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不動産投資
基準地価とは?公示地価や路線価との違い、不動産投資での各指標の活用法
不動産投資にはさまざまな指標が用いられます。その中でも基準地価、公示地価、路線価はいずれも土地の価値を知るために用いられるものです。いずれも公的機関が発表しているもので、不動産の価値を評価したり、取引価格の根拠になったりします。
しかし、この3つの指標についてそれぞれの役割や違いを正確に説明できるという方は少ないかもしれません。そこで、基準地価と公示地価、そして路線価の意味について解説し、これらの指標を不動産投資に役立てる方法などについても紹介します。
1.基準地価・公示地価・路線価とは?
基準地価、公示地価、路線価について、それぞれの違いが分かりやすいように一覧表にまとめました。これらを踏まえた上で、個々の指標についての解説を進めたいと思います。
1-1.基準地価とは?
基準地価は都道府県が主体となって調査し、知事名で発表される公的な地価の指標です。日本全国にある約2万地点を基準地とし、それぞれの地価を1名以上の不動産鑑定士が鑑定評価した結果をもとに審査・調整されます。その数値が毎年7月1日に公表されます。
また基準地価は、土地取引の際の参考価格として活用されます。
1-2.公示地価とは?
公示地価は上記の基準地価と似た性質の指標です。日本全国に約2万6,000地点の標準地を設け、毎年1月1日の時点における地価を2名以上の不動産鑑定士が評価し、その結果をもとに集計・発表されます。土地取引の際の参考価格にすることが主な目的ですが、公共用地の取得価格を算定する際の基準としても用いられます。
地価の代表的な指標でもある公示地価は、発表される時期になると「日本一地価が高い地点」などが報道されるため、不動産に関係のない人にとってもなじみのある指標といえます。
1-3.路線価とは?
路線価は、固定資産税の評価や相続時の土地の評価額を算定するために用いられる指標です。そのため、発表しているのは国税庁です。
路線価という名称のとおり、ある路線に面している土地の1平方メートルあたりの価格を1,000円単位で評価し、示しています。路線価の算出には、前述の公示地価なども参照されており、それ以外には実際の売買実例や精通者の意見価格などが考慮され、各地の国税局長が評定して決定されます。
2.基準地価・公示地価・路線価の活用法
基準地価、公示地価、路線価という3つの指標は調査・発表している公的機関は異なるものの、いずれも土地の大まかな価格(価値)を知るのに役立つ指標であることがお分かりいただけたと思います。
これらの指標がよく使用されるのは、土地の売却に際して大まかな相場観を掴む時です。不動産市場に売り出す際の売り出し価格を間違えると、売却が長期化したり、思うように売れなかったり、逆に売り出し価格が低すぎて損をしてしまうといった懸念があります。そのような場合にこれらの指標を用いることで信憑性の高い相場観が得られます。
ただし、基準地価と公示地価はいずれも調査地点が2万地点台であるため、相場観を知りたい土地の近隣に調査地点があるとは限りません。最も近い調査地点が離れていると相場観の精度が低くなってしまうため、そうした時は調査地点が約34万地点と非常に多い路線価を用いることをおすすめします。
路線価はおおむね公示地価に対して8割の価格が設定されているため、逆に路線価を8で割ると公示地価を推測することができます。
3.基準地価の調べ方
ここでは地価に関する主要な指標の1つである、基準地価の調べ方について解説します。
①国土交通省の「標準地、基準地検索システム」にアクセス
国土交通省が運用しているデータベースで検索できるので、最初に以下のサイトにアクセスします。
②基準地価を調べたい地域を絞り込む
表示されている日本地図のうち、基準地価を調べたい都道府県をクリックし、次に都道府県内の市町村をクリックします。ここでは「大阪市中央区」を選択しました。
③検索条件を指定
対象の市町村(区)内で、調べたい土地の条件を指定します。最初の項目である対象では、公示地価と基準地価のどちらを表示するかを選択できます。基準地価を調べたい場合は、「都道府県地価調査のみ」を選択します。よく分からない場合は、「地価公示・都道府県地価調査の両方」を選択しておけば問題ないでしょう。
調査年は「最新調査年のみ」を選択、用途区分では調べたい土地の種類を選択します。住宅地か商業地か分からないような場合は、複数の項目にチェックをいれておくのがよいでしょう。
最後の地価については、大まかな相場がすでに分かっているのであればそれを入力しますが、分からない場合は空欄で構いません。
④近隣の調査地点を探す
検索をすると、該当の区域内にある調査地点の一覧が表示されます。この例では大阪市中央区内の住宅地を検索したところ、5つの地点が表示されました。この中から調べたい地点に近いものを探し、価格欄に表示されている数値を確認します。
ここに表示されている数値が、1平方メートルあたりの基準地価、もしくは公示地価です。
4.最新の基準地価の傾向
ここでは、国土交通省のデータをもとに過去3年分にわたる基準地価の動向を見てみましょう。三大都市圏について、2021年から2023年までの変動率を一覧表にしました。
(単位:%) | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|---|
東京圏 | +0.1 | +1.5 | +3.1 |
大阪圏 | -0.3 | +0.7 | +1.8 |
名古屋圏 | +0.3 | +1.8 | +2.6 |
三大都市圏 | 0.0 | +1.4 | +2.7 |
参照:国土交通省「令和4年都道府県地価調査」
参照:国土交通省「令和5年都道府県地価調査」
三大都市圏の地価推移は、おおむねよく似た動きとなっています。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大が世界的なトピックとなっていたこともあり、不動産市場にも冷や水が浴びせられた形となりました。その後コロナ禍が徐々に収束していくのに合わせて大都市圏の地価は回復傾向が見られ、新型コロナウイルスが2類から5類に移行したことを受けて、2023年からは経済回復の流れが顕著になりました。
その傾向は大都市圏の地価にも顕著に表れており、地価の上昇傾向が鮮明になっています。
5.地価上昇が始まったタイミングは不動産投資の好機
基準地価、公示地価、そして路線価。さまざまな目的で発表されている公的機関の指標は、スムーズな不動産取引に役立ちます。それだけでなく、これらの指標がどんな推移をしているのかを知ることにより、不動産市場全体の動向を知ることもできます。
本文中で紹介した3年分の変動率を見ると、コロナ禍が収束に向かってきた2023年からの回復傾向が鮮明に表れています。ここで紹介した三大都市圏は賃貸住宅需要も旺盛で、不動産投資の好適地でもあります。こうした地域の地価上昇傾向が今後も続くのであれば、今が不動産投資を始める好機であるとも考えられます。