不動産投資

不動産投資の5大失敗理由と成功するための5大法則

不動産投資を始めるにあたって、最初から失敗することを目指す人はいません。すべての不動産投資家が成功する方法を勉強してそれを実践しているわけですが、実際には失敗してしまう人もいます。

万全を期して臨んだはずなのに、なぜ失敗してしまう人がいるのでしょうか。本記事では不動産投資のありがちな失敗事例から学べることを解説し、その上で成功のために必要な知識を伝授したいと思います。

大きなお金が動く投資だけに失敗だけは何としても避けたいと思う方は、ぜひ不動産投資に失敗しないための知識をしっかりマスターしてください。

不動産投資の5大失敗理由と成功するための5大法則

1.不動産投資の失敗事例

不動産投資のありがちな「5大失敗事例」を、1つずつ解説します。特に上から2つの失敗事例はとても多いので、同じ轍を踏まないようにしっかり留意しておきましょう。

1-1.物件選びで失敗した事例

1つめの失敗事例は、物件選びについてです。これは失敗する最もありがちな理由なので、具体的なケーススタディを交えながら見ていくことにしましょう。

駅徒歩15分、表面利回り12%の中古ワンルームマンションを購入したケースです。駅からの距離が少し気がかりでしたが、オーナーチェンジ物件だったのですぐに家賃収入を得られました。

しかし、一度入居者が退去してからはなかなか次の入居者が見つかりません。家賃を下げてみたものの半年間入居希望者が決まらず、さすがに疑問に思い管理会社に問い合わせたところ、掲載されているはずの大手賃貸ポータルサイトに物件情報が掲載されていないことがわかりました。

問い合わせ後はすぐに掲載されましたが、駅から徒歩15分という距離がネックになったのでしょうか。その後もなかなか入居者は見つかりませんでした。

仕方がないので家賃をさらに下げたところ、ようやく入居者が見つかりましたが、その間の家賃収入がゼロだったので、ローン返済に自己資金から数十万を捻出することに。さらに、家賃を2度も下げたため利回りが大きく低下してしまいました。

この失敗事例には、2つの大きな「敗因」があります。1つは、物件選びに詰めの甘さがあったことです。表面利回りは12%なので優良といえますが、それは既存の入居者がいることが前提です。その入居者が退去したあとで同じ条件で入居者をつけることができるか、そこまでのシミュレーションができていませんでした。

もう1つの「敗因」は、入居者をつけたいあまりに安易な家賃の引き下げを2度も行っていることです。管理会社とのコミュニケーション不足も致命的ではありますが、家賃の引き下げは最終手段です。なぜなら、家賃はキャッシュフローに直結するため、安易に引き下げると利回りが低下するばかりか収支がマイナスになってしまう恐れがあるからです。

物件選びの段階で将来予測や既存の入居者が退去したあとのシミュレーションができていなかったことにより、将来にわたる収益性の低い物件を選んでしまったことが失敗につながっています。

1-2.物件の管理不足による失敗事例

続いては、築30年の中古物件を購入したケースです。早いタイミングで入居者も決まりましたが、入居後すぐに「水が漏れてきた」とクレームが入りました。調べてみたところ、老朽化した給水管が破裂したためでした。家財が水に濡れて使えなくなった入居者は、多額の損害賠償を請求して退去していきました。

修繕や損害賠償で多額の費用がかかった上、新たな入居者がつくまでの約半年間、家賃収入がゼロだったため、ローンの支払いに自己資金の数十万円を持ち出しました。修繕はリフォームローンで対応したものの金利が高いため、当面はプラスのキャッシュフローが見込めないでしょう。

築30年の中古物件ともなると、配管や給水設備の不具合が出るケースは珍しくありません。新築物件よりも手ごろな価格で購入できるメリットはありますが、その一方で見えない部分の老朽化や劣化がやがて表面化し、それが思わぬ出費や悪影響につながることは意識しておく必要があります。

また、中古マンションは築年数に比例して価格が下がっていくわけではありません。東日本レインズのレポートによると、築10年までは築年数に比例して下落していた中古マンションの平方メートルあたり単価が、築11年以降は下落速度が緩やかになり、築20年を過ぎると今度は一気に下落するという傾向が明らかになっています。

このように築年数と比例して価格が下落しているわけではないので、築何年の中古マンションを購入するかというのも重要な戦略の一部です。

不動産投資初心者はこうしたノウハウを持っていないので、失敗を回避するためには事前にしっかりと勉強するか、信頼できる不動産会社を味方につけることがとても重要です。

1-3.勉強不足による失敗事例

先ほど勉強不足を失敗の理由として挙げました。ここでいう勉強とは不動産のことや資金計画、物件管理など不動産投資全般にわたる知識を習得することを指します。

物件選びの高度なノウハウはプロである不動産会社の提案を受けるのが最も無難ですが、その提案を理解するには一定の知識と理論武装が必要です。

「よく分からないもの」に数千万円のお金を投じること、しかもその資金を用意するために借金をすると考えると、勉強不足で臨むことの怖さがイメージできるのではないでしょうか。

1-4.資金計画の甘さによる失敗事例

資金計画の甘さも、ありがちな失敗パターンです。不動産投資では物件の購入費用を調達するために金融機関の融資を受けることが一般的です。数千万円規模の借金をして臨むのですから、資金がショートしてしまうと物件を手放して借金だけが残るという最悪の事態も起こりかねません。

失敗を避けるために、不動産投資では事前に入念なシミュレーションを行います。そこには定期的な修繕やメンテナンスの費用、空室が発生した時の空白期間などが加味されますが、この想定が甘いと失敗につながります。

想定していなかった修繕や想定以上の空室が発生した場合、期待していた利回りを出すことはできなくなりますし、赤字に転落する可能性もあります。その時に手持ちのお金が底をついたら融資の返済が滞り、物件の売却を余儀なくされるでしょう。

資金計画はリスクを十分に想定し、入念に立てる必要があります。また、手持ちの資金が薄い状態で取り組むと不測の事態への耐性が弱くなるため、十分な余裕資金を持っておくことも投資家としての「能力」のひとつです。

1-5.節税目的で始めて失敗した事例

「不動産投資は節税になる」という宣伝文句を見聞きしたことはないでしょうか。この宣伝文句自体が嘘というわけではないのですが、これには、すべての人に当てはまるとは限らない、やり方を間違えるとかえって損になるという補足が必要です。

不動産投資が節税になるのは、減価償却費といって不動産の価値が目減りしていく分を会計上の経費として処理できるからです。マンションは法定耐用年数が47年なので、物件価格に対して毎年1/47分ずつ価値が目減りしていると見なされて経費にすることができます。

しかし、実際にはキャッシュが出ているわけではないので、他の収入がある人は課税所得を圧縮できるため、節税になるというわけです。

ただし、これには、落とし穴があります。毎年の税額を圧縮できたとしても、減価償却が進んでいる物件は会計上の価値も下がっていきます。その物件を適正価格で売却すると、減価償却によって減じた価値と実際の取引価格に乖離が生じます。この部分は譲渡所得にあたるとして、譲渡所得税の対象になります。

譲渡所得税は長期(所有期間5年以上)でも税率が20.315%、5年未満の短期だと39.63%にもなります。節税のために不動産を購入して減価償却費の恩恵を享受したとしても、売却時に課税額が大きくなってしまっては意味がありません。

2.不動産投資で失敗しないためのポイント

上記で解説したありがちな失敗事例を踏まえ、これから不動産投資を始める方が失敗しないために知っておくべきポイントは5つあります。

2-1.リサーチを徹底する

不動産投資の成否を分けるのは情報力といっても過言ではありません。物件選びの段階でその物件が持つ収益力を今だけでなく、将来にわたって入念にシミュレーションすることが大切です。

また、当該物件だけの未来ではなく、周辺環境や人口動態など多岐にわたる情報収集と分析も必要です。不動産投資に精通している不動産会社であればこうした多角的な視点から物件を精査し、提案してくれるでしょう。そしてその提案を自分で判断できるようになるだけの情報力は、投資家として必須のスキルです。

今ではネットを使った情報収集の手段がとても広くなっているので、不動産ポータルサイトや国土交通省の不動産取引情報検索サイトなどを活用して、自分でも情報を得られる環境を作っておきましょう。

2-2.綿密な資金計画を立てる

不動産投資は事業なので、事業の健全性が求められます。金融機関は事業の収益性や健全性を審査するプロなので、資金計画が甘いと判断されると融資は受けられません。綿密な資金計画は、融資の審査という初期段階でつまずいてしまわないためにも重要です。

先ほど、想定外の修繕や空室などのリスクによって資金ショートをしてしまう失敗パターンを紹介しましたが、こうした事態を避けるためには資金計画の妥当性と、二重三重のリスクヘッジが必要です。

「これくらいで大丈夫だろう」というどんぶり勘定ではなく、いつ、どれだけの資金が必要になるのかといった予測や、空室率が最悪のシナリオになった場合の準備資金など、事前の備えが成否を分けます。

2-3.節税目的で始めない

節税は不動産投資の派生的なメリットであり、本質ではありません。特に節税のメリットが大きくなるのは相続対策として不動産を購入するような人で、すべての人に当てはまるわけではありません。

先ほどの解説のように売却の時期によってはかえって損をしてしまう可能性もあるので、節税を前提とした不動産投資はおすすめしません。

2-4.物件の管理を怠らない

所有している不動産は、大切な資産です。現物資産なので経年による劣化はありますし、そこで人が生活しているので老朽化や消耗は避けられません。管理を委託している場合は管理会社の範疇になりますが、管理会社に任せっぱなしにはせず自身でもメンテナンスの状況を把握しておくようにしましょう。

管理会社に任せっきりにしてしまうと適切なメンテナンスが行われていないなどの問題がすぐに分からず、いざ問題が表面化してから気づくことになります。

大切な資産に対して常に関心を払い、適切に管理されているかを把握し、必要であれば管理会社へ要望を出したり、場合によっては管理会社を変更したりすることも視野に入れておくべきです。

2-5.信頼できる不動産会社をパートナーにする

不動産投資の成否は物件選びで成否のほとんどが決まるといっても過言ではないため、物件選びの段階でいかに正確な判断ができるかが鍵を握ります。そこで重要になるのが、不動産会社の存在です。

不動産会社は不動産や不動産投資のプロであり、その知見は強い味方になります。情報力や提案力、シミュレーションの分析力など、不動産投資に精通しているパートナーを見つけられるかも、失敗を回避するためには不可欠です。

逆にいえば、信頼できる不動産会社をパートナーにすることができれば、その不動産投資はほぼ成功しているといってもよいでしょう。

3.物件選びさえ間違えなければ怖くない

不動産投資のありがちな失敗をお読みになり、不動産投資においては最初の物件選びが最も重要であることをお分かりいただけたと思います。事前に入念なリサーチを行い、そして信頼できる不動産会社を選ぶことは、必須と言えるでしょう。

これらの条件を満たしているかはもちろん、資金面、返済計画に無理がないかを慎重に検討する必要があります。これらの作業はいずれも物件の購入前に行うことなので、不動産投資は購入の段階で成否のほとんどが決まっていると考えてもよいでしょう。

不動産投資は出会いです。まずはパートナーとして信頼できる不動産会社を見つけてアドバイスを受けながら、自分なりの投資プランを立ててみてはいかがでしょうか。

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3年以上勤めた会社員へ。
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