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このままで大丈夫?給料が少ないと感じた時に取るべき人生への対策

ネットニュースを見たり、学生時代の友達と話したりしていて、もしかして自分は給料が少ないのではないか?と感じたことはないでしょうか。厚生労働省の調査によれば、令和2年度の日本人の平均年収は433万円ですので、これよりも低い場合は、平均よりも、もらっている給料が少ない可能性があります。

ただし、給料は働いている業界や性別、職歴や資格の有無などによって差が出ますので、平均年収だけで、自分の給料が少ないと決めつけるのは早計です。

本記事では、年代別平均給与や世界の給与水準、頑張って働いているのに給料が少ない理由などについて解説します。併せて、給料が少ないと思った時に取るべき5つの対策についても見ていきましょう。

1.年代別・日本人の平均給料

毎年、厚生労働省が行っている民間給与実態統計調査によれば、令和2年度の日本人の平均給与は433万円でした。以下のグラフは、同じ調査にある、平成22年から令和2年までの11年間の平均給与のトレンドです。1990年代(平成3~5年)のバブル崩壊以降、日本は低所得・低物価・低金利・低成長が何十年も続いており、一時期はオリンピックで経済が持ち直したものの、依然として会社員の平均給与は400万円代の横這いのままです。

参照:厚生労働省 令和2年分 民間給与実態統計調査より編集部まとめ

厳密にいうと、給与とは、雇用主から労働者に与えられる全てのもので、残業代や各種手当が含まれた金額のことです。一方、給料は、給与から各種手当などを差し引いた金額のことで、給与明細の基本給に記載されている金額のことです。

ただし、多くの方はお給料のことを「お給与」とは言いませんので、本記事では、給与は勤め先から毎月支払われる、給料全般のこととしてまとめています。

給料は年代と性別以外にも、業界や勤続年数、技術、学歴、会社の業績など、給料の算出に必要な、さまざまな要素がからみあって決まります。また、内資と外資では給料の査定方法も違います。

本章では、将来的な転職などのステップアップも視野に入れ、日本国内の業界×年代別の平均給与をまとめています。

  1. 20代の平均給与
  2. 30代の平均給与
  3. 40代の平均給与
  4. 50代の平均給与
  5. 世界の給料水準はどのくらい?

1-1.20代の平均給与

民間給与実態統計調査よれば、20代の平均給与は約237,363円、業種で最も給与が高いのは、金融・保険の263,600円です。20代の会社員は、新卒で入社したばかりの方から、社会人5~10年目の方まで混じっている年代ですので、20代前半と20代後半では、人によっては、給与に大きな開きが出ていることもあります。

参照:厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査の概況より編集部まとめ

ただし、全体的には業界別の給与格差は、まだ、さほど大きなものではありません。別の言い方をすれば、次の30代に向けて、給料の良い仕事にステップアップを考えている場合は、働く業界そのものを変更するチャンスでもあります。

1-2.30代の平均給与

30代の平均給与は321,950円、業界で最も高額なのは金融・保険業界の434,400円です。30代になると、業界別の給与格差がかなりハッキリしてくるのと同時に、技術や資格が必要な業界、例えば、学術研究・専門技術、教育・学習支援、情報通信の業界でも、給与が上がってきていることがわかります。

参照:厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査の概況より編集部まとめ

30代前半と後半では、役職手当などで差がつくケースも増えてきます。ただし、30代は既婚・未婚、子供のある・なしによって可処分所得(自由に使えるお金)にかなりの差が出る年代ですので、もらっている給料で納得のいく暮らしができているかどうかは、個人の状況によります。

また、30代は起業をする、FIRE(セミリタイアメント)をするなどの、今までとは違った生き方にチャレンジする機会が多い年代でもありますので、もらっている給料と将来のライフスタイルとのバランスを考慮しながら、不動産投資などの副業をはじめる方が増える年代でもあります。

1-3.40代の平均給与

40代の平均給与は396,500円、最も給与の高い業界は、金融・保険業界の592,600円と、平均給与とおよそ20万円分の差があります。

40代は他の業界も軒並み上昇はしていますが、例えば、次点の学術研究・専門技術業界の473,650円は、30代の金融・保険業界の給与に近い金額になります。

金融・保険業界がここまで高給になる理由として、他の業種と違い、サービスや物品を販売して対価を受け取るのではなく、お金でお金を生み出すことができる業種であることにあります。

もう一つの理由として、金融・保険業界は、規制業種という国が新規参入や事業拡大に対して規制をしている業界であるため、ライバルが乱立しにくいというのもあります。

参照:厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査の概況より編集部まとめ

社会人になってから20年近くが経過している40代では、40代前半と後半の平均給与差はそこまで大きくはなく、それよりも、所属する業界によって給料に大きな差が出ています。

どの業界にも適正があり、ほとんどの場合、この年までに自分に合った業界業種へと転職を済ませているケースが多いため、40代からは、その業界に精通した人物だけが残っていく傾向があります。

また、マイホームを持ったり、子供の養育費がかかったりする年代であり、定年後のことや、早期退職によるセカンドライフのことを考え始め、不動産投資などを検討するタイミングでもあります。

1-4.50代の平均給与

50代の平均給与は437,650円、最も給与が高いのは金融・保険業界の593,900円、次点が情報通信業界の540,200円です。

金融業界は40代までの伸びと比較すると、一旦の落ち着きが見られます。代わりに、情報通信業界が大きく伸びていることがわかります。

情報通信業界、いわゆるIT業界は、現在進行形で躍進している業界ですので、トレンドに沿った部門が次々と生まれてきます。そのため、複数の新設部門を束ねる統括者としての役職がたくさん生まれることになり、役職手当てなどの報酬が増えやすくなります。

参照:厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査の概況より編集部まとめ

50代はかなり責任のある仕事をこなしつつ、子供の成人・親の介護などプライベートでも大変に忙しい年代です。しかし、会社組織の中では、ある程度の出世競争の駒が進み終えた年代でもあるため、50代前半と後半で給与に大きな差がみられません。

また、お世話になった先輩や上司が定年退職したり、関連子会社に移動する同期を目の当たりにしたりするため、自分の定年後の人生を身近に感じ、セカンドライフの資金作りに意識が向きます。

1-5.世界の給料水準はどのくらい?

本項では、世界の中で、日本の給料は多いのか少ないのかを比較するため、経済協力開発機構(OECD)が調査をしている世界34ヵ国の平均年収を調べてみました。

順位 国名 日本円換算142円 順位 国名 日本円換算142円
1 ルクセンブルグ ¥9,540,000 18 ニュージーランド ¥5,800,000
2 スイス ¥9,090,000 19 イタリア ¥5,790,000
3 アイスランド ¥8,440,000 20 スペイン ¥5,570,000
4 オランダ ¥8,360,000 21 日本 ¥5,390,000
5 ベルギー ¥8,010,000 22 韓国 ¥5,360,000
6 カナダ ¥8,010,000 23 スロベニア ¥5,210,000
7 デンマーク ¥7,830,000 24 イスラエル ¥5,000,000
8 オーストリア ¥7,720,000 25 ギリシャ ¥4,100,000
9 アメリカ ¥7,600,000 26 ポルトガル ¥3,990,000
10 オーストラリア ¥7,400,000 27 リトアニア ¥3,930,000
11 ドイツ ¥7,260,000 28 ポーランド ¥3,780,000
12 ノルウェー ¥7,220,000 29 チェコ ¥3,510,000
13 イギリス ¥6,580,000 30 エストニア ¥3,220,000
14 アイルランド ¥6,530,000 31 ラトビア ¥3,220,000
15 フランス ¥6,400,000 32 ハンガリー ¥3,170,000
16 フィンランド ¥6,380,000 33 スロベニア ¥2,770,000
17 スウェーデン ¥6,060,000 34 メキシコ ¥2,630,000

 

参照:OECD資料より編集部まとめ
※通貨はドル建て換算を日本円142円で計算。平均給料とは2000〜2021年までの平均値のことです。

この調査結果では、世界34ヵ国のうち、最も年収が高いのはルクセンブルグ、次いでスイス、アイスランド、オランダ、ベルギーと続き、日本は21位です。

各国でそれぞれ、社会背景・主要産業・雇用体制・社会保障制度なども違いますので、一概に年収が高いから暮らしやすい、豊かな人生が送れる国だとは言えないのですが、給料という面で切り取ると、このようなランキングになります。

ただし、気になるのは、この20年の間で、通貨による不均衡があるはずの国々と、日本の給料の格差がほとんどなくなってきている点です。

わかりやすい例で言えば、今回、日本のランキングのすぐ下に位置する、お隣の国の韓国は、もともとは韓国ウォンと日本円の間に大きなレートの差があったからこそ、日本人はお得に韓国旅行を楽しむことができていました。

しかし、給料という面で見たときに、すでに韓国と日本の差はほとんどなくなっているということは、日本人の給料が数十年という長さで横這いのままの間に、世界の給料水準がどんどん上がってきているということになります。

ただ、日本の企業は、大きな失敗をしない限りは、外国企業のように、突然のリストラなども起きにくい傾向がありますので、突然の解雇におびえながら働く外国企業の社員と比較すると、比較的、組織で長く安定して働ける環境が整っていると言えます。

給料に対する企業体制はすぐに変われないものですが、雇用者が社会状況や会社の都合に合わせていれば、横這いの給料のままで、また、あっという間に数十年が過ぎていきます。そのため、今後のライフスタイルなどと照らし合わせたうえで、副収入を得る方法などを、真剣に考えておく必要はあるかもしれません。

このような状況では、組織を飛び出していくよりも、会社員であることを最大限に活用できる、不動産経営の検討をおすすめします。不動産経営は、人に貸すためのマンションを購入し、その家賃収入が会社の給料以外の副収入として入ってくる仕組みをつくる仕事です。

最初にマンションを買う時にはローンを組みますが、金融機関は、企業に守られて安定収入が期待できる会社員には、融資を積極的に行う傾向があります。そのため、年収の高低には関係なく、「会社員である」こと自体が、不動産経営には有利に働くのです。また、ローンの返済原資は入居者からの家賃ですので、不動産経営をスタートしても、今までと生活は変わりません。

ただ、今までと違うのは、会社からの給料のほかに、副収入と資産が増えていきます。

不動産経営が気になる方は、会社員が不動産経営をして年収を増やしていける仕組みを、REISMの不動産投資セミナーで、ぜひご確認ください。

2.給料が少ない理由【ソーシャル編】

本章では、給料が少ない理由を、社会的な側面から探ってみました。「どうしてこんなに給料が少ないんだろう?」という、入社以来の素朴な疑問が解決するかもしれません。

会社の給与体制は会社が決めるものですので、個人の力で自分の給料を変えられる部分はとても少ないのですが、仕組みを理解しておくと、自分の望むライフスタイルのために、今後取るべき対策も見えてくるようになります。

  1. 日本は労働分配率が低いから
  2. キャリアアップしづらい環境だから
  3. 日本独特の雇用習慣があるから

2-1.日本は労働分配率が低いから

日本の企業は、労働分配率が低いということが、日本人の給料が低い理由の筆頭にあります。労働分配率とは、とてもカンタンに言えば、社員みんなで働いて得た利益を、どういうあんばいで社員に分けるか、という企業の考え方のことです。

労働分配率が高いと、働いたら働いただけ給料が上がりますので、社員の士気は上がりますが、その分、人件費がはね上がり、企業が次の成功をするための投資力・開発力が鈍くなります。

しかし、あまりにも労働分配率が低いと、業務負担に応じた評価をされないため、過剰労働となり、社員の士気が下がります。その反面、十分な社内留保があることで、新しい商品の開発などが十分に時間をかけてできるため、所属する企業が長く繁栄する可能性が高くなります。

日本は、1990年代のバブル崩壊後、企業が不良債権処理に追われたことが原因で、自社が出した利益の使い道は、まず会社の借金返済をしてしまう、という考え方に切り変わりました。稼いだお金のほとんどは借金返済に回されますので、企業は少しでも売上を増やすために、自社製品価格を下げて対応してきました。

しかし価格が下がると会社の利益は減り、会社で分配する利益が社員にまで回らなくなります。すると、人々はさらにお金を使わなくなり、商品を買ってほしい企業はさらに値下げをし、さらに売り上げが落ち込むという悪循環が続いていきます。

その結果、本記事冒頭で解説した通り、景気低迷による低賃金・低成長時代が続いて、給料は横這いのままで現在にまで至っています。

参照:厚生労働省 令和2年分 民間給与実態統計調査より編集部まとめ

ただしこれは、終身雇用など社員を長期間抱えて運営することを前提にしている日本企業が、またバブル崩壊のようなことがあった時でも、大切な社員を守るために選択した方法でもあります。

社内留保を厚くし、万が一の場合でも、むやみな解雇はせず、今までと同じだけの給料は支払っていけるようにした結果の給料の横這いですから、一概に労働分配率が低いことが「悪いことだ!」とは言い切れないのです。

このように、労働分配率を高くはせずに、社内にたくさんの資金をプールするという考え方は、すでに日本の企業風土にまでなっていますので、この考え方を、一朝一夕に変えるのはかなり難しいと言えます。

2-2. キャリアアップしづらい環境だから

すでに制度としては無くなっていますが、日本は従来から終身雇用制度という概念があり、よほどの大失敗をしない限り、企業が社員をクビにすることがありません。現在では、早期退職やリストラなどもありますので、「自分たちの時代には終身雇用制度なんかない!」と感じている若い方もいるかと思います。

しかし、日本の会社では外国企業のように、当日の朝「君は今日で解雇ね。明日からは来なくていいから」と言い渡され、その日のうちに、段ボールに自分の荷物を詰め込んで、会社から放り出されるなどという、映画のワンシーンのような光景は、まだ現実にはありません。

また、少しの失敗をしたくらいで上司から嫌われ、レッドカードで一発退場というクビの仕方もできないようになっています。

つまり、世界基準でいえば、日本の会社員は、まだまだ企業組織からよく保護をされており、自分が望めば、終身雇用に近い形で働いていくこともできる、会社員にやさしい環境が整っています。

半面、成果主義ではないため、目立つ結果を出しても・目立つ結果を出さなくても、会社においてもらえるという部分があり、キャリアアップをしてどんどん昇給していきたい人にとっては、もどかしい職場となります。

2-3.日本独特の雇用習慣があるから

前項でも触れましたが、日本には概念として終身雇用制度のような働き方の仕組みが根強く残っており、基本的に、一旦就職すると労働者がとても強い立場にあります。

労働者が手厚く保護されるのは、昔の終身雇用制度や年功序列制度の名残りですので、今風の自由な働き方にするのであれば、本来ならばこの風土も根本から変えるべきなのですが、それは社員にとって安定した地位を揺るがす大きなデメリットにつながりますので、変更はしないままで今日まで来ています。

ご自分の周囲を見渡すとわかりますが、社員の中には、一生懸命働いて出世したいと願うタイプと、給料の分だけ働くタイプの2タイプがいます。

仮に解雇を自由にできる力を企業に与えてしまった場合、給料の分だけしか働かないタイプの社員は、業績が悪くなったら真っ先に放り出されることになりますが、今のところ、そのような権限は、労働組合などによって強く抑制されています。

また、腕に覚えがあるようなタイプの社員は、働きに応じて給与や役職が上がらないことに不満を感じ、ある程度のところで転職をしていきますので、結果的に、社内には、不満はあっても会社を辞めないタイプの人材が残っていくことになります。

つまり、社員は給料がどんどん上がらなくてもカンタンには辞めないことを企業側が理解しており、一方、大失敗しない限りは頑張らなくても会社は自分をクビにはしないことを、社員側もよくわかっているのです。

このことを、企業側も社員側もお互いに肌でわかっている、これが日本独特の雇用習慣と言えます。

別の言い方をすれば、お互いに納得のいく着地点があるということでもありますので、その会社に無関係な人が「この会社は流動性が悪い!」と言ったところで、お互いに辞めさせる気も・辞める気もないわけですから、変化はしにくいと言えます。

3.給料が少ない理由【パーソナル編】

本章では、給料が少ない理由を、個人的な理由「パーソナル編」でまとめました。前章のソーシャル編とは違い、こちらは自分の気持ひとつで対応できる部分が多いため、具体的なキャリアアップや転職のための参考にしてください。

  1. 仕事内容と給料が見合っていない
  2. 適切な評価をされていない
  3. 給料の安い業界にいる
  4. 残業代がつかない

3-1.仕事内容と給料が見合っていない

自分の給料が少ないと思った場合には、やっている仕事内容と給料が見合っているかどうかをチェックする必要があります。例えば、他社の友人と比べて明らかに残業が多いなど、「こんなに頑張っているのにお給料これだけ?」と思うのであれば、一度、仕事内容に対して、適切な金額が支払われているかどうかを確認してみてください。

もしかしたら、本来は、1人でこなすような仕事ではないことをしている可能性もあります。そのような職場の場合、今後どれほど頑張っても、自分の給料が上がる可能性は低いと言えます。

【対策】
学生時代の友人などに聞いて、同じような職種の同年代と、自分の仕事量を比較してみます。同じ会社の中で比較すると、どの人も仕事内容と給料が見合っていない環境で働いている可能性がありますので判断をしにくくなります。

ケースによっては、上司や先輩から「社会とは、こんなものだ」と諭されて納得してしまう可能性もあり、万が一、仕事内容が給料に反映されていなかった場合、取り返しのつかないことになります。

また、転職サイトなどを見て、今の自分の職種が年収いくらくらいで募集されているのかを確認する方法もあります。転職情報では仕事の分量まではわかりませんが、複数の会社を見比べることで、給料の相場がつかめるようになります。

3-2.適切な評価をされていない

必死に頑張っているのに、適切な評価をされていない可能性があります。特に、上司との関係性が悪い状態が長く続いている場合、上司の性質によっては、厳しい査定となっている可能性も否定はできません。

また、ご自身が経験値や資格などをアピールしていないことが原因で、マイナスの評価がないだけで、プラスの評価がされていない可能性もあります。

【対策】
上司との関係性が良くない場合は、同じ部署にいる限り、給与の変化は起きにくい可能性があります。人事部に相談の上、移動願いを出せば、精神的にも仕事はしやすくなり、妥当な昇給もしやすくなるでしょう。

上司部下と言えども、人間同士ですので相性はあります。あまり自分を責めることなく、自分にとって働きやすく良い環境になるように動くことで、仕事のパフォーマンスが上がれば、企業に貢献することになりますので、臆せずに動いてみてください。

また、職務経歴書などに記載のない職歴や資格など、報告していないことは、会社も上司も知ることができません。仮に、今の職場には直接的に関係ないことでも、機会を見て、上司に伝えておくことで、より総合的に判断してもらえる可能性が高まります。

3-3.給料の安い業界にいる

業界や業種によって給料の水準は違います。第一章の年代別平均給与で解説した通り、同じ年数だけ働いていても、業界によって驚くほど給料に違いがあります。

業界によっては、もともと給与水準を低く設定してあるところもあります。例えば、独立開業することが前提のアパレルや美容業界、また保険制度を利用した雇用のある福祉業界などは、はじめから給料が低く設定してあります。

このような業界は、自分が好きで働いているケースもあるので、好きな仕事で楽しく働くことと、給料が上がることが必ずしも比例しない部分があります。

【対策】
好きなことを仕事に!と飛び込んだ業界でも、あまりにも低賃金が続くと、将来のことが不安になります。一度、好きなことと生活を冷静にはかりにかけて、遠い将来までシミュレーションしてみる必要があります。

特に、20~30代の場合、今は問題なくやっていけても、この先、結婚・出産・子育て・介護と、ライフイベントが多数押し寄せてきたときに、同じように思えるかどうかを冷静に考えてみてください。

ご自分ではよくわからない場合には、ファイナンシャルプランナーの無料相談などを受けると、これからの自分の人生には、合計いくら必要で、これから何をするべきかなどが、かなり具体的にわかるようになります。

3-4.残業代がつかない

サービス残業は珍しいものではありませんが、代わりに定時退社や有休消化を取ることが法的に整備され、社員にとって休みやすい・働きやすい社会になりつつあります。

会社によって考え方の違いはあるものの、昔の日本のような「深夜まで働く」「有休は使わないのがエライ」などの、滅私奉公・激務を美徳とする風潮は、すでに遠い過去のものになっていますので、給与と労働力が見合わないことは、仮に周囲がやっていても、断って全く問題ありません。

【対策】

問題は、給与の中に残業代があらかじめ含まれている「みなし残業」スタイルを職場がしている場合です。会社によっては、いったん定時でタイムカードを打刻させ、その後に、仕事をさせるところもあります。

このような働かせ方は、本来ならば企業としては違法であり、所属している会社が、ブラック企業である可能性もあります。

明らかにみなし残業の範囲を超えているにもかかわらず、残業代が支払われていない場合は、厚生労働省の運営する労働条件相談「ほっとライン」に相談し、自分の置かれている環境が、給与と比較して、妥当なのかどうかなどを、客観的に判断してもらうことで、今後の身の振り方がハッキリしてきます。

労働条件相談の担当者は、会社の業界・人数・主な取扱商品・職種と相談内容から、違法である可能性や、ブラック企業である可能性などを判断し、的確なアドバイスをしてくれます。

また、もっとカンタンな判断方法として、自分の給与を労働時間で割ってみて、自分の会社または同業種のアルバイトの時給よりも安ければ、転職も視野に入れて、将来のことを考え直してみる必要があります。

4.給料が少ない人と思った人がとるべき5大対策

本章では、給料が少ないなと思ったときに、自分の将来のために、とりあえず取るべき対策を5つにまとめています。

転職をする、と言ってもすぐに良い転職先が見つかるとは限りませんし、今の職場で重要な仕事をしていて責任があり、すぐには動けないこともあります。

しかし、準備さえしておけば、ご縁があった時にスムーズに動くことができます。

  1. スキルアップ
  2. 直接交渉をする
  3. 節約する
  4. 転職を考える
  5. 副業をスタートする

4-1.スキルアップ

最も手っ取り早い方法は、資格などを取得して給料を上げてもらう方法です。職場で具体的なスキルアップをアピールできる資格を取得すれば、将来の配属などに大きな影響を与えることができます。

職場や職種によって、必要なスキルが違ってきますので、自分で調べたり上司や人事部に相談をしたりして、必要なものが何かを聞いてみます。職場によっては、資格試験のためのサポートや、受験料を出してくれるところもありますので、そのような制度があるかも同時に確認します。

スキルアップすることで、将来、ご自分の給料に反映されれば喜ばしいことですし、会社にも頼りにされます。また、転職の際も技能や資格を証明できるものがあるほうが、有利に働きます。

4-2.直接交渉をする

前項で解説した資格の取得に関して、必ず会社や上司に報告をし、自分がスキルアップしたことをアピールするようにします。多くの会社では、ボーナスや給与査定のための面接が定期的にあるので、その時に報告をするようにしましょう。

そのような制度がない会社の場合でも、人事部に報告をしに行けば、社員のキャリアシートに内容が記載されます。

どちらも、昇給の打診はしてみても問題がなく、内容が適切なものであれば、上司も会社も考慮はしてくれます。ただし、結果が出るかどうかは、職場の人材配置やタイミングにもよります。

4-3.節約する

給料が少なく、今のところ転職をする気持がないのであれば、とりあえず、出費を抑えるしかありません。

ただし、ミニマリストのような「何も持たないライフスタイル」であったとしても、家賃や食費、光熱費、携帯代などは必要です。このように、給料が増えても減っても、毎月、同じだけ出ていくようなタイプの出費を「固定費」といいます。

固定費の大小は、今の給料でのライフスタイルの満足度に大きく影響を与えます。固定費が少なければ少ないほど、可処分所得(自分が自由に使えるお金)が増えるからです。

例えば、今住んでいる部屋の家賃を負担に感じているのであれば、友人とシェアをするなどで家賃負担を減らすか、もっと家賃の安い部屋に引っ越しをします。一時的に引っ越し代がかかったとしても、その後の固定費は前よりも減りますので、毎月の給料からの可処分所得は増えることになります。

また、携帯電話のプランを見直す、無料Wi-Fiのある部屋に住むなど、さまざまな節約を複数組み合わせることにより、固定費負担を軽くすることができます。

今の給料で満足度の高い暮らしをするためには、自分にとって必要な可処分所得は最低でいくら、最高でいくらなどを把握しておき、その範囲で、出費を調整していくようにします。しかし、固定費を0円にすることは難しいため、この方法には限界があります。

4-4.転職を考える

今の仕事に必要な資格を取得して会社にかけあっても、昇給して給料が上がる見込みがないとわかった場合は、今よりも高い給料の会社へ転職をすることも検討します。

転職は、あせらず、準備をしっかりとしてから行うようにします。例えば、次に移った会社で、自分をより高く評価してもらうために必要な技術や資格を揃えてから移動するなど、自分にとって転職のメリットが最大化するように考えます。

転職先も、同じ業界で給料の高い成果主義のところにするのか、それとも別の業界にするのかなど、自分の適性や生き方に合った転職先を、よく比較検討します。

自分1人で上手く動けない場合には、転職エージェントなどに登録をして、サポートを受けながら転職活動をすることもできます。

辞めることはいつでもできますので、この先の人生の可能性をたくさん比較検討したうえで、辞めるという話は、最後の最後にするようにしてください。

4-5.副業をスタートする

給料を今の会社でもらいながら、自分の年収を増やす方法として、副業があります。現在は、副業を許可している企業も多く、さまざまな収入源を持つことは、広く認知されつつあります。

副業をはじめる一番のメリットは、今の仕事は今までと同じトーンで続けられるため、転職失敗による年収ダウンを回避しながら、慎重に年収アップを狙える点です。

副業は終業後や土日に別の仕事やアルバイトをする方法のほか、インターネットを使ったネットビジネスを自分ではじめることもできます。選択肢はたくさんありますので、会社での仕事に影響が出ない範囲でできる副業を、じっくり探してみるところからはじめて下さい。

数ある副業の中で、本業に影響が出ず、さらに会社員であることが最大の武器になるのは、不動産経営です。不動産経営とは、カンタンに言えば、マンションなどを人に貸すことを目的に購入し、その賃料収入からローンを返済し、さらに副収入を得る方法です。

ローンの返済は家賃収入から行いますので、今まで通り、会社に勤めて自分の給料で生活をしているだけで、自動的にローン返済が進んでいきます。つまり、マンション経営のローンは、マイホームを買って、自力で汗水流して借金返済をしていくのとは、根本的に違うものです。

完済した後は、賃料収入から経費を差し引いたものが全額、自分の収入になります。新しくマンションを購入して同じことを繰り返せば、今の自分の給料を超えた月収を副業でつくり出すこともできます。

不動産経営は、高額でリスクがあり、敷居が高いのではないかというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、副業で不動産経営をするのに、最も向いているのは、会社員のような安定した職業に就いている方です。

確かに不動産経営をスタートさせるためのマンションは高額な買い物ですが、これを現金で買う人は稀で、不動産経営をスタートするほとんどの方は、金融機関でローンを組んでスタートします。その際、金融機関からは、会社員は安定して給料が入ってくる優良な融資先だと見なされます。

不動産経営は、株やFXなどのように、派手に大儲けできるような投資方法ではありませんが、じっくりと時間をかけて資産を作りながら、同時に長期安定した収入源にもなる、とても頼りになる副業です。

  • ご自分の給料に不満がある
  • あと少し副収入があれば、転職までしなくてもいい
  • 将来の転職のために、今、副収入の道を確保しておきたい
  • しっかりとして収入を得て、早めのリタイアメントをしたい

など、人によって給料を増やしたい理由はさまざまですが、不動産経営という年収を増やすアイデアが気になった方は、まずは、本当に会社員も安全に経営ができるものかどうかを、REISMの無料不動産投資セミナーでご確認ください。

5.まとめ

会社員の方の給料の少なさに関して、さまざまな角度からまとめました。業界によって給与水準がかなり違うことや、世界水準から言っても、日本は給料が多いとは言えない国であることがわかりました。

また、日本の給料が少ない理由を、社会的背景と、個人的な背景に分けて解説しました。社会的な背景は個人の力で変えることはできませんが、個人的なことは、今日から変えていくことができます。

これから、給料が少ない今のご自分の状況を変えるために、さまざまな行動をしていくと思いますが、年収を増やせる可能性の一つとして、不動産経営もぜひご検討ください。

3年以上勤めた会社員へ。
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