投資の基本

不動産投資を始めるには元手の現金は最低でもどれくらい必要なの?

投資にはさまざまな種類がありますが、不動産投資を選択しようとしている人にとって最も気になるのは、「元手はいくらあればいいのか」ということでしょう。「物件価格の2~3割が目安」という人もいれば、「自己資金ゼロで始められる」という広告もあります。実際のところ、どの程度の元手が必要なのでしょうか。今回は、不動産投資を始める際に最低限必要になる自己資金について考えてみます。

不動産投資を始めるには元手の現金は最低でもどれくらい必要なの?

物件購入の諸費用は7%

自己資金の使い道は、大きく分けると以下の3つになります。

①物件購入の際の「諸費用」 
②リスクに備える資金 
③物件購入時に支払う「頭金」 

「諸費用」とは、不動産会社に支払う仲介手数料や登記の際に司法書士に支払う報酬、ローン手数料、税金などです。その額は、物件価格の7%前後と言われています。

金融機関から借りる投資用ローンには、基本的に諸費用は含まれていません。諸費用のためのローンを用意しているところもありますが、諸費用までローンを使ってしまうと毎月の返済が多くなるため後々負担も大きくなります。少なくとも諸費用を自己資金で対応できる程度の余裕を持っておいた方が良いでしょう。したがって、用意すべき自己資金は物件価格の7%が最低ラインということになります。

フルローンで後々困った事態に

オーナーが金融機関から「属性」の高さを認められ、物件の資産価値を高く評価してもらえれば、自己資金ゼロでも不動産投資を始めることができます。ただし、その場合は頭金を入れない「フルローン」を組むことになり、金利が通常よりも高くなるケースもあるので注意が必要です。金利が高くなると毎月のローン返済額が増えて手元に残るお金が少なくなり、収支が悪化してしまいます。

また、空室が続くと家賃収入をローンの支払いに充てられないので、さらに苦しむことになるでしょう。空室リスクを考慮しない不動産投資は危険です。前述の「②リスクに備える資金」として、できれば家賃収入の数ヵ月分は手元に用意しておきたいものです。

物件価格の2~3割は用意しよう

自己資金の使い道のひとつとして挙げた「③物件購入時に支払う頭金」によってローン残高を少しでも減らすことができると、月々の返済額も少なくなるので手元に残るキャッシュが増え、賃貸経営の安定性が高まります。

なお、金融機関からの融資額はオーナーの年収をベースに計算されますので、高額物件の場合は資金が足りず手が届かないこともあります。このようなときに十分な頭金を支払えるとローンの総額が減るので、融資を受けられることがあります。つまり、頭金が「下駄」になるのです。

同じ間取りとスペックなら、好立地で築浅物件のほうが価格は高くなりますが空室リスクは下がるでしょう。頭金を多めに用意できると、選べる幅が広がり優良物件を手に入れやすくなるということです。

頭金の目安は、一般的に物件価格の1~2割と言われています。ここに「①物件購入の際の諸費用」と「②リスクに備える資金」が加算されることを考えると、物件価格の2~3割の自己資金を用意しておくと安心できそうです。

物件価格の2~3割は用意しよう

どうしても今すぐに投資を始めたい人は

物件価格の2~3割というと、常識的に考えて数百万円は用意することになるでしょう。数百万円単位の資金は、かなり努力をしないと短期間では貯まりません。「自己資金は足りないけれど、不動産投資を今すぐに始めたい」という人は、割安な郊外の物件や競売物件を探すという方法もあります。ただしそのような物件は、そのままでは賃貸経営が難しいケースが多くあり、対策としてリノベーションで資産価値を高めるといったことが必要になるでしょう。

現物にこだわらないのであれば、多くの投資家から集めた資金で複数の不動産を運営し、賃貸収入や売買益を分配金として受け取ることができる「Jリート」という不動産投資の仕組みもあります。実際に利益を得ながら不動産投資を勉強できるという意味では、良い方法かもしれません。自己資金や金融機関から調達できる資金などをしっかりと計算した上で、今の自分に何ができるかを把握することが大事です。

「不動産投資を始めるのに必要な自己資金は物件の2~3割」という目安は、オーナーの属性やその他の要件で大きく変わります。あくまでも目安であり、ゼロでもOKという人もいれば、4割以上はないとNGという人もいて、個人差が大きいのです。

また、金融機関はオーナーの「属性」以外に、“マネーリテラシー”を判断材料にすることもあります。例えば、高収入でも貯金が少ないと「計画性が乏しい」と評価されてしまい審査に通らないことがあるのです。言い換えると「自己資金が用意できている」ことは、自身の“マネーリテラシー”の高さを証明することにつながります。

金融機関との交渉に詳しい不動産会社をパートナーに選んで、相談しながら頭金の準備やローンの交渉をすると、不動産投資をスムーズに始められるでしょう。

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