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都心の不動産投資 旧来の高級住宅地と新興の人気地域はどちらが良いのか?

田園調布や成城といった東京の郊外型高級住宅地で、さまざまな問題が発生しているというニュースを耳にするようになりました。高額な相続税を払えずに土地を手放さざる得なくなり、「以前のような豪邸がどんどん減っている」とか、「あまりの高額で買い手が見つからず、住民が減ってゴーストタウン化している」などと言われています。

一方で、かつての下町では急速に再開発が進み、その利便性の高さから人気が急上昇しているエリアがあります。今回は最近の東京の不動産の傾向について、「高級住宅地から下町へ」という視点で考えてみましょう。

都心の不動産投資 旧来の高級住宅地と新興の人気地域はどちらが良いのか?

高級住宅地で豪邸を維持することの大変さ

20世紀に入ってから1990年代のバブル景気の頃まで、東京の郊外では宅地開発が続けられ、高級住宅地として有名なエリアが誕生しました。東急東横線の田園調布駅周辺や、小田急小田原線の成城学園前駅周辺などはその代表例でしょう。

これらのエリアは、大正から昭和初期にかけて東京の人口が急増する中、郊外型の高級住宅地として開発されました。都心から少し離れていたこともあって、太平洋戦争中も空襲などの被害が少なく、戦前に建てられた歴史ある豪邸が今でも残っており、高級住宅地としての佇まいを維持しています。

しかし相続の制度が変わり、現在はこうした高級住宅地の豪邸を維持することが以前より難しくなっています。また、税制改正で相続税が増税されたことで、豪邸を相続する人は多額の納税資金を用意しなければならなくなりました。戦前のような、一人に財産を集中させる家督相続がなくなり、相続人に平等に財産を分ける均等相続が戦後は一般的になったことで遺産は分割され、相続争いが起きるようになりました。

そうしたことから、戦前の歴史ある豪邸が取り壊されたり、広い敷地が分割されたりするケースが増えています。エリアによっては、街の景観を守るために条例などで分筆が禁止されており、そのまま購入できる人を探さなければならないケースもあります。しかし、あまりに高額なのでなかなか買い手が見つからないことが多いようです。

高級住宅地で豪邸を維持することの大変さ

活気づく下町の再開発エリア

郊外型の高級住宅地を巡る問題は、それだけではありません。

90年代の終わり頃から、都心に多くの高層マンションが供給されるようになりました。高級住宅街の大きな戸建て住宅に住んでいた富裕層の居住ニーズが、港区、渋谷区など、より都心部へと移り、郊外の豪邸よりも都心の高層マンションを選ぶようになりました。

高級住宅地の後退を尻目に活気づいているのが、再開発が進む北千住や押上などの下町エリアです。かつて、東京の不動産は「西高東低」と言われており、東側は西側に比べて人気がありませんでした。

しかし、皇居を東京の中心とした場合、北千住がある荒川区や押上のある墨田区などは田園調布や成城のある世田谷区よりも都心までの距離が近く、丸の内や大手町、新橋、品川といったオフィス街へのアクセスも非常に良いエリアなのです。下町エリアの再開発が進み、住環境が急速に改善されたことで急速に人気が高まっています。

適切な物件を選択できれば、どのエリアでも大丈夫

ここまで読むと、従来の郊外型高級住宅地を避けて、近年人気を集めている再開発エリアに投資するべきだと思われるかもしれません。しかし、不動産投資はそんなに単純ではありません。適切な物件を選択できれば、人気の再開発エリアはもちろんのこと、高級住宅地も十分魅力的な投資エリアです。

以前とは趣が変わっているとはいえ、高級住宅地は依然として落ち着いた住環境と治安の良さを誇っています。また、渋谷や新宿などへのアクセスが良く、通勤や通学にも便利です。住宅街なので建ぺい率などの制限も厳しく、低層集合住宅しか建てられないかもしれませんが、逆にそうした賃貸住宅を好む人たちも少なくないので面白い投資になる可能性もあります。

東京は、地方や海外からの人口流入が続いています。そのため賃貸需要は旺盛であり、ターゲットのニーズを正確に把握して適切な物件を選ぶことができれば、安定的に収益を上げることができるでしょう。エリアごとの特性を把握し、それに合わせた工夫をすることで、不動産投資の可能性は広がるのです。

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