不動産投資(管理)

人口が減る今後、賃貸で家賃収入は見込めるのか

日本の人口は、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、出生低位推計で2049年に1億人を割り込むことが予想されています。こういった背景の中、賃貸物件は供給過剰になることが懸念材料です。さらに、賃貸経営が長期に及ぶと物件は老朽化していきます。これでは、やがて家賃水準は下げざるをえず、思うように収入を得ていくことは難しいのではないかと不安になる人もいるでしょう。

しかし、事前にリスクを減らすような対策を講じておけば、家賃収入の減少におびえることもありません。今回は、人口減少が懸念されている日本における不動産投資の対策について解説します。

<参考>
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人口が減る今後、賃貸で家賃収入は見込めるのか

契約時に決めた家賃が続くのが原則

物件の老朽化に伴い、「契約当初に決めていた家賃の金額を下げなければならない」と考えるオーナーも多いかもしれません。しかし、例えば賃貸経営を始めた10年前に家賃9万円で入った入居者に対して、10年後に物件が老朽化したり、周辺の家賃水準が下がったりしたからといって8万円に下げる必要はあるのでしょうか。

結論からいえば、それは不要です。原則として契約時に決めた家賃額は、契約を解除する(退去する)まで同じでいいのです。なぜなら、契約自由の原則といって、販売価格は当事者同士で決めるものだからです。例えば、電化製品は新製品が発売されるたびに、型落ちとなった商品の価格は下がっていくのが一般的でしょう。

しかし、発売してすぐの時点で買った人が、型落ちして安くなった商品を前に「高い金額で買わされた」というクレームは成立しません。逆に、再開発などで地価が上がった場合に、家賃を上げることを契約書に盛り込んでおけば、入居者との協議次第で家賃の値上げも可能です。

<参考>
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契約時に決めた家賃が続くのが原則

家賃減額要求は契約更新時に対応

ただ、最近は入居者でもネットで検索して自分の住んでいる物件の家賃水準を調べることが容易になりました。同じアパート内の同じ条件の物件なのに、自分が住んでいる物件と隣の物件の家賃が2万円も違っていたら、自分だけ損をしているように思う人もいるでしょう。中には、オーナーに減額を要求してくる人もいるかもしれません。

こういった場合の対応ですが、先述した通り基本的には減額要求を断ってもなんら問題はありません。しかし、それが原因で退去してしまったり、家賃の不払いが起きたり、賃料減額請求を裁判所に提起されたりすると、お互いに時間と労力を取られて結果的に不幸なことになります。そうした状況を回避するには、同じ間取りの部屋でも入居時期で家賃が変わってしまうことを丁寧に説明することが必要です。

さらに、もしずっと住んでいて欲しい入居者ならば「契約をし直す」という選択を検討することも一案です。すぐに変更ができないとしても、契約更新のタイミングで応じるようにすれば、入居者も納得しやすいかもしれません。

エリアを選んで買えば大丈夫

そもそも家賃は、むやみに下げる必要はないことを説明してきました。ここでもう一つ大事なことがあります。それは「需要が落ちない限り価格の低下は起こらない」という傾向があることです。つまり、人口が減少しにくいエリアを選ぶことが大切になってきます。東京のような都内といえども、需要の多いエリアと空室が目立つエリアがあるためです。

狙い目は、現在、再開発が行われていたり、近い将来に再開発が行われたりすることが判明しているエリアです。なぜなら、今後商業施設やオフィスが充実して街の利便性が上昇し、人が集まるようになり不動産価格や家賃相場の上昇に大きな期待が持てるからです。都内で真っ先に思いつくのは、渋谷や虎ノ門エリアでしょう。2019年現在あちこちのビルや通路で工事が行われています。

また、山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」のエリアや、リニアモーターカーの発着駅となる品川エリアも、大きな注目を集めています。このように賃貸借契約における家賃を正しく理解し、賃貸需要が維持されるエリアになる物件を選択することで事前に対策が可能です。人口減少が進むと、不動産投資には向かい風となる一面はあります。

しかし、オーナーとして事前に対策できるポイントを講じることでさまざまなリスクを減らし、安定した家賃収入を見込むことができるのではないでしょうか。

<参考>
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