リノベーション

実需市場でもリノベーション物件の人気が上がっているわけ

不動産情報サービスのアットホーム株式会社が2019年12月9日に公表した「中古住宅リノベーション実態調査」によると、リノベーションを前提に中古住宅を購入した人は約77%でした。こうしたリノベーションやリノベーション物件に対する人気の高まりは、これから不動産を購入する人はもちろん不動産投資家としても押さえておくべき大切なニュースです。ここでは最近高まるリノベーション物件の人気の理由について解説します。

実需市場でもリノベーション物件の人気が上がっているわけ

新築神話の崩壊と中古住宅の人気上昇

「新築神話」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?一般的に先進国の住宅市場では、中古住宅を購入する比率が新築よりも高い傾向にあります。2013年に国土交通省が公表した「中古住宅流通促進・活用に関する研究会(参考資料)」によると2009年の中古住宅流通シェアはアメリカ90.3%、イギリス85.8%、フランス64.0%でした。

これは住宅市場における中古住宅の流通状況を表しています。欧米では新築住宅を購入する人がいかに少数派であるかがわかるでしょう。その一方、日本では市場で流通する中古住宅はその当時は13.5%でしかありません。かつての日本では、中古住宅よりも新築のほうが好まれる傾向にあったといえるでしょう。

欧米では住宅は長期間居住できるものであり、適切なメンテナンスをすればさらにその価値を高めていける「資産」という認識が主流です。その背景には、木造建築中心の日本の建築文化と石造りが中心のヨーロッパ建築文化の違いがあるようです。また日本の急速な経済成長によって住宅需要が高まったことで新築住宅の建築が求められ、それに伴いこの「新築神話」が生まれてきたのかもしれません。

しかし日本の木造住宅もメンテナンス次第では長期利用が可能になるのです。すでに日本の人口は減少し始めており、住宅の供給量は十分だと考えられます。そのため新築住宅を供給する必要性は停滞しているといえるでしょう。冒頭で紹介した中古の戸建て住宅やマンションを購入しリノベーションをして暮らすことを検討する人が増えてきているというアンケート結果は、こうした動向を裏付けるものといえるでしょう。

リノベーション物件が人気を集める理由

逆説的な話になりますが、日本では「新築信仰」が盛んだったこともあり、中古住宅は新築よりも抑えた価格で購入することが可能です。さらに中古物件でもリノベーションすれば、現代のライフスタイルに合わせて住み心地の良い住環境が得られますので、これらの理由から中古物件に対する人気が高まってきているのでしょう。

冒頭のアンケート結果は、あくまでも住宅を「購入」しようとしている人が対象です。しかし賃貸住宅への入居を考えている人でも、新築同様の内装で使い勝手が良ければ築古の住宅やマンションでも構わないという人たちも多いでしょう。そのため中古のリノベーション物件は、安定した賃貸経営を目指す不動産投資家からも注目を集めているのです。

また不動産投資の視点で売却を考えた場合、高額の新築物件を購入してしまうと売却時点までの値下がりが気になってしまいますが、もともと価格が抑えられた中古住宅を購入していれば、新築のような値下がり幅は避けられるケースが多いでしょう。不動産投資家の立場では中古の方が出口戦略を立てやすくなるともいえるでしょう。

リノベーションに対しては「工事が大掛かりで大変そう」「将来、再びリノベーションが必要になって費用の負担が大きいのではないか」など不安に思っている人もいるかもしれません。しかし実際は予算やライフスタイルに合わせて入居者やオーナーの希望に応えるリノベーションは可能なのです。

ただしリノベーションには専門の知識が必要です。リノベーション物件に住みたい、または不動産投資の対象として中古のリノベーション物件を検討している人は、まずリノベーションを得意とする専門の会社に相談すると良いでしょう。

リノベーション物件が人気を集める理由

マンション寿命は何年?

リノベーションをするにしても「中古物件にどれくらいの建物寿命が残っているのか」は気になるところです。そもそもマンションの場合、適切なメンテナンスを行っていれば寿命は相当長くRC造(鉄筋コンクリート)やSRC造(鉄筋鉄骨コンクリート)であれば100年以上ともいわれています。

過去においては築30年程度で建て替えられるマンションも多く存在してきました。「短命」の理由については、耐震建築工事が過去の基準で行われているため、現在の基準に照らし合わせると不足や欠落している部分がある場合や、高度経済成長時代に大量供給されたマンションの中には、コンクリート材料に瑕疵があり風化が速く建て替えが必要なケースもあったからだといわれています。

中古物件を購入する際には耐震基準も含め十分に物件を精査する必要があります。これから不動産の購入を考えている人や不動産投資を始めたい人は、まず不動産投資やリノベーションに実績のあるプロの会社をパートナーとして味方につけましょう。会社によっては無料のセミナーを開催しているところもありますので、そのような機会を利用して「賢い」不動産オーナーになるための情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

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