投資の基本

東京の不動産は全国や周辺地域と比べてどんな特徴があるのか?

「停滞する日本経済」「止まらない人口減少」などを背景に日本国内では不動産投資の難しいエリアが増えてきています。しかし日本の首都である東京は、地方からの人口流入や訪日外国人の増加などから人口の集約が急速に進んでいるといわれています。

そのため東京の不動産に絞って不動産投資を検討することは賢明だといえるでしょう。しかしやみくもに物件を購入すればいいというわけではありません。きちんと東京の不動産市況を理解し適切な戦略を持って臨みましょう。

東京の不動産は全国や周辺地域と比べてどんな特徴があるのか?

東京はなぜ魅力的なのか

東京の不動産が魅力的な理由は大きく分けて「東京の経済力」「人口」の2つです。経済的には長い停滞が続く日本ですが地域で見た場合、東京の経済力は他の地域と比べると決して落ち込んでいません。国際的にも高い水準をキープしています。東京都によると都内の総生産(GDPの東京バージョン)は2012年度が100兆4,000億円でした。しかし2018年度には108兆2,000億円まで増加しています。

一方で2019年10月の消費増税で消費が冷え込み、さらに2020年1月の新型コロナウイルスの世界的な拡散拡大は日本経済に深刻な影響を及ぼしています。またコロナウイルス対策としてリモートワークが企業に要請され、在宅勤務を経験した会社員は少なくありません。しかしリモートワークが定着するには、ルールづくりやシステム面での課題も多く、時間がかかると見られています。地方と比べて東京での生活は利便性が高く、これを機に東京から人口が減少していくといったことは考えにくいでしょう。経済活動の中心は東京であるという大勢に変わりはなく、今後も全国から東京に人が集まる傾向は続くと考えられます。

厚生労働省の「人口動態統計」によると2017年の都内の合計特殊出生率は1.21と全国で最低でした。そのため人口の自然増は見込めませんが、一方で出生率をカバーする人口流入は期待できるといえるでしょう。

東京は少なくとも2030年ごろまでは、人口増加が続き人口は維持されると予測されています。継続的な人口流入は、賃貸住宅の需要を高めてくれるため、東京の物件への不動産投資はこの恩恵を十分に享受することができるのではないでしょうか。

東京はなぜ魅力的なのか

価格と利回り、家賃相場

東京の不動産市場はどういう状況なのでしょうか。不動産投資と収益物件の情報をネットで提供する「健美家」が発表した「収益物件 市場動向年間レポート2019年」に具体的な数字が掲載されています。

【東京周辺にある収益物件の利回り状況】(2019年)

種類 東京23区 東京23区 東京市部 横浜市 埼玉主要都市 千葉主要都市 全国
区分マンション 5.81% 8.49% 8.03% 8.51% 10.26% 7.37%
一棟アパート 6.26% 6.94% 7.59% 6.80% 7.36% 6.95%
一棟マンション 5.93% 8.11% 7.60% 7.70% 8.37% 8.35%

【東京周辺にある収益物件の価格状況】(2019年)

種類 東京23区 東京23区 東京市部 横浜市 埼玉主要都市 千葉主要都市 全国
区分マンション 2,159万円 1,230万円 1,156万円 1,189万円 1,116万円 1,566万円
一棟アパート 1億401万円 6,411万円 6,398万円 5,954万円 6,387万円 6,501万円
一棟マンション 2億3,984万円 1億3,951万円 1億7,200万円 1億8,573万円 1億3,618万円 1億5,161万円

【東京周辺にある収益物件の月間収益(家賃)状況】(2019年)

種類 東京23区 東京23区 東京市部 横浜市 埼玉主要都市 千葉主要都市 全国
区分マンション 約10万4,531円 約8万7,022円 約7万7,355円 約8万4,319円 約9万5,418円 約9万6,178円
一棟アパート 約54万2,585円 約37万769円 約40万4,673円 約33万7,393円 約39万1,736円 約37万6,516円
一棟マンション 約118万5,209円 約94万2,855円 約108万9,333円 約119万1,767円 約94万9,855円 約105万4,952円

※月間収益は物件価格×利回り÷12ヵ月で計算
※各参照レポートは健美家に登録された収益不動産の情報を元に作成されています
https://www.kenbiya.com/img/press/pre2020-01-21.pdf

利回りを見ると東京23区は、関東の他の都市に比べて最も低くなります。なぜなら東京23区は物件価格が高くなるため利回りは必然的に低くなるのが特徴です。利回りは「年間家賃収入÷物件価格」で求められます。特に2012年末に始まった「アベノミクス」以降、東京の不動産価格は大きく上昇し、その結果利回りの低下が起こりました。

裏を返すと、それだけ東京23区の不動産は人気があり需要が安定しているということになります。そのため東京23区の物件は空室リスクが低くなる傾向です。高利回りを求めて地方物件を購入し空室に悩まされるよりも23区内の物件を選ぶことは堅実な選択といえるでしょう。ただし物件価格は、当然ですが東京23区が最も高くなります。

興味深いのは東京市部の不動産価格の低さでしょう。東京23区に比べて半額近くになっています。つまり東京都内でも「二極化」が進んでいるということです。もちろんその分利回りは東京23区内の物件よりも高くなっていますので、東京市部でも立地に優れた物件が見つけられれば良い投資になるかもしれません。

一棟物への投資は、より多額の資金が必要でローン審査も厳しくなります。本業を持つサラリーマン投資家で一棟物に興味がある人は、まずマンションの区分所有で経験と実績を積んで資産をしっかりと形成した後、一棟物に挑戦してみてはいかがでしょうか。

細かなニーズ分析のために、信頼できる業者を見つける

不動産投資は、物件購入前に本当に賃貸ニーズのある物件なのかどうかをしっかりと調査および分析することが大切です。先に説明したとおり東京の不動産は購入価格が高くなりがちですが、賃貸住宅を必要とする人口の流入が多いため空室リスクが低くなる点がメリットといえるでしょう。

東京23区内は物件価格が高いからと最初から諦めてしまう人もいるかもしれません。しかし立地条件の良い中古物件であれば比較的購入価格を抑えることができるうえに、空室リスクも低くなる傾向といえます。さらに入居者ニーズにあわせたリノベーションを行うことで物件に付加価値を付けることにより、高い家賃でも貸し出せる可能性が期待できるでしょう。実績のある不動産会社であれば、このような提案も行ってくれるでしょう。

不動産投資をこれから始める人は、マーケティングや分析力に強く信頼できる不動産会社を味方につけてプロ目線のアドバイスをもとに判断するのが賢明だといえそうです。

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