投資の基本

店舗や事務所用不動産への投資はあり?なし?

不動産投資というとアパートやマンションへの投資が一般的なイメージでしょう。しかし必ずしもこのような居住用不動産に限定されているというわけではありません。駐車場や資材置き場に使うための更地に投資したり、マンションなどであっても「民泊」で収益を上げていたりする人もいます。また、店舗や事務所用不動産への投資も選択肢の一つとなります。

店舗や事務所用不動産への投資はリスクが高い傾向であるものの、利回りも比較的高いため投資家からは注目を集め始めていますが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

ここでは店舗や事務所への不動産投資がどんな投資家に向いているのか、投資初心者でもチャレンジできるのかについて解説します。

店舗や事務所用不動産への投資はあり?なし?

店舗・事務所が高収益を狙える理由

店舗や事務所への不動産投資が高収益を狙える理由はいくつかあります。特に大きな要因となるのが単位面積あたりの家賃収入の高さといえるでしょう。居住するだけの居住用不動産とは異なり、店舗や事務所では利益を上げるためにビジネスが行われます。つまりビジネスで利益を出すための物件という扱いであるため、家賃も高めに設定することが可能となります。

賃貸経営においては経費をいかに抑えて収益性を保っていくかが重要になりますが、店舗や事務所への投資はその点でも有利といえるでしょう。居住用不動産の貸し出しの場合は、経年劣化などの自然な損耗に関しては、入居者に修繕義務はなくオーナーが費用を負担して修繕することになりますので、その分の経費がかかってしまいます。

また居住用不動産のキッチンやトイレ、バスルームなどの水回りは生活に欠かせない部分であるため、時代に合わせて設備をメンテナンスしていかないと入居者が見つからないこともあるでしょう。そのための費用もオーナー負担となります。

一方、店舗や事務所の場合は、居住用に比べると水周り設備を使用する時間も限られているため、そのためのメンテナンスはそれほど必要ないといえるでしょう。また、入居時の改装費用や退出時の原状回復などの工事費用は入居者側の負担となりますし、入居・退出ともに内装などが何もない建物の躯体だけの状態「スケルトン渡し」が一般的な傾向のようですので、オーナー側の負担は居住用に比べると少ないといえるでしょう。

融資や保険の条件が厳しいなど、リスクも多い

利回りの面から考えると店舗や事務所への不動産投資は大変魅力的に思われがちですが、居住用物件と比較すると空室リスクは高めになる傾向ですので、不動産投資の初心者向けではないかもしれません。

居住用不動産の場合は、生活することが目的になるため長期にわたり安定的に居住してくれることが見込めるでしょう。ところが、ビジネスのために借りられる店舗や事務所は、借り手のビジネスがうまくいかなければ、すぐに退去してしまう可能性があるのです。またビジネス自体が順調だとしても、広さや立地などより条件の良い物件を求めて引っ越ししてしまうことも考えられます。

さらに不動産投資ローンの金融機関の審査が厳しくなりがちという一面もあります。居住用不動産の場合、購入する投資家の収入や資産、信用情報などが審査されます。しかし店舗・事務所用場合、オーナーになる投資家の経験・実績に加えて、物件の収益性、実際に物件に入居する会社や個人の状況なども厳しく見られる傾向にあるのです。

その他にも、店舗や事務所は基本的に地震保険に加入できません。その場合「店舗総合保険」などの「地震特約」を利用することになりますので保険に加入する際には注意が必要です。

融資や保険の条件が厳しいなど、リスクも多い

初心者はアパートやマンションで経験を積もう

利回りが大きな魅力の店舗・事務所への不動産投資ですが、上記のようなリスクや審査の厳しさなど賃貸経営に求められるスキルも高くなる傾向です。そのため不動産投資の初心者は、ある程度の経験を積むまでは避けたほうが無難かもしれません。どうしても興味がある場合は、アパートやマンション投資で経験を十分に積んで、ある程度資金に余裕ができてから挑戦するとよいでしょう。

いずれは店舗・事務所や一棟マンションなどの大規模な不動産投資を視野に入れている人でも、最初が肝心です。これから不動産投資を始める人は、まず信頼のおけるプロの専門家にアドバイスを受けながら安定的な賃貸収益を目指して経営スキルを身につけましょう。

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