんが、不動産投資と税金との関わりにはマイナス面だけでなく、節税効果につながるプラス面もあります。その両面を理解して、税金とうまく付き合っていける不動産投資家を目指しましょう。

【2025年最新】不動産投資に関する税金のパーフェクトガイド。節税方法も解説!

1.取得時に発生する税金

不動産の取得時に発生する税金は、4つあります。不動産取得税、印紙税、登録免許税、そして消費税です。それぞれ税の主旨や税率は異なるので、1つずつ詳しく解説します。

1-1.不動産取得税

不動産を売買や贈与、交換などで取得した際にかかるのが不動産取得税です。税率は4%と定められています。ここで重要なのは、税率をかける「価格」というのは不動産の「固定資産税評価額」であり、購入価格ではないことです。

固定資産税評価額は、毎年送付されてくる納税通知書に記載されていますが、納税通知書がない場合は再発行ができないため、市区町村に対して名寄帳の発行を請求すると、そこで知ることができます。固定資産税評価額は土地部分と建物部分がそれぞれ別に記載されているので、それぞれの金額に4%をかけ、その合計額が税額となります。

 

1-2.印紙税

物件を購入することが決まり、最初の契約時にかかるのが印紙税です。土地や建物を買うときに売主と交わす「不動産売買契約書」や建物を建てるときに建築業者と交わす「建築請負契約書」には、収入印紙を貼ります。契約書へ収入印紙を貼付し印鑑を押せば印紙税を納めたことになるのです。

なお、印紙税は令和9年(2027年)の3月31日までは軽減措置がとられているため、通常の税率よりも低く設定されています。軽減後の税率一覧は、以下のとおりです。

契約金額 軽減前の税率 軽減税率
10万円を超え 50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え 100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

右側の色をつけた部分が、軽減後の税率です。おおむね半分程度にまで税率が軽減されているのがわかります。例えば、不動産投資の目的で売買される多くの物件の価格帯である5,000万円以下なら1万円、1億円以下で3万円になります。

1-3.登録免許税

取得した不動産の登記にかかるのが、登録免許税です。不動産を取得すると、土地と建物の所有権を取得するのが一般的です。そのため、土地部分と建物部分をそれぞれ登記する必要があります。登録免許税の税率は、新築したときは0.4%、他人から取得したときは2%です。

登録免許税は収入印紙もしくは現金で納付することができますが、実際には収入印紙を購入して納税するケースが大半です。

1-4.消費税

土地については消費税の課税対象ではないため課税されませんが、取得した不動産の建物部分については、消費税の課税対象です。売主が個人の場合、消費税は発生しませんが、売主が不動産会社やディベロッパーなどの事業者である場合は消費税が発生します。

また、不動産会社への仲介手数料(400万円以上の場合は通常取引価格の3%+6万円)についても、10%の消費税がかかります(いずれも2024年11月時点)。

2.運営時に発生する税金

取得時の次には、所有している不動産を運用している段階で発生する税金について解説します。運用中の税金は「所有していること」と「利益を上げていること」に対する課税があります。

2-1.固定資産税・都市計画税

固定資産税は、毎年1月1日の時点でその不動産を所有している人に課税される税金です。税率は1.4%で、固定資産税評価額に1.4%をかけた金額が税額となります。

先ほど不動産取得税のところでも登場したこの固定資産税評価額とは、いったい何なのかという疑問がわいてくると思います。固定資産税評価額を決める根拠となっているのは、総務大臣が定める評価基準です。これをもとに都道府県の知事もしくは市町村長が決める仕組みになっています。投資用マンションなど住居用の不動産ではおおむね公示価格の70%程度と見積もっておけば目安になるでしょう。

もう1つの都市計画税は、市街化区域にある不動産を所有している人に課される税金です。土地には市街化区域と市街化調整区域がありますが、マンションやアパートが建っている時点で市街化区域なので、不動産投資のために所有している物件には都市計画税が課されると考えておくべきです。

なぜなら、都市計画税の課税対象外である市街化調整区域では開発行為が認められておらず、投資用のマンションやアパートを建てることも実質的に不可能だからです。

なお、都市計画税は0.3%を上限として税率は自治体が決めることとなっています。多くの自治体は上限の0.3%を適用しているので、固定資産税と合わせて1.7%が毎年発生すると考えておくとよいでしょう。

2-2.所得税・住民税

不動産投資では家賃収入を得ることができます。これが所得となるため所得額に応じた所得税と住民税が課されます。先ほどまで解説してきた税金は所有している不動産の価値に対するものでしたが、この所得税と住民税は得られた利益に対する税金です。

所得税には累進性があるので、所得額に応じて税率が変動します。こちらが所得税の税率一覧です。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

所得が高くなればなるほど、税率が高くなることがおわかりかと思います。不動産投資を本業にしている方の場合は、不動産収入がそのまま所得額になります。そうではなくサラリーマン大家など本業が別にあって副業として不動産投資をしている場合は、本業収入と不動産収入を合算した金額が年間の所得額になります。

例えば、本業の給与所得が年間500万円の人が不動産投資で年間200万円を得ているとします。この場合の不動産収入は経費やローン返済などを差し引いた手残りを意味します。この人は合計で年間に700万円の所得を得ていることになるので、上から4つめにある「6,950,000円 から 8,999,000円まで」のカテゴリーに含まれます。税率は23%です。簡単に計算してみましょう。

700万円 × 23% - 63万6,000円 = 97万4,000

3.不動産収入や経費の対象となるもの

これまでは税金が課される仕組みを中心に解説してきましたが、ここからは視点を変え、税金を減らすために役立つ知識を紹介します。不動産投資では、必要経費を適切に計上することで課税所得を減らし、節税を図ることができます。そのためには、不動産収入の範囲と、経費として認められる項目を正しく理解しておくことが重要です。

3-1.不動産収入の対象となるもの

課税対象の所得を把握するため、まず不動産収入の範囲を確認しましょう。税法上、不動産収入として扱われる主な項目は次のとおりです。

  • 家賃収入
  • 入居契約時に受け取る礼金(敷金のうち礼金部分)
  • 契約更新時の更新料(更新料を徴収する場合のみ)
  • 敷地内に設置した自動販売機に関連する収入
  • 敷地内に設置した携帯基地局などからの収入

上記のうち、礼金や更新料は多くの賃貸契約で該当しますが、地域や契約条件によっては更新料が発生しない場合もあります。一方、自動販売機や基地局の収入は、該当する条件下でのみ不動産収入となります。

3-2.経費の対象となるもの

次に、経費として認められる項目について解説します。不動産投資においては、以下の費用が一般的に経費として計上可能です。

  • 建物部分の修繕、メンテナンス費
  • 管理会社に支払う管理費
  • 固定資産税、不動産取得税
  • ローンを組んだ場合の返済利息
  • 建物部分の減価償却費

修繕やメンテナンスに要する費用や管理費、税金などについては「不動産投資のために使ったお金」とはっきり認識できるので想像しやすいと思います。それに対して下の2つについては補足が必要だと思いますので、1つずつ解説します。

物件の取得費用の大部分をローンで調達するケースは多いと思いますし、それは不動産投資のメリットの1つでもあります。このローンは毎月返済していく必要があるわけですが、元本と利息の合計が毎月の返済金額となります。元本については一度受け取ったお金を返しているだけなので経費とはなりませんが、利息については新たに負担しているお金であって不動産投資のために使ったお金でもあるので、経費として計上可能です。

もう1つの減価償却費については、時間が経つごとに建物が劣化していく分を損金(経費)として計上できる仕組みです。土地は時間が経っても劣化することがないため対象外ですが、建物部分は毎年一定分を減価償却費として経費計上できます。

減価償却費は実際のキャッシュ流出を伴わない会計上の経費なので節税効果につながりやすく、これを目的に不動産投資を始める人もいます。減価償却費を含む不動産投資の節税効果については、別の項目で詳しく解説します。

4. 売却して所得を得れば譲渡所得税

不動産投資の仕上げは、売却です。売却で所得を得た場合にかかるのが譲渡所得税で、譲渡所得税は長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。

売却したときの1月1日時点で5年を超える期間にわたって所有していた不動産を売却し、そこから得た所得は長期譲渡所得となり、それ以下の場合は短期譲渡所得となります。譲渡所得税の課税対象となるのは、総収入から建物の取得費用と譲渡費用を差し引いたものです。

取得費用とは、不動産を買ったときの値段から減価償却したもので、譲渡所得とは、仲介手数料や立ち退き料、建物の取り壊し費用など売却するために使った費用になります。

なお、譲渡所得は「分離課税」という方法で課税されるのがポイントです。分離課税とは、不動産貸付による不動産所得や会社員の給与所得など総合課税の所得と異なり一般の累進税率より低い税率で課税されることです。

長期と短期の場合で税率が異なります。長期が所得税15.315%+住民税5%、短期の場合は所得税30.63%+住民税9%です。(復興所得税を含む)

なぜ、このように短期譲渡所得税は2倍近い税率なのかというと、いわゆる不動産転がしと呼ばれるような短期売買で利益を狙うような投資の税率を高くすることで短期売買を抑制する狙いがあるからです。

所有期間が5年以下、もしくは長期なのか短期なのかきわどい場合や、不動産の譲渡益が発生しそうな場合以外には関わりがありませんが、該当する場合は特に所有期間に注意してください。

5. 贈与や相続でも税金は発生

運用中の不動産を贈与されたり親族から相続したりした場合、それぞれ贈与税と相続税がかかります。ただし、相続精算課税制度を利用せず暦年贈与を選択している場合、年間110万円の基礎控除額を超えなければ贈与税は無税であり申告する必要もありません。

なお、受贈額から基礎控除額を差し引いた課税価格によって税率と控除額が決まります。相続税の課税対象額は以下のものを差し引くことが可能です。

  • 墓所
  • 仏壇
  • 生命保険金
  • 死亡退職金についての非課税枠
  • 借入金
  • 葬儀にかかった費用

この残額から相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人×600万円)を引いた残額が課税対象額です。一人あたりの相続税は、まず課税遺産総額を法定相続分で分割し、その金額に応じた税率をかけて控除額を引いて算出します。

法定相続による取得金額が1,000万円以下の場合は税率10%で控除額はゼロです。3,000万円以下は税率15%で控除額は50万円などと金額に応じて定められています。課税対象額別の相続税率一覧は、以下のとおりです。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

出典:国税庁「No.4155 相続税の税率

6.不動産投資における節税効果

節税効果は不動産投資のメリットの1つであり、状況によってはメリットが大きくなるので、ここで詳しく解説しておきたいと思います。

先ほど減価償却費について少し触れた際に、節税効果についても言及しました。なぜなら、減価償却費を計上することによって「実際には黒字なのに会計上の赤字となって損益通算ができる」可能性があるからです。これだけだと意味がわからないという方が大半だと思いますので、補足していきましょう。

減価償却

 
減価償却費は、法定耐用年数によって決まります。多くのマンションが該当する鉄筋コンクリート造などの建物であれば法定耐用年数は47年なので、新築時から毎年、物件取得費用の47分の1ずつを減価償却費として経費計上できます。単純計算で4,700万円のマンションを購入した場合、毎年の減価償却費は100万円といった具合です。

不動産収入が年間で50万円ある場合、そこから減価償却費100万円を差し引くと50万円の赤字です。実際には50万円の黒字ですが、会計上は50万円の赤字なので給与所得など本業の収入から50万円を差し引くことができます。

これが減価償却費による不動産投資の節税効果です。実際に赤字になってしまうのは好ましくありませんが、キャッシュの流出がない経費である減価償却費を計上することで会計上の赤字になると、節税面で大きなメリットがあります。

7.税金とうまく付き合える不動産投資家を目指そう

不動産投資と税金は切り離せない関係にあり、税金の仕組みを正しく理解しないと、思わぬ不利益を被る可能性があります。一方で、不動産投資には税金をうまく活用することで節税効果を得られるという大きなメリットもあります。

税金の種類が多く、複雑に感じるかもしれませんが、これらを正確に把握することで、不動産投資をより有利に進めることが可能です。マイナス面を最小限に抑え、プラス面を最大限に活用するための知識をしっかり身につけ、税金を味方につけた賢い不動産投資家を目指しましょう。

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