投資の基本

なぜ不動産投資は人気なのか?仕組みやメリット・デメリットとともに解説

不動産投資は、収益物件を所有してそこから得られる家賃収入を狙うものというのは、多くの方がお持ちのイメージだと思います。これも不動産投資の一部ではありますが、すべてではありません。

そこで本記事では、不動産投資全体の仕組みや利益が得られる仕組み、さらにメリットやデメリットなどを解説し、不動産投資に興味をお持ちの方にその真の姿をお見せしたいと思います。

なぜ不動産投資は人気なのか?仕組みやメリット・デメリットとともに解説

1.不動産投資とは?

最初に、不動産投資とは何か、おさらいの意味も含めて確認していきましょう。

1-1.不動産投資の一般的なスタイル

一般的な不動産投資のスタイルは、住居物件(収益物件)に投資して家賃収入を得るというものです。具体的には、以下の2つに大きく分けられます。

  • 区分マンション投資
  • 一棟マンション・アパート投資

ただし、これら以外にもオフィスビルや商業店舗などを所有する不動産投資もあります。また、リートといって不動産ファンドに対する間接的な不動産投資、宿泊施設の運営、駐車場や駐輪場といった物件の運用も不動産投資に含まれます

ここからは、区分マンション投資と一棟マンション・アパート投資のそれぞれの特徴を見ていきましょう。

1-2.区分マンション投資

区分マンション投資は、マンションの建物の中にあるマンション物件を1戸単位で所有し、そこから得られる家賃収入などを狙う投資です。一棟丸ごと所有するよりもはるかに低コストで始めることができます

戸建て住宅のようにオーナーが管理しなければならないといったことはなく、マンション全体を管理している管理会社が共有部分の清掃やメンテナンスなどを対応するのが一般的です。そのため、他に本業がある兼業投資家であっても本業に影響を及ぼすことなく取り組むことができます

1-3.一棟マンション・アパート投資

区分マンション投資に対して、マンションを一棟丸ごと所有するのが一棟マンション投資です。そして、アパートを一棟丸ごと所有するのが、アパート投資です。

アパートもマンションと同じく集合住宅ですが、アパートの場合は一棟マンションほどの価格にはならないため、アパートには区分所有という概念はありません。アパート投資はそのまま一棟アパート投資のことであると理解して問題ありません。

一棟丸ごと所有することから管理やメンテナンスの方針もすべて投資家が決められるため、より投資家の意向を反映しやすい投資形態です。また、建物全体を一括して管理するためスケールメリットを発揮しやすく、管理や運営などのコストパフォーマンスは区分投資よりも高くなります。

2.不動産投資で利益が出る仕組み

不動産投資で利益を得る方法は、大きく分けて2つあります。1つめはインカムゲインで、もう1つはキャピタルゲインです。インカムゲインについては不動産投資の本質的なものですが、もう1つのキャピタルゲインを狙えるところに、不動産投資の魅力があります。

不動産投資で利益が出る仕組み

2-1.インカムゲイン

収益物件を貸して得られる家賃収入のことを、インカムゲインといいます。インカムゲインは不動産投資の本質的な利益といえますが、それ以外の投資にもインカムゲインはあります。代表的なものとしては株式の配当や投資信託の分配金などが挙げられます。

家賃収入は景気変動などの影響を受けにくく安定した収益をもたらすので、物件を長期的に保有してコツコツと稼いでいくことが可能です。また、定年退職などリタイア後に本業の収入がなくなった場合であっても、収益物件を所有していればインカムゲインが年金代わりにもなります。

2-2.キャピタルゲイン

不動産投資には、購入時の価格よりも物件を高く売って、その差額(売却益)であるキャピタルゲインを狙う方法もあります。株価の値上がりによる利益もキャピタルゲインですし、暗号資産の爆発的な上昇によって大金を得た人の事例などもキャピタルゲインによるものです。

1980年代後半~1990年代にかけてバブル景気のころは、キャピタルゲイン狙いの不動産投資が多い傾向でした。2013~2018年にかけて都心の地価は上昇してきましたが、かつてのような値上がりは見込めなくなっており、近年はインカムゲインが不動産投資の中心になっています。ただ最終的に不動産投資の成否を決めるのは出口戦略のため、売却時に物件をどれだけ高く売れるかが重要です。

インカムゲインとなる家賃収入を手堅く確保しつつ、売却のタイミングを逃さずにできるだけ高く売りぬけてキャピタルゲインを得るという組み合わせも検討しておくとよいでしょう。

3.不動産投資のメリット

不動産投資のメリットは、主に7つあります。

  • 安定的な家賃収入
  • 公的年金に上乗せできる自分年金を作れる
  • 所得税や相続税の節税効果がある
  • 生命保険に相当する効果がある
  • 相続対策として活用しやすい
  • 融資という他人資本を活用して資産形成ができる
  • インフレに対する資産防衛法として有効

インカムゲインが安定的に発生することが最大のメリットですが、それに加えて節税効果や相続対策など、不動産投資のメリットは多岐にわたります。

また、物件を購入するための費用を全額持っていなくても融資を利用できることは「始めやすさ」というメリットでもありますが、それに加えて他人資本で購入した物件で満額の家賃が得られることはレバレッジ効果と呼ばれ、資産形成において強い力を発揮します。

4.不動産投資のデメリット

不動産投資を始める上で知っておくべきデメリットも、メリットと同じく7つあります。

  • 初期投資が高額になりがち
  • 空室リスクがある
  • 物件を所有しているだけで発生するコストがある
  • 不動産の物件価格が下落する可能性がある
  • 流動性が低い
  • 自然災害などによって物件が損傷するリスクがある
  • 今後、金利が上昇して返済負担が増える可能性がある

不動産投資には上記の7つのデメリットがあるわけですが、これらはすでに解決方法、リスク軽減方法が確立しています。それぞれ項目別に見てみましょう。

初期投資が高額になりがち

高額商品の代表格である不動産の購入には、ローンの利用が可能です。ローンを利用することにより、一部の自己資金を用意するだけで収益物件を購入できます。

空室リスクがある

入居者からの家賃収入が主な収入源だけに、空室リスクは不動産投資家にとって大敵です。ただし、空室リスクは物件選びやリノベーションによる魅力づくり、差別化などで克服可能です。

物件を所有しているだけで発生するコストがある

固定資産税や都市計画税、管理費用などが必要です。これらは購入前の資金計画において考慮されるものであるため、正確性の高い資金計画やシミュレーションによって、こうしたコストによる影響を抑えることができます。

不動産の物件価格が下落する可能性がある

建物は劣化するため、時間の経過によって資産価値は目減りします。しかし、立地条件に恵まれた物件であればその影響を最小限に抑えることができます。

流動性が低い

不動産はすぐに売却できないため流動性は高くありませんが、これも資産価値が低下しにくい好立地の物件を選ぶことで買い手がつきやすくなり、流動性を高めることができます。

自然災害などによって物件が損傷するリスクがある

日本は災害大国であり、自然災害による影響を考慮する必要があります。物理的なリスクは避けられませんが、保険によって金銭的なリスクは軽減できます。

今後、金利が上昇して返済負担が増える可能性がある

変動金利型のローンだと金利上昇の影響を受けやすくなるため、固定金利型や固定金利期間の特約が付いたローンを選ぶなどの対策が有効です。

5.不動産投資の利回り相場はどれくらい?

不動産投資の利回りは個々の物件によって大きく異なるため、相場はあくまでも目安です。ひとつの目安として参考にしたいのが、一般財団法人日本不動産研究所が定期的に発表している「不動産投資家調査」です。

同調査の2023年10月レポートによると、ワンルームタイプマンションの平均利回りとして東京城南地区が3.8%、大阪が4.4%、福岡が4.6%となっています。同データは一棟マンション投資の利回りなので、区分マンションについても見てみましょう。

2つめのデータは、不動産投資情報サイト「健美家」が定期的に発表しているもので、その2023年4月~6月期レポートによると全国の区分マンションの平均利回りは7.02%となっています。

6.不動産投資でかかる初期費用

不動産投資を始めるために必要な費用は、物件そのものの取得価格と諸費用に大きく分けられます。諸費用としては、主に以下のような費用が発生します。

  • 仲介手数料(中古物件の場合)
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 保険料
  • ローン手数料、保証料
  • 司法書士の報酬

これらの費用を合計すると、あくまでも目安ですが「物件価格の7%程度」になるといわれています。そのため、もし物件価格が3,000万円であれば諸費用は210万円といったように大まかな試算ができます

7.不動産投資に向いている人・向いていない人

不動産投資は、向いている人とそうでない人がいます。それぞれどんな人なのか、特徴を解説します。

7-1.不動産投資に向いている人

不動産投資に向いている人の特徴を列挙すると、以下のようになります。

  • 決断力がある
  • 行動力がある
  • 長期目線で資産形成、人生設計を考えられる
  • 短期的な利益や動向に一喜一憂しない
  • 真面目な性格、努力を惜しまない

7-2.不動産投資に向いていない人

次に、不動産投資に向いていない人の特徴も見てみましょう。ほとんどは、向いている人の裏返しです。

  • リスクに対して敏感すぎる
  • 優柔不断なところがある
  • 他人の意見を鵜呑みにしてしまいやすい
  • 努力せずに利益を得たいと考えている
  • 目先の利益を追い求めがち

ここまでは人間としての資質ですが、以下の条件に当てはまっている人は外的な要因で不動産投資に向いていない、もしくは不動産投資を始めにくい人といえます。

  • 過去に債務整理や延滞などがある
  • 低年収、勤続年数が短いなど属性が低い

この2つはいずれもローンの審査に影響するもので、これらに当てはまると不動産投資のためのローンを利用したいと思っても、ローンの審査に通りにくいでしょう。

8.安定したキャッシュフローがあなたの老後を助ける

不動産投資の最大のメリットは、安定的な家賃収入です。しかもその収入は投資家の状況に関係なく、入居者がいる限り入り続けるものです。定年退職をして年金だけの生活になっても、不慮の事故や病気などで働けなくなったとしても、家賃収入は入り続けます。このことが人生のリスクヘッジとなり、安定したキャッシュフローが老後の生活を支えてくれます。

不動産投資に向いている人に当てはまる点が多い、もしくは向いていない人の条件に当てはまる点が少ないのであれば、まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

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