資産運用

アーリーリタイアに必要な資金を年齢別に解説!資産形成のために知っておくべき道筋も紹介

アーリーリタイア(早期リタイア)という言葉に、特別な感情を抱く方は多いのではないでしょうか。仕事をしなくても生きていける自由を手に入れ、人生を謳歌したいと考えることはごく自然なことです。

実際、アーリーリタイアして会社に縛られず、毎日を自分らしく生きたいという人が増えています。仕事に時間を奪われず、好きなことをしたり家族や友人と過ごしたり、自分にとって大切なことに時間を使えれば、充実した毎日を過ごせるでしょう。

しかし、日々の生活費や将来に備える資金がないとアーリーリタイアはできません。そこでどれくらいのお金があればアーリーリタイアできるのかを知ることは重要です。

本記事では、多くの人が憧れるアーリーリタイアについて、メリットやデメリット、さらに年代別に必要な資金の目安、資産形成するために知っておくべき道筋などについて解説します。

アーリーリタイアに必要な資金を年齢別に解説!資産形成のために知っておくべき道筋も紹介

1.アーリーリタイアとは?FIREやセミリタイアとの違い

最初に、アーリーリタイアとはいったいどういう状態のことをいうのか、その定義や近年流行しているFIREやセミリタイアとの違いについて解説します。

1-1.アーリーリタイアとは

アーリーリタイアとは、経済的に自立をして定年前に仕事を退職し、働かずに生活することを意味します。会社に縛られず自分が本当にしたいことをしながら毎日を過ごし、ストレスなく生きるライフスタイルです。

アーリーには「早期」「早く」という意味があるので、本来であれば定年退職の年齢まで現役で働くところを、資産運用によって生活資金をまかない定年を待たずして退職し、自由に時間を使うという考え方が、アーリーリタイアです。

アーリーリタイアと聞くと、資産の運用益でぜいたくな暮らしをするイメージを持つ方がいるかもしれません。確かに資産運用で得たお金で高級マンションに住んだり、高級外車に乗ったりすることが成功だと思う方もいるでしょう。

しかし、運用益だけでそのような生活をするには数億円以上の資産が必要になり、一般的な会社勤めの給与でこれだけの額を貯めるのはかなり難しいことです。

現在注目されるアーリーリタイアは、決してぜいたくな生活をするものではありません。次項で解説するFIREもそうですが、できるだけ無駄を省いたシンプルなライフスタイルにし、本当に自分が心の満たされることに時間を使うのが目的です。

1-2.FIREやセミリタイアとの違い

アーリーリタイアに似た言葉に、FIREやセミリタイアがあります。アメリカではFIRE(Financial Independence,Retire Early)という呼び名で、20〜30代の若い世代に広まっています。コンピューター関連の仕事をしていたPete Adeney氏 が30歳で早期退職し、そのライフスタイルと方法をブログで発表したことで一気に注目を集めました。

FIREにも「Retire Early」が含まれているので、アーリーリタイアを目的としている点では同じです。しかしこのFIREは完全なアーリーリタイアを目指すものではなく、好きなことであれば仕事をするという意味合いも含まれています。

その意味ではFIREはセミリタイアに近い言葉といえます。アーリーリタイアは好き嫌いにかかわらず全く仕事をしなくても生きていけるだけの仕組みを作ることを目的としているため、完全リタイアなのか、部分的リタイアなのかという目的による違いがあります。

FIREに関しては多くの書籍が出版され、FIREを実現するための勉強会なども頻繁に催されています。できるだけ節制した生活を送り、同時に貯蓄や節税、投資などを行いながら資産を蓄え、定年より早くリタイアすることを目指しています。

先ほど解説したように、アメリカのFIREでは完全に仕事につかないスタイルの他に、セミリタイアという選択をしている人もいます。例えば自分の趣味でお金を稼いだり、より生きがいを感じられる仕事についたり、ボランティアで人のために役立つ仕事をする人もいます。

そうした仕事の収入が少なくても、投資などにおいて生活費を補えるだけの運用益が定期的に入ってきたらどうでしょう。やりたくない仕事で自分の時間を犠牲にしながら毎日を過ごすのに比べ、心の充実度は全く違ったものになるでしょう。

1-3.セミリタイアは社会との接点を持つことができる

セミリタイアには、社会とのつながりを持ち続けられるメリットがあります。完全にリタイアすれば自由な時間は増えますが、接する世界が限られ視野が狭まる恐れがあります。リタイアしても資産運用は続けるわけですから、世の中の流れをある程度わかっていた方が安心です。

一方セミリタイアなら社会とのつながりを持てるため、世間の感覚とずれてしまうことを防げます。また新たにやりたいことや、人との出会いが生まれる可能性もあるでしょう。無理のない範囲で社会との接点があった方が、得られるものは多いのではないでしょうか。

2.アーリーリタイアのメリット・デメリット

アーリーリタイアを達成すると、どんなメリットを得られるのでしょうか。そして、あまり光が当たらない部分ですが、どんなデメリットがあるのかについても解説します。

2-1.アーリーリタイアのメリット

アーリーリタイアを達成することで、主に3つのメリットを得られます。多くの方が想像されていることも含めて見ていきましょう。

  1. 時間的、精神的なゆとりが手に入る

    アーリーリタイアとFIREに共通しているメリットであり、多くの方が憧れるのが時間的、精神的なゆとりが手に入ることでしょう。仕事に縛られることなく、自分の好きな時間に起きて好きなことをして過ごし、いつでも寝られるという生活は誰もが理想とするものです。

  2. 今やっておきたいことができる

    人は必ず時間とともに老いていくので、やりたいことがあるなら早いうちにやっておきたいと考えるものです。定年退職を待っていると年齢的に遅すぎると感じることであっても、アーリーリタイアをすれば比較的若いうちに始められます。

  3. 住む場所を自由に決められる

    あまり注目されていないメリットですが、アーリーリタイアを達成すると仕事によって住む場所を決められることがないため、自分で住む場所を自由に決めることができます。夏は涼しい国や地方に滞在し、冬は暖かい南の島で過ごすといった多拠点生活も可能です。

2-2.アーリーリタイアのデメリット

次に、アーリーリタイアのデメリットについても解説しましょう。3つのデメリットが考えられるので、アーリーリタイアを目指したい方は留意しておいてください。

  1. 目論見通りにならなかった時に取り返しがつきにくい

    何歳までにどれだけの資産を形成して、そこからの運用益がどれだけあって……というようにアーリーリタイアに向けて計画を立て、それを達成したら退職しても生活ができるわけですが、計画どおりの展開が未来永劫続くと保証されているわけではありません。

    FIREでは年利4%の運用が想定されていますが、アーリーリタイアに向けて運用してきた方法でその後も4%以上の利回りが続くとは限らないのです。

    万が一目論見通りにならなかったとしても、すでにリタイア(退職)してしまっているので取り返しはつきにくいでしょう。そのため、計画段階で想定外の事態をしっかり想定しておくことが重要です。

    目論見通りにならなかった時に取り返しがつきにくい
  2. 社会人としてのキャリアはそこで止まる

    現役の社会人として働いているうちはキャリアが継続するので、さらなる出世やキャリアアップも望めるでしょう。しかし、アーリーリタイアは仕事から離れることを意味するため、キャリアもそこで止まります。これまで築き上げてきたキャリアを捨てるだけの価値がアーリーリタイアにあるか、十分考えるべきでしょう。

  3. 社会との接点が少なくなり孤独感がある

    それまで離れたくて仕方なかった仕事ですが、実は社会との接点でもあります。仕事を辞めると同僚など仕事仲間とも接点が薄くなりますし、時間の経過とともに全く接点がなくなるかもしれません。

    リタイア後も部分的に仕事をしたりボランティアなどに参加したりする人の目的には、社会との接点を維持することも含まれています。

3.アーリーリタイアに必要な資金の目安

具体的にどれくらいの資金があればアーリーリタイアして、仕事をせず生活できるのでしょうか。前述の FIREでは運用利回りの目安として4%という数字が示されています。これは年間に必要な生活費の25倍の資産があれば、年利4%の資産運用で生活できることを意味します。

例えば、年に400万円の生活費が必要なら25倍で1億円になります。これを年利4%で運用すれば年間で400万円の運用益となり、仕事をせずに生活できる計算になります。

それでは30歳、40歳、50歳という3つの年齢を想定して、4%の運用利回りであればどれだけの資金が必要になるのか、試算してみましょう。

アーリーリタイアに必要な資金の目安

3-1.30歳からアーリーリタイアを目指す場合

30歳からアーリーリタイアを目指す場合、多くの時間があるので50歳での達成にも現実味があります。30歳から積立運用を始めて50歳で資産1億円を達成するまでの道のりを、金融庁の資産運用シミュレーションで試算してみました。

想定利回りを4%に設定すると、毎月27万2,647円を積み立てることで、20年後に1億円を達成できます。

3-2.40歳からアーリーリタイアを目指す場合

次に、40歳の人を想定して試算をしてみましょう。40歳から始めて50歳でアーリーリタイアをするためには、期間が10年しかありません。その分毎月の積立金額は大きくなり、毎月67万9,118円の積立が必要です。

上記のシミュレーション結果を見ても運用益が占める比率が少ないことが分かります。運用期間が短い分だけ複利効果が小さくなることも、積立に必要な金額を押し上げています。

3-3.50歳でアーリーリタイアする場合

50歳はすでにアーリーリタイアの目標となる年齢なので、今すぐアーリーリタイアをして年間に400万円の運用益を得るためには、1億円の資産が必要になります。やはりアーリーリタイアはできるだけ若い年齢のうちから計画的に取り組むことが重要で、若いうちに始めるほど成功率は高くなります。

4.アーリーリタイアを目指す時にすべきこと

年齢別にアーリーリタイアに必要な資金の試算をしました。これを見ると、若いうちから計画的に進めておくことがどれだけ重要であるかがお分かりいただけると思います。そこで、アーリーリタイアを目指すために、まずするべき2つのことについて解説します。

4-1.人生設計を具体的に考える

先ほど金融庁の資産運用シミュレーションを用いて目標額達成までの道のりを試算しました。これはあくまでも一例で、各々の年齢や目標に合わせて自分のシミュレーションをした上で、それを実現できる計画に落とし込んでいく必要があります。

何歳までにアーリーリタイアを目指すのかという目標を立てると、毎月必要な積立額が見えてきます。それが非現実的なのであればアーリーリタイアの年齢を遅らせたり、目標額を低くしたりするなどの調整をして、現実味と具体性のある計画を立てましょう。

4-2.寿命年齢までの収入額・支出額を計算する

人が何歳まで生きるのかを正確に知ることはできませんが、おおむね何歳まで生きるのかを想定した上で、それまでに必要な金額を算出すると「これからの人生で必要な金額」の目安を知ることができます。

逆にこれから何歳まで仕事をして、それまでにどれだけの生涯収入があるのかも大まかに知ることができるので、これらの数字を突き合わせて「人生のトータル収支」を知ることから始めましょう。

何歳まで働いて、何歳でアーリーリタイアをして、その後何歳まで生きるのかを大まかに知ることによって、必要な資金に加えて「何歳まで働く必要があるか」という目安も見えてきます。

5.生活するのに十分な資産運用とは

ここまでの解説で、アーリーリタイアやFIREの前提となる「4%の運用」を想定条件にしてきました。そんな条件で長期運用ができる方法があるのか?と疑問に感じた方もおられることでしょう。

では、好きなことややりがいのあることを仕事にしつつ、生活をするのに必要な運用益を手にするにはどうすればいいのでしょうか。資産運用と言うと株式投資を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、株式投資で生活費が補えるだけの運用益を生み出すには、かなり大きな手持ち資産が必要になります。

しかも株式の平均利回りは一部上場銘柄でも平均で1~2% と、たとえ1億円を貯められたとしても年間で100万円から200万円程度の運用益にしかなりません。また取引や市場状況を随時チェックしなければならず、自由な時間が十分に得られない可能性もあります。

6.不動産投資ならアーリーリタイアに近づくことができる

不動産投資なら、現在の生活を大きく変えることなくアーリーリタイアに近づくことができます。不動産投資は賃貸用のワンルームマンションなどを購入し、それを他の人に貸して家賃収入を得る投資方法です。

短期で大きな収益を手にできる投資ではありませんが、ローンを利用し最小限の手持ち資金で始められるという大きなメリットがあります。さらに家賃収入でローンの返済を行えるため、現在の収入を大きく削ることなく資産形成が可能です。

つまり、ローンという他人資本を活用して物件を購入し、こちらも他人資本である家賃収入を使ってローンを返済していけば他人資本を活用した資産形成が可能になります。この方法であれば投資効率が高く、ここまで紹介してきたような高額な積立をする必要もありません。また、サラリーマンなど標準的な収入の方であっても50代でのアーリーリタイアが一気に現実的になります。

なお、物件の維持管理は管理会社にほぼ任せられるため、本業やプライベートの時間を犠牲にせずに資産を作れます。もし収入に余力があった時は積極的に繰り上げ返済し、早めにローンを完済すればアーリーリタイアがさらに近づくでしょう。

不動産投資ならアーリーリタイアに近づくことができる

6-1.実際の利回りはおよそ4%

不動産の鑑定評価を行う日本不動産研究所の調査によると、2022年4月の賃貸住宅1棟(ワンルームタイプ)投資の期待利回りは東京城南地区で4%です。ここまで何度も取り上げてきたアーリーリタイアの条件、「年利4%」とも見事に一致します。

1棟とワンルームの違いはありますが、もし3,000万円の中古区分マンションを購入してローン完済後に4%で運用できれば、年間120万円の運用益になります。さらにそこから所有物件を増やし、2戸で6,000万円の運用になれば240万円の年間運用益になります。

自分の好きなことを仕事にしてシンプルで無駄のない生活スタイルなら、年間240万円の家賃収入があればアーリーリタイアも十分可能になってくるはずです。しかもこの家賃収入を生み出す「金の卵」を一部の自己資金だけで購入することができるのですから、不動産投資がアーリーリタイアやFIREに適しているといわれるのも納得がいきます。

7.できるだけ早く始めることが成功の鍵

アーリーリタイアを実現するために最も大切なポイントは、資産運用をできるだけ早く始めることです。若いうちに始めることで不動産投資の収支をプラスにできる時期が早まり、その結果リタイアする時期もどんどん近づいてくるのは、年齢別のシミュレーション結果を見てもお分かりいただけたと思います。

逆に何もせず時間だけが過ぎていくと、早期退職できるだけの資産を貯めるのが難しくなります。またスタートが遅ければ、資産が蓄えられた頃に本来の定年近くの年齢になってしまうかもしれません。もちろん蓄えた資産は老後の備えとしても役立ちますが、老いてからと若いうちでは自由な時間にできることが変わってきます。

リタイア後の自由を最大限楽しめるように、できるだけ早く資産形成の準備を始めましょう。そのための最も有力な手段として、不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。

3年以上勤めた会社員へ。
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