不動産投資

不動産投資での家賃収入とローンの返済額の関係は?いくら多くないとダメなのか?

不動産投資では金融機関のローンで物件を購入し、家賃収入を得る人がほとんどです。家賃収入よりもローンの返済額が多くなりすぎたら、早晩、破綻することになるでしょう。しかも、築年数が経過するにつれ、大幅にリフォームやリノベーションをしない限り、当初の家賃水準を維持するのは困難でしょうし、周辺との競合などを理由に、家賃を下げなければならないこともあります。それでは、ローン返済額よりも、家賃収入はどの程度ないとダメなのでしょうか。実際の例で考えてみましょう。

10室購入したら、1室あたり1万円は増やしたい

1室1,000万円のワンルームを10室購入したとしましょう。自己資金を1,500万円、返済期間は25年、金利2%、表面利回りを8%、諸費用500万円とします。

この場合、金融機関からの借入額は、物件価格1,000万円×10室+諸費用500万円-自己資金1,500万円=9,000万円となり、月々の返済額は約38万4,153円。1室あたりは3万8,415円となります。

一方、月々の家賃収入は、物件価格1,000万円×10室×表面利回り8%÷12ヵ月=約66万6,667円。ただ、常に満室となるのは難しいので、入居率80%とすると、家賃収入は約53万3,333円、1室あたりは5万3,333円となります。この時点で、家賃からローン支払額を差し引いた金額は1万4,918円です。

管理委託費が家賃の5%として1室あたり2,667円かかりますので、1万4,918円から差し引くと残りは12,251円です。ここからさらに、火災保険料、管理費・修繕積立金、固定資産税などが引かれます。突発的な修繕や、将来のリフォームのために積み立てるお金も必要です。ここでキャッシュフローがマイナスとなると、持ち出し額は10室分になるため、本業からの収入を圧迫してしまうことになりかねません。1室あたりの家賃収入は、ローン返済額よりも1万円程度は多くほしいところです。

ワンルーム1室、月1万円程度の持ち出しなら持ちこたえられるか

ただ、ワンルーム1室を区分所有で運営するなら、少し事情が異なります。上記と同じ条件だと、家賃収入からローン返済額を差し引いた額は1万4918円です。ここから諸経費が引かれてキャッシュフローの額が決まります。

ただ、キャッシュフローがマイナスになったとしても、10室ではなく1室だけです。本業の収入があるオーナーなら、月に1万円程度であれば、なんとか持ちこたえられるのではないでしょうか。もし、家賃収入とローン支払額がトントンなら、その他の諸経費分を引くと、マイナス1万円程度になるはずです。

最終的に長期保有と売却益で勝てばいい

不動産投資が成功したかどうかは売却時に決まります。キャッシュフロー累計額と売却価格が、ローン残債を上回っていれば、「勝ち」と言えるのです。上記のワンルーム物件の場合、25年目のキャッシュフローの累計はマイナス300万円(1万円×12ヵ月×25年=300万円)、ローン残債は0円。よって、物件の販売価格が300万円を超えれば、その投資は黒字で手仕舞いできます。

1,000万円で購入した物件が25年後に300万円の価値を維持しているかどうかは、おそらく誰にも分からないでしょう。ただ、木造建築ではなく、鉄筋コンクリート造などのマンションであれば、建築技術が向上し、耐震構造も進化した現代の物件なら、25年後にそれほど劣化しているとは思えないので、価値がゼロになるとは考えにくく、そこから7年以上保有すれば、キャッシュフローのマイナス分もプラスに転じるはずなので、そのまま持ち続けてもいいのではないでしょうか。

このように、収益物件の数が一つなら、家賃収入とローン返済額がトントンになったとしても、なんとか破綻せずに、賃貸経営を継続することはできるでしょう。複数戸で保有する場合は、キャッシュフローにマイナスが出ると、赤字はその何倍にもなりますので、空室などが出ないような配慮が必要になります。そのためにも、立地がよくて資産価値の落ちにくい物件を選ぶことが重要でしょう。

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