投資の基本

知っていました?分散投資で大切なのはリバランス

資産運用を成功させるために、分散投資という考え方を身につけることはとても大切です。投資対象の資産が好調な場合、ひとつ、もしくは少数の資産に集中投資を行うと、短期的に収益は最大化されますが、投資対象資産に問題が生じ、不調となってしまった場合には大きなダメージを被ります。

分散投資は、複数の資産に投資を行うことで、そのうちのひとつがダメになったとしても、資産全体が受けるダメージを低く抑えるというもので、投資の考え方としては非常に重要です。その分散投資を行う上で、最も大切になるのが、アセットアロケーションとリバランスです。それぞれがどういうものなのかをみていきましょう。

分散投資とはどのようなものか

そもそも分散投資とはどのようなものなのでしょうか。分散投資は、投資対象資産を多様化させて、資産の価格変動リスクを低減し、資産全体の運用成績で良い成果を出そうという考え方です。投資対象となる資産には、株式、投資信託などの金融資産だけではなく、FXのような外国為替や不動産といったさまざまな種類がありますが、分散投資では、それぞれに対して一定の割合を投じるということになります。

具体的にいうと、分散投資の方法は4つあります。投資対象を日本国内に限定せず、海外の複数国の株式や国債、為替、不動産に投資する「地域分散」、株式や不動産など、種類の異なる複数の資産に投資する「資産分散」、日本円だけで運用するのか、ドルやユーロなどの外貨建てで運用するのかという「通貨分散」、定期的な積立を行うことで、資産の購入時期を分散する「時間分散」です。

アセットアロケーションとは何か

資産運用を始めると、「アセットアロケーション」という言葉を良く耳にします。アセットアロケーションとは、日本語で「資産配分」という意味です。具体的には、投資対象となる地域や資産、そして、通貨を、どのような「配分」で分散させるかということです。

多くの投資初心者は、最初に「〇〇会社の株式を購入しよう」、「〇〇にあるマンションを買おう」というようなことを考えると思います。しかし、アセットアロケーションの考え方では、最初に、自分の投資目的を明確に設定し、自分が許容できるリスクの限度を決めてから、実際に投資する資産の配分を決定します。

例えば、「国内株式30%、先進国株式20%、新興国株式10%、国内債券10%、国内不動産30%」という内容で分散投資した投資家がいます。彼が決めたアセットアロケーションでは、国内資産は70%、海外資産は30%に「地域分散」と「通貨分散」がされて、株式60%、債券10%、不動産30%に「資産分散」されています。

どのように市場を読むかは、投資家によって個人差がありますが、一般的に債券よりは株式、先進国よりは新興国という順番で、投資リスク(とリターン)は高くなると考えられています。投資目的を達成するためには、年間の目標利回りを定め、どの程度までリスクを許容できるかを前提に、どの資産に、どの程度の投資をするのかを、前もって決めてしまうのです。そのアセットアロケーションに従って、具体的に投資資産を購入します。

リバランスとは何か

実際にアセットアロケーションに従って資産運用を行った人は、最初に決めた資産のバランスが、時間の経過とともに崩れてしまうことを経験します。しかし、これは仕方がありません。自分の想定以上に不動産が値上がりすることもあれば、想定外に株式が値下がりすることもあるのです。各資産がそれぞれ値動きする結果、当初に決めた配分は崩れていきます。

そのため、アセットアロケーションに従って資産運用する場合は、最初に設定したアセットアロケーション比率に、現状が合うように、資産の組み替えや買い増しを行います。これを「リバランス」と呼びます。

例えば、株式市況が不調で保有株式の価格が下落し、1年前の半分になってしまった一方で、J-REITなどの不動産投資信託が値上がりしていた場合は、アセットアロケーションの比率を戻すために、必要な額のJ-REITを売却し、その資金で、必要な分の株式を買い増します。こうすることで、自分が定めた資産運用の戦略は維持されます。

なお、自分自身が置かれた経済状況や、市場の見通しや投資に対する考え方が変化すると、当初定めたアセットアロケーションそのものを見直す必要が出てきます。こうした場合、各資産で分配比率を変えることになりますが、そうした行為を「リアロケーション」と呼びます。

資産運用は柔軟な発想で

さて、今回は資産運用で大切な分散投資と、アセットアロケーションやリバランスについて考えてみました。

市場は刻一刻と変化します。自分自身の生活も日々変化します。未来永劫、同じ環境で投資を行える人はいません。さまざまな状況に対応するために、自分自身の投資戦略も変化するでしょう。柔軟な発想で「リバランス」、「リアロケーション」が行えることが資産運用では大切になります。

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