不動産投資

サラリーマン大家が会社を辞めて専業投資家になれる3つの判断ポイント

「投資で資産を築いて、早期リタイアを……」そんな夢を見て、不動産投資に興味を持つ人もいるでしょう。しかし実際のところ、不動産投資で得られる収入だけで暮らせるようになるものなのでしょうか。

この記事では、不動産投資によって資産を築き、サラリーマンを辞めて早期リタイアを模索している方に向けて、不動産投資でサラリーマンを辞めることは実際に可能なのかという疑問にお答えしたいと思います。

<目次>
1.どうすればサラリーマンを辞められるのか?
1-1.サラリーマンを辞めると税金や保険料はどうなる?
1-2.専業になった場合の年間所得はどれくらい?
1-3.サラリーマンのうちに実績作りを
1-4.家族の了解をきちんと得たうえで専業に

2.サラリーマンを辞めるメリット・デメリット
2-1.サラリーマンを辞めるメリット
2-2.サラリーマンを辞めるデメリット

3.サラリーマンを辞めるべきかどうかの判断ポイント
3-1.ポイント① 辞めても十分な不動産収入が見込める
3-2.ポイント② 不動産収入=不労所得ではないと理解できている
3-3.ポイント③ 自分の勝ちパターンが確立している

4.投資目的を再確認しよう

1.どうすればサラリーマンを辞められるのか?

専業の不動産投資家になってサラリーマンを辞めるには、サラリーマンとして勤務しているときと同等もしくはそれ以上の収入を不動産投資で稼ぎ出す必要があります。それにはどの程度の投資規模が必要になるのかをイメージしていただくために、サラリーマンを辞めることを想定したシミュレーションをしてみましょう。

1-1.サラリーマンを辞めると税金や保険料はどうなる?

サラリーマンが毎月手にしている給料は、純粋に会社から支払われた報酬ではありません。そこから税金や年金、保険料などが差し引かれた金額が手残りとして支払われています。もちろんサラリーマンを辞めると、こういった天引きはなくなりますが、その代わりに自分で税金や社会保険に関するお金を支払う必要があります。

おおむね以下のように変化することをイメージしておいてください。

サラリーマン勤務時 退職後
税金 所得税が給料から天引きされる 所得額に応じて確定申告をする必要あり
年金 厚生年金として給料から天引きされる 国民年金に加入して自分で払う
健康保険 健保組合などに加入して給料から天引きされる 国民健康保険に加入して自分で払う

サラリーマンの場合は上記のように給料天引きが基本ですが、辞めると年金や保険に自分で加入し、自分で払うのが基本になります。不動産投資家になると節税の余地が生まれるため税金面ではオトク感があるかもしれませんが、年金は厚生年金だと会社が保険料の半分を支払ってくれていたメリットがなくなるため、負担増となる可能性が高いでしょう。

1-2.専業になった場合の年間所得はどれくらい?

サラリーマンを辞めて専業不動産投資家になったら、いったいどれくらいの収入が得られるのでしょうか。ここではよくある3つのパターンでシミュレーションしてみましょう。

  • シミュレーション① 月額家賃8万円のワンルームマンションを7戸所有

    月額家賃8万円のワンルームマンションを東京都内に持っていると仮定します。単純計算すると、

    8万円 × 12ヵ月 = 96万円

    なので、これを7戸所有することで年間の家賃収入は672万円になります。

    ただし、家賃収入のすべてが所得になるわけではありません。ここから、維持管理に必要な管理費、修繕積立金、修繕費用が引かれるほか、固定資産税・都市計画税、保険料なども発生します。こうした費用には「物件価格の2割程度」という大まかな目安があるので、それを考慮すると年間の収入は、

    672万円 × 80% = 537万6,000円

    となりました。

    また、常に満室稼働になるわけでもなく、空室が出た時はその分の家賃収入はありません。融資を利用している場合はローン返済も考慮する必要があります。ワンルームマンションを7件所有した場合の年間収入は400万円から500万円の間になるでしょう。まずはこの大まかな費用感をイメージしてください。

  • シミュレーション② 家賃7万円、6室の一棟アパートを2棟所有

    それでは次に、区分マンションではなく一棟アパートのシミュレーションをしてみましょう。6室ある一棟アパートを2棟所有しているケースを想定しました。それぞれの部屋は家賃が7万円とします。

    7万円 × 12ヵ月 × 6室 = 504万円

    さらに同様の物件が2棟あるので、

    504万円 × 2棟 = 1,008万円

    2棟あるアパートがいずれも満室稼働になったとすると、年間の家賃収入は1,000万円を超えます。ここから目安となる2割の諸経費を差し引くと年収は800万円前後になると見積もることができます。

    このレベルになると、専業不動産投資家として満足できる収入レベルと呼べる金額が見えてきます。

  • シミュレーション③ 家賃10万円、20室の一棟マンションを1棟所有

    3つめのシミュレーションは、一棟マンションです。物件価格が最も高額になりますが、収入モデルはどのようになるのでしょうか。

    10万円 × 12ヵ月 × 20室 = 2,400万円

    ここで遂に2,000万円の大台を超えました。こちらも目安となる2割の諸経費を差し引いてみると、1,920万円になります。これだけの一棟マンションを保有するためには億単位の投資が必要になりますが、その分収入も大きくなることが分かります。

1-3.サラリーマンのうちに実績作りを

実はサラリーマンは不動産投資を始めるのに有利な立場にあることをご存じでしょうか。その理由は、融資の審査で有利になる可能性があるからです。不動産投資では少なくとも数千万円クラスになる収益物件を購入する必要があるため、その資金を金融機関からの融資によって調達するケースが大半です。

金融機関の審査で重視されるのは「安定的な収入」や「返済能力」、「自己資金」などです。このうちサラリーマンは収入が比較的安定している属性になるため、「安定的な収入」が見込まれることから「返済能力」を証明しやすいのです。

理想的なのはサラリーマンのうちに融資を利用してそれを返済し、実績を作った上でサラリーマンを辞めて専業不動産投資家になるといった流れです。実績を作っておくと次の審査に通りやすくなるため、サラリーマンのうちに実績を作っておくことは投資家としての財産になります。

1-4.家族の了解をきちんと得たうえで専業に

ご家族がある方は、身近な人たちへの説明も忘れないでください。いくら不動産投資によって収入のメドが立っているからといっても、それまで勤めてきた会社を辞め、サラリーマンから投資家という自営業者になるのは人生の大転身です。

「収入が減らなければ問題ない」ということではなく、ご家族の理解と了解をきちんと得てから専業になる決断をしましょう。

2.サラリーマンを辞めるメリット・デメリット

サラリーマンを辞めるというのは、人生において大きな決断です。特にこれまでサラリーマンの経験しかない方にとっては、より大きな決断となります。ここではサラリーマンを辞めることについてメリットとデメリットを再確認しておきましょう。

2-1.サラリーマンを辞めるメリット

サラリーマンを辞める最大のメリットは、経済的、身体的、そして精神的な自由の獲得です。「時間があればもっと●●をしたい」とお考えの方はとても多いと思いますが、定年退職を待っていてはいつまで経っても自分のやりたいことを始めるのは難しいかもしれません。

しかし、サラリーマンを辞めることでその問題は一気に解消します。好きなことに時間を使えるのは、お金が自由になることよりも実は贅沢なことです。通勤時間が長かった方にとっては、その時間も自分や家族との時間になります。

時間が自由にならないあまりに家庭不和になってしまう事例は枚挙に暇がありませんし、過労によって心身ともに病んでしまう人も珍しくありません。不動産投資家として独立することができれば、こうした問題からも解放されるでしょう。

2-2.サラリーマンを辞めるデメリット

不動産投資を始める時に、都内にあるマンション一棟を買えるぐらいの資産があったり、収益マンションを親から譲り受けたりしている人は別ですが、そうではない方のほうが多いはずです。ゼロから不動産投資を始めた人が、金融機関でローンを組み、区分マンションを1つ、2つと増やしつつ、最終的に6〜7件ぐらいを所有するようになるためには、短くても10年の年月がかかるでしょう。

また、その間に起こりうる家賃相場の下落や空室が続くといったリスクも想定しておかなければなりません。そう考えると、会社に勤めたまま物件を増やすほうが、投資リスクは低いと考えることもできます。

先ほど述べたように不動産投資ローンを組む際に、サラリーマンは有利です。金融機関の融資審査では、雇用が安定し、月々の給与所得があるサラリーマンは高く評価されています。勤務先が上場企業や大手企業であれば、なおさらでしょう。空室が出て家賃収入が入らない時には、ローンの返済を給与所得で補填することも可能なのです。

さらに、サラリーマンを辞めると税金面でのメリットを手放すことにもなります。会社に勤めながら不動産投資をする場合は、会社からの給与所得と不動産所得の「損益通算」が可能です。不動産経営で赤字が出た場合、給与所得と相殺して、税金の対象となる所得額を減らすことができます。サラリーマンを辞めて専業になると、こうしたメリットも得られなくなってしまいます。

3.サラリーマンを辞めるべきかどうかの判断ポイント

サラリーマンを辞めるメリットとデメリットを押さえたところで、次にどうなったら辞めるべきなのか、辞めても良いのかという判断ポイントが知りたくなるところです。ここではサラリーマンを辞めるべきかどうかの判断ポイントを3つに整理しました。

3-1.ポイント① 辞めても十分な不動産収入が見込める

最も重要な判断ポイントは、サラリーマンを辞めても収入面でのそん色がないかどうかです。ご家族がある場合、収入が落ちてしまうのであれば反対される可能性が高いでしょう。

サラリーマンを辞めても十分な収入を確保できるかどうかは在職中でも分かることなので、「これなら大丈夫」と思える収入レベルが今後も続くと見込まれる場合にのみ、辞める判断をしても良いことになります。

3-2.ポイント② 不動産収入=不労所得ではないと理解できている

不動産収入は家賃収入がメインなので、「収益物件を持っていれば自動的に収入が入り続ける」と思ってしまいがちですが、実際はそうではありません。空室が続けば家賃収入が途絶えてしまうこともあるわけで、いかに安定的な賃貸経営をするかは不動産投資家の重要な「業務」です。

そのため常に改善の努力や勉強、情報収集をしなければならないでしょう。そういった努力を惜しまない人が投資家として成功しているので、不動産収入が不労所得ではないと理解できているかどうかも、サラリーマンを辞めるかどうかの判断ポイントになります。

3-3.ポイント③ 自分の勝ちパターンが確立している

3つ目のポイントは、投資では欠かせない勝ちパターンの有無です。一口に不動産投資と言っても形態はさまざまで、その中に自分の得意なパターン、勝ちパターンがあることは必須です。

例えば都心など利便性の高いエリアでの区分ワンルームマンション投資を志向する人で、関連する情報に強く、物件選びの目利きを持っている人はこれが勝ちパターンになりますし、反対に郊外や地方の格安物件に強い人はこれが勝ちパターンになります。

両者は同じ不動産投資であっても方向性は大きく異なるため、こうした選択肢の中から何か強みを持っている人は、サラリーマンを辞めて専業投資家になるひとつの節目だと考えることができます。

4.投資目的を再確認しよう

投資は不動産投資以外にも、株やFXなどいろいろな金融商品があります。そうした投資は、短期間での値動きが大きくなる可能性もあり、常に市場動向をチェックしておかなくてはなりません。

その一方、不動産投資は購入後に腰を落ち着けて家賃収入によるインカムゲインを狙うタイプの投資なので、常に市場動向を気にかける必要はありません。そういう点で、不動産投資は別に本業を持っているサラリーマンに向いているといえるのです。

サラリーマンとしてのキャリアに終止符を打てば、将来的にその会社で得られる給与所得や退職金なども手放すことになります。なぜ自分は不動産投資を始めたのか、会社を辞めてしまう前に、その目的を再確認することをおすすめします。

自分はサラリーマンを辞めたくて不動産投資を始めたのか、それとも会社に勤めながらプラスアルファの収入を得て暮らしに余裕を持たせたかったのか、当初の目的は何だったのかよく考えてみましょう。

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