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過去の不動産バブルから見える傾向と対策。バブルに左右されない投資術

資金が過剰に不動産市場に流れ込み、物件の価格が本来の価値を超えて急騰する現象を「不動産バブル」と呼びます。昭和の不動産バブルは有名ですが、それ以外にも歴史上、何度も不動産バブルが発生しており、令和の現在も局地的な不動産バブルが発生しています。

本記事では、不動産バブルがなぜ起きるのか、そしてバブルが発生すると何が起こるのか、といった疑問にお答えします。また、今後も不動産バブルが起こる可能性がある中で、振り回されることのない不動産投資の方法についてもご紹介します。

過去の不動産バブルから見える傾向と対策。バブルに左右されない投資術

1.不動産バブルの歴史

過去に起きた不動産バブルにはどんなものがあるのか、昭和、平成、そして令和それぞれの時代に起きたバブルを紹介します。

1-1.昭和の不動産バブル

昭和の不動産バブルは、1980年代の半ば(昭和60年代)に発生しました。ニュースや書籍などに登場する「不動産バブル」は、昭和の不動産バブルのことを指していることが大半です。物価にそれほど変化はありませんでしたが、地価や株価が投機的な資金の流入によって高騰し、それが1990年代まで続きました。

1985年のプラザ合意によって為替は円高に誘導され、日本は円高不況となりました。そのための対策として公定歩合(金利)が引き下げられ、低金利を背景に銀行融資を活用した不動産への投資が活性化。それによる値上げに興味を持った投資家がどんどん参入し、大都市圏の地価が高騰しました。

その後、未曽有の不動産バブルは日本全国に波及し、地方ではリゾート開発やゴルフ場開発などが活発になりました。その後、多くのリゾート施設は「バブル遺産」として廃墟化しており、今では考えられないバブルの凄まじさを無言で語っています。

1-2.平成の不動産バブル

昭和の不動産バブルは、平成の時代になっても続きました。バブル状態は平成の時代が始まってから数年間続きましたが、1990年3月、国による総量規制(銀行からの貸出規制)によって不動産市場に冷や水が浴びせられ、それをきっかけに不動産の価格が暴落、バブルは終焉しました。

地価の推移を見ると、不動産バブル崩壊による地価の下落がいかに凄まじいものであるかが分かります。

出典:国土交通省 平成時代における土地政策の変遷と土地・不動産市場の変化

1997年(平成9年)には大手証券会社の一角をなしていた山一證券が廃業し、同年には大手銀行の北海道拓殖銀行も経営破綻しました。いずれも不動産バブル崩壊が原因で、これだけの大企業の経営が行き詰ってしまったことに対して、当時は衝撃的に報道されました。

1-3.令和の不動産バブル

時は流れて、令和の時代になっても不動産バブルは依然として発生しています。本記事を作成している2024年8月時点でも、地価がバブル的に高騰している地域があり、これらの地域では不動産バブルが現在進行中です。

特に顕著なのは、東京を中心とした首都圏における不動産価格の高騰です。2023年には東京23区の新築マンション平均価格が1億円の大台を突破しました。全国的には地価が下落している地域は多いのですが、今も人口が増加し続けている東京ではマンション価格の高騰が続いています

そのほかにも、熊本県に進出した台湾の半導体メーカー、TSMCの工場周辺の地価が高騰していることが話題になりました。

このように、令和板の不動産バブルは全国一律のものではなく、局地的に発生しています。かつての昭和版不動産バブルでは、価値の低い不動産までもが高値で取引されていましたが、令和板の不動産バブルでは本当に価値のある不動産に高値がついている傾向が強く、実需によるものである(つまりバブルとは言い切れない)傾向が見られます。

2.不動産バブルが起きる理由

昭和の時代から何度も発生している、不動産バブル。海外に目を向けると中国で不動産バブルの崩壊が指摘されており、巨額の不良債権が今後の中国経済に暗い影を落とすと言われています。

このようにさまざまな時代、場所で発生する不動産バブルですが、なぜ不動産バブルが発生するのでしょうか。

最も大きな理由は、金融緩和です。金融緩和政策がとられると金利が低くなるため、企業は資金を調達しやすくなります。市中に大量の資金が供給され、だぶついた資金が投資先を模索するようになります

昭和の不動産バブルでは、その資金が株や不動産に流れました。それによって不動産価格が高騰し、「不動産は儲かる」と考えた人がさらに参入したことによってバブルが形成されていきました。

これと同様のことはその後も起きているため、資金が過剰に供給されると不動産バブルが起きやすくなると言えます。

3.東京の不動産はバブル?

先ほど、東京の不動産価格が高騰していることに触れました。それでは東京の不動産はバブル状態なのかというと、そうではないと考えるのが妥当です。

不動産バブルであるかどうかを判断する基準に、「不動産の利回りと長期金利の金利差」があります。不動産の利回りが長期金利よりも低いのに不動産価格が高い状態は、バブルと見なされます。

不動産を購入して運用している利回りが長期金利よりも低いのであれば、より安全性の高い債券に投資したほうが投資家にとって有利です。債券よりも利回りが低い資産は通常値上がりしませんが、それにもかかわらず価格が高騰しているのであれば、それはバブルです。

東京の不動産は利回りが10年物長期国債利回りを上回っており、不動産の価値は妥当、つまりバブルではないと考えてよいでしょう。

出典:みずほ信託銀行 不動産マーケットレポート

図にあるたくさんの点は、J-REIT(不動産投資信託)が取得した東京都心5区のオフィスビルと賃貸マンションの利回りです。そして赤線は10年物国債利回りです。両者を比較すると明らかに不動産の利回りが高いので、東京の不動産はバブルとは言えません。

4.バブルに左右されない不動産の特徴

バブルに左右されない不動産の特徴

今後も発生する可能性がある不動産バブルでは、思わぬ利益が期待できる一方で大損のリスクもあります。そういった外的要因に振り回されることなく、堅実に不動産投資をしたいという方は多いと思います。

そんな方におすすめなのが、「東京都心+中古マンション+リノベーション」の不動産投資です。東京の都心は今後も不動産の価値が低下しにくく、資産価値の高さゆえに安定的な家賃収入が期待できます。しかし、先ほども述べたように東京の不動産は高騰しており、簡単に購入できるわけではありません。

そこで、新築よりも価格が安い中古マンションがおすすめです。中古マンションは新築よりも安く購入できるだけでなく立地条件に恵まれている物件が多く、価値ある不動産を見つけやすいメリットがあります。しかし、その一方で中古マンションは設備や内装などが古くなっており、それが集客力の低下につながります。

そこで、中古マンションをリノベーションすることにより価値を再生し、ほかのマンション物件にはないような付加価値を持たせることにより、「安く買えて、資産価値が下落しにくく、集客力の高いマンション物件」が出来上がります。

この方法であれば東京の都心物件であっても購入しやすく、多くの不動産投資家から注目されているビジネスモデルです。

5.これからも発生する不動産バブルに備えるために

不動産バブルが発生するメカニズムや、過去にあったバブルを紹介してきました。今後も不動産バブルが発生する可能性は大いにあるため、不動産投資をする方はバブルの発生と崩壊に備えておく必要があります。

そんなバブル的な価格変動に振り回されたくないという方は、堅実な「東京都心+中古マンション+リノベーション」のビジネスモデルを検討してみてはいかがでしょうか。長期にわたって資産価値が低下しにくい物件で、長期的かつ安定的な家賃収入が期待できます。

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