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マンション価格は下落する?これまでの推移どおりにいかない2020年

マンション価格は2013~2019年まで上昇トレンドでした。2019年には新築マンションがバブル期以降の高値となったことから「2020年も上昇トレンドが継続するのか」ということに注目していた不動産投資家も多かったのではないでしょうか。しかし世界中で猛威を振るった新型コロナウイルスの影響で、2020年以降の先行きは一気に不透明になってしまいました。

はたして2020年のマンション価格は、どのように推移するのでしょうか。

マンション価格は下落する?これまでの推移どおりにいかない2020年

順調に上昇し続けた価格が2020年に急落

不動産価格は景気動向と相関関係にあります。アベノミクスで日本の景気は持ち直し、長年の宿願だった東京オリンピックの誘致にも成功しました。順調な景気回復に合わせて都内にオフィスビルが開発されたことで都心の不動産価格は伸び続け、東京オリンピック開催に伴いインフラ整備や年間4,000万人を目指したインバウンド需要に応えるためのホテル・民泊施設の建設も進められています。

不動産経済研究所の「首都圏マンション市場動向」によると、2019年における首都圏の新築マンションの平均価格は5,980万円と前年比+1.9%となりバブル期の1990年に次ぐ水準を記録しています。中古マンションも新築マンションに追随し、3,709万円(前年比+2.0%)と順調に伸びており、2020年2月までこの傾向は続きました。

ところが世界を襲った新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内の中古マンションの成約件数は一時大幅に落ち込みました。東日本不動産流通機構の「月例速報Market Watch」によると、2020年3月は-11.5%、同年4月は過去最大となる-52.6%で、4月の平均成約価格は3,201万円(前年同月比-5.8%)と価格も同時に下がっています。

ただし中古マンション市場においては、すでに一部で回復の兆しが見られ、2020年5月時点の首都圏中古マンション平米単価は、成約単価が前年同月比+0.4%、在庫単価が+1.1%と持ち直しており、今後の動向に注目したいところです。

新築マンションの価格は2020年5月時点では、まだ明らかになっていません。ただ株式会社マーキュリーが2020年4月に行った調査によると、首都圏の新築マンション供給戸数は3月に46.4%減、4月に87.5%減とされており、想像以上の状況かもしれません。

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順調に上昇し続けた価格が2020年に急落

コロナに関係なく下落の予測があった

「2020年には景気が悪化し不動産価格が下落する」という予測は以前から唱えられていました。この下落説の根拠は、2019年10月に実施された消費増税です。内閣府が発表した2019年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動を除いた実質で前期比1.8%減、年率換算で7.1%減とインパクトの大きい数値でした。

民間消費がGDPの約6割を占める日本では、消費は景気の命綱です。景気悪化で国民所得が減少すると高額商品の代表であるマンションを購入できる人が減ってしまいます。結果的にそれが価格下落圧力として働くのではないかといわれていました。

もう一つの根拠は、日銀のマイナス金利政策から継続されていた金融機関の超低金利が反転上昇するのではないかという予測です。金利が低いと利息の支払い額が減るためローンの支払総額も少なくなります。そのためマンション価格が高騰しても買うことができました。景気が好調だった2019年以前は「この金利水準がこのまま続くわけがない」「必ず上昇する」と予測する人が多く、これも価格下落圧力になるといわれていたのです。

ところが2020年5月時点では金利水準に変化はありません。

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コロナで「暴落」という見方は早計

結局、想定外の新型コロナウイルス感染拡大の影響で不動産価格下落説は当たってしまうことになりました。消費増税による景気悪化に加えて、新型コロナウイルス感染拡大による「緊急事態宣言」の発令で足元の景気はさらに悪化。「マンションどころではない」という空気が2020年3月以降の成約件数や価格下落に表れています。

安倍総理は2020年5月14日に首都圏などの大都市以外の39県、5月25日には47都道府県すべての「緊急事態宣言」を解除しました。東京でも新規感染者数は減っており、本来の日常に戻れる兆しと捉える人も多いためか電車を利用したり繁華街に出かけたりする人が増えてきています。

新型コロナウイルス感染症が終息すれば国民の気分が明るくなり「回復バブルが発生するかもしれない」という意見もあります。しかし2020年5月時点ではワクチンや新薬は未完成です。世界の国境が半分封鎖されているような状況では、日本経済復活の見通しを立てることは不可能でしょう。先述した通り2020年4月の中古マンションの成約価格は前年同月比で5.8%下がっています。

ただ成約件数が-52.6%にとどまっていることから、投げ売りされたものが思い切り買いたたかれているわけではなさそうです。不動産の価格が下がるといっても限度はあり、「暴落」という見方は早計かもしれません。不動産市場の予想はいろいろありますが、20%以上の下落を予測しているものは見当たりません。

投資においてピンチはチャンスという見方もできます。価格が下落したところで安く物件が入手できれば、その後に大きなチャンスが訪れるかもしれません。また悲観的な思考に陥って、せっかく借り手のついた投資用マンションを急いで売りに出してしまうといったことのないよう注意しましょう。目先の状況に惑わされるのではなく、長期的な目線で資産形成を考えていくことが大切です。

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<参考>
2020年の不動産市況、コロナショックで下落か、再浮上か
都心の空室率は16.4%。空室リスクを減らすために首都圏を選ぶべき理由

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