投資の基本

どうする?不動産投資の頭金

不動産投資は物件購入のために多額の資金が必要です。そのため、購入時は金融機関でローンを組んで資金を調達するのが一般的です。その際に気になるのが「頭金はどのくらいの金額を用意すればいいのか」「頭金なしのフルローンはおすすめなのか」といった点ではないでしょうか。そこで本記事では、不動産投資における頭金について解説していきます。

どうする?不動産投資の頭金

頭金のメリット

頭金を用意することの最大のメリットは、融資審査の難易度を下げられることでしょう。頭金が多ければその分ローンの金額は少なくなります。不動産投資をするために自身の生活をコントロールし、貯金をしてきたという生活態度や投資に対する考え方も金融機関から評価してもらえるかもしれません。また、不動産投資では物件の購入費用以外にも以下のような費用がかかります。

  • 不動産会社への仲介手数料
  • 不動産登記や抵当権設定などの司法書士報酬
  • 契約書に貼る印紙税
  • 登記の際の登録免許税
  • 不動産取得税
  • 各種保険料

一般的に上記のような費用はローンの対象とならないことが多いため、多少なりとも資金の調達が必要になってきます。このうち金額が一番大きくなるのは、仲介手数料(不動産売買価格が400万円超の場合、3%+6万円+消費税)でしょう。ただしその他の費用もそれなりにかかることを忘れてはいけません。諸経費の目安は購入価格の6~8%といわれています。

例えば2,400万円の物件を購入する場合は約144万~192万円の経費が発生する可能性があるため、頭金とは別に資金繰りを組んでおく必要があります。またローンには利息が発生します。利息は必要経費として計上できますが、土地の購入部分にあたる利息は不動産所得が赤字になった場合は経費にできません。つまり不動産投資による節税効果を期待するなら、少なくとも土地代の部分は頭金でまかなったほうがいいということになります。

頭金ありとフルローンでは収支はどう変わるのか?

実際に頭金を入れた場合と頭金なしでフルローンを組んだ場合では、収支はどのように変わってくるのでしょうか。2,400万円の物件を例にして簡単に比較してみましょう。借り入れ条件は返済期間27年、3%の元金均等返済で設定してみます。

<フルローン>借入金額2,400万円
毎月返済額:13万5,000円 / 返済総額:3,375万円 / 利息総額:975万円

<頭金3割>借入金額1,680万円+頭金720万円
毎月返済額:9万4,000円 / 返済総額:2,363万円 / 利息総額:683万円

頭金を3割入れた場合、同じ金利かつ返済年数だと27年間で利息総額292万円、年間に直すと約11万円も利息が少なくなりました。同時に利息分の所得税・住民税も変わります。仮に税率を合わせて33%とした場合、頭金3割のケースでは年間で7万2,000円ほど収支が改善。当然のことですが頭金を入れるとその分元本返済が少なくなるため、キャッシュフローは楽になります。

ただし頭金が多ければ多いほどいいというわけでもありません。頭金を用意していると、その分だけ投資開始のタイミングが遅くなる点はデメリットです。不動産投資は、自己資金が少なくても金融機関でローンを組みレバレッジを効かせられることにメリットがあります。足踏みをしてせっかくのチャンスを逃してしまわないように気をつけましょう。

頭金ありとフルローンでは収支はどう変わるのか?

厳しくなる融資審査

2018年に発生したシェアハウスに対するスルガ銀行の不正融資問題で、一部の融資審査が有名無実化されていたことについて世間の批判が高まりました。これをうけて金融機関は、頭金の準備も含めて厳しく審査するようになったといわれています。審査が厳しくなったことで「今回はフルローンでいきたいと思っていたのに最終的にOKがもらえなかった」という不動産投資家の声も少なくありません。

ただし不動産投資で一番大切なことはフルローンを組むことではなく物件の収益性です。収益性が高く担保価値も十分にあると評価してもらえれば、フルローンとはならないものの少ない頭金での融資は検討してもらえます。また投資家の勤務先情報や年収、クレジットカードヒストリーなどの属性が高ければさらに融資審査は有利になるはずです。

仲介する不動産会社が金融機関との交渉に詳しいかどうかも重要なポイントになるでしょう。投資用不動産の実績がある会社は金融機関でローンを組む際のノウハウも持ち合わせていることが多いため、適切なアドバイスをしてくれます。

物件については、割安感があり入居実績のある中古物件を購入してリノベーションでバリューアップさせれば高めの家賃設定も可能になります。空室率が低く担保価値と収益性を両立させた物件であれば、金融機関の担当者を説得しやすくなるでしょう。レバレッジを効かすことができるのは不動産投資の強みです。他の金融商品にはないこの強みを活かして、資産運用にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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