投資の基本

リバースモーゲージにもデメリットあり?長生きがリスクになる?

自宅を持っている人がその自宅に住み続けながら、自宅を利用して融資を受ける「リバースモーゲージ」という金融商品が近年注目を集めています。「自宅を売却することなく資金を受け取れる」「生存中は返済しなくてよい」といったことがメリットのリバースモーゲージですが、デメリットはないのでしょうか。

今回はリバースモゲージの仕組みを解説するとともに、デメリットについても考えてみたいと思います。

リバースモーゲージにもデメリットあり?長生きがリスクになる?

自宅担保の年金制度

リバースモーゲージとは「自宅を担保に金融機関から融資を受け、毎月金利を支払いながら現金を受け取れる」仕組みのことです。アメリカなどでは、1980年代から高齢者が資金調達をするための手段として広く利用されてきました。日本でも最近になってメガバンクをはじめ多くの銀行が商品化をはじめ、現在ではリバースモーゲージを検討する人が増えています。

住宅ローンと違って徐々に負債が増えることから「リバース(逆)」の「モーゲージ(担保)」と呼ばれており、資金の使い道は事業や投資目的のものを除けば生活費やレジャー、リフォームなど自由です。老人ホームへの住み替えをしたり、住宅ローンの残債に充当したりすることもできます。

契約満期、もしくは契約者が死亡したときに担保物件の売却または相続人が一括返済するのが一般的ですが、預貯金や保険などの金融資産で返済できない場合、金融機関は抵当権を行使して物件を現金化し回収します。言い換えると「死亡後に必ず家を売らなければならないわけではない」ということです。またプランによっては、契約者が亡くなっても契約を切り替えることで配偶者は家に住み続けることができます。

なおリバースモーゲージでは、年収審査もあります。自宅の担保価値が高ければ必ず融資を受けられるわけではなく、商品によっては融資額が限られている点にも注意しましょう。

「長生き」というリスク

不動産を持つ高齢者にとってはメリットの多そうなリバースモーゲージですが、実は特有のリスクもあります。例えば「金利上昇リスク」「地価下落リスク」「長生きリスク」です。商品の多くは変動金利を採用しているため、金利が上昇すると返済利息が増えて毎月の負担は増加します。

また金融機関は契約時に不動産の担保評価をしていますが、融資後に地価が大幅に下がると担保評価額も引き下げられる可能性がある点も注意しなければなりません。さらに死亡後、不動産を売却してもローンが残り相続人に請求される場合もあります。

最も対策が立てにくいのが長生きリスクです。契約満期を超えて長生きすると、資金が受け取れないばかりでなく返済ができなければ家を失うことになりかねません。つまり二重のリスクがあるということです。人間の寿命ばかりはコントロールできません。長生きを想定し、余裕を持った計画が大切だと言えるでしょう。

「長生き」というリスク

売却やリースバックなどとも比較検討

上述したようなメリットとデメリットを理解したうえで、自宅を売却して賃貸住宅に移り住むことや売却後に借りてそのまま住む「リースバック」という方法などと比較検討することも忘れないでください。ただし賃貸住宅に住む場合、最近では孤独死のリスクを懸念されて「高齢者が賃貸住宅を借りにくくなっている」という問題があります。

そこで有効なのが「リースバック」という仕組みです。リースバックは自宅を金融機関が買い取り、契約者は家賃を支払うことで「賃貸住宅」として自宅に住み続けられるというものです。老後資金を調達したうえでそのまま住み続けられる点は、リバースモーゲージと同じです。しかしリースバックでは所有権がないため、固定資産税がかかりません。

また「売却資金の使い道に制約がない」というメリットもあります。例えばリタイア後に自宅を事務所や店舗として起業したい場合などに向いているでしょう。また何らかの方法で資産ができたとき、再度家を購入することも可能です。ただし賃貸契約を結ぶ際は、住むための契約が「普通借家契約なのか」「定期借家契約なのか」についてしっかりと確認してから契約するようにしましょう。

借家契約では一般的に「借主の方が立場が強い」とされており、貸主側からの解約や更新拒絶には正当事由が必要になります。しかし定期借家契約の場合は契約更新がなく、住み続けるためには再度契約をすることになります。このときリースバック会社が住宅を転売してしまうと、新しいオーナーとの間で再契約ができなくなる可能性もあるのです。

自宅を持っている人にはメリットの多そうなリバースモーゲージですが、見落としてはいけないデメリットもあります。リバースモーゲージを検討する際は、前述したリスクを踏まえたうえで、本当にこの仕組みが自身に合っているのか、慎重に考えるようにしましょう。

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