不動産投資

区分、一棟、戸建て……不動産投資の3種類とメリット・デメリットを解説

ひと口に「不動産投資」といっても、その種類は1つではありません。人気の高さもあって区分マンションやアパートへの投資をイメージする方は多いかもしれませんが、不動産投資には他にもいくつかの種類があります。

そこで本記事では、不動産投資を区分投資、一棟投資、そして戸建て投資の3つに分類して、それぞれの特徴やメリット、デメリットについてまとめました。最後には新築と中古という不動産投資の大きな選択肢についても特徴を解説しますので、これから不動産投資を始めたいとお考えの方は最適な種類を選ぶためにもぜひご一読ください。

区分、一棟、戸建て……不動産投資の3種類とメリット・デメリットを解説

1.不動産投資の種類は大きく分けて3つ

不動産投資の種類を分類するには、いくつかの方法があります。本記事では「区分投資」「一棟投資」「戸建て投資」の3種類に分けました。区分投資は実質的にマンションの区分投資のことを指しますが、一棟投資の場合はマンションだけでなくアパートも選択肢に入ります。そして戸建て投資は、文字通り戸建て住宅を所有する賃貸経営のことです。

不動産投資に期待することや信用状態、資金規模などによって選ぶべき種類は異なります。そこで次項からは区分、一棟、戸建てそれぞれの概要とメリット、デメリットを解説していきます。「自分に合っているのはどれかな」という視点で読み進めると理解が深まりやすいと思います。

2.区分投資

区分投資とは、マンション内にある物件を1戸単位で所有する投資形態です。一般的に分譲マンションは1戸単位で販売されますが、投資用であっても1戸単位で売買されているため、区分所有による賃貸経営が可能です。

サラリーマンが不動産投資を始めるには、最低でも年収500万円が必要といわれています。勤め先などの属性がよければ、金融機関は年収の5倍程度まで貸してくれ可能性が高いので、まずはマンションの区分所有から始めてみるというのも一考の価値があります。

投資目的で区分マンションを購入する場合、最初は新築を避けると良いかもしれません。マンションは「新築プレミアム」といって築後2、3年で価格が購入価格よりも2割程度安くなってしまうからです。単純計算すると、1,000万円で購入した物件を5年後に売却する時、最大でも800万円にしかなりません。差分である200万円のキャッシュフローをわずか5年で積み上げるのは実際のところかなり難しいでしょう。

2-1.区分投資のメリット・デメリット

区分(マンション)投資のメリットとデメリットを、箇条書きでまとめると以下のようになります。

【区分投資のメリット】

  • 少額から始めやすい
  • 物件の流動性が高く売りやすい
  • マンションは長期の空室にはなりにくい(特にワンルームマンション)
  • 維持管理をしやすい
  • リスク分散が容易

これらのメリットを総合すると、区分投資は不動産投資の初心者向きといえるでしょう。参入のハードルが低いですし、物件を売りたいと思った時も流動性の高さゆえに売りやすいので、「始めやすくやめやすい」からです。

また、区分マンションの場合はマンションに管理会社がついているため、管理料さえ支払えば効率よく維持管理をしてくれることも初心者にはありがたいメリットです。

【区分投資のデメリット】

  • 収益性を高めるには限度がある
  • 場合によってはキャッシュフローが赤字になることも
  • 空室になると家賃収入がゼロになってしまう可能性がある
  • 土地の権利分が少ないため資産価値を維持しにくい

デメリットを総合すると、初心者に取り組みやすい一方で収益性を高めるには限度があるという部分が目立ちます。融資を受ける条件によってはキャッシュフローが赤字になってしまう可能性もあるため、長期的な視野で取り組む必要性がより高くなります。

2-2.区分投資に向いている人

1戸単位の区分所有はどうしても収益性を高めるのに限界があるため、 1戸だけの運用のみのキャッシュフローで考えると手残りは月々数万円程度になるのが一般的です。そのため、「お小遣い」の足しにしたい人や、分散投資の選択肢のひとつにしたいという人には、区分所有が向いています。

また、初心者が不動産投資に慣れる目的で最初に手がける場合は、ちょうど良いかもしれません。ただ、1戸単位の区分所有だけでは、お金持ちを目指すには道遠しともいえます。

3.一棟投資

区分所有に対して、建物を一棟単位で所有して賃貸経営をするのが一棟投資です。一棟マンションや一棟アパートなどを所有する形態が一般的です。今では区分マンション投資が人気を集めておりメジャーな存在ですが、本来一棟所有は不動産投資の王道とされてきました。

区分所有と違い、管理計画を自分で立てられますし、必要なリフォームやリノベーションも自分で決めて行うことができます。その代わり、必要な管理を怠ると資産価値を落としてしまうリスクもあります。その意味では、副業ではなく専業で不動産投資に取り組む本格派向きの投資形態といえます。

ただし、管理を外注することもできるため、サラリーマンの方でも取り組むことは可能です。

3-1.一棟投資のメリット・デメリット

一棟投資特有のメリットとデメリットは次の通りです。

【一棟投資のメリット】

  • 収益性が高く投資の効率も高い
  • 全室が空室になる可能性は低く、空室リスクに強い
  • リフォームやメンテナンスなどにオーナーの意向を反映しやすい
  • 建物が老朽化しても土地の資産価値は残る

収益性(効率)の高さやリスク分散効果など、やはり一棟投資では本格的な不動産投資のメリットが得られることが分かります。

維持管理についてオーナーの意向を反映しやすいメリットはありますが、その一方で自らの意思で管理の方針を決めて実行していく必要があるため、こういった部分は初心者にとっては若干ハードルが高く感じられるかもしれません。

【一棟投資のデメリット】

  • 物件価格が高額なので参入のハードルは高い
  • 流動性がそれほど高くないため売りにくいことがある
  • 物件の資産価値が下落する影響を強く受ける
  • 立地面でのリスクを分散できない

区分投資は「始めやすくやめやすい」ことがメリットですが、一棟投資はその裏返しで「始めにくくやめにくい」というのが大きなデメリットです。

また一棟全体を所有するため、資産価値低下の影響を強く受けやすく、所有している物件の立地条件が変化した場合の影響も大きいでしょう。このように、立地面でのリスクを分散できないのもデメリットです。

逆に区分投資であれば、複数の物件を異なるマンションに所有することで、立地面でのリスク分散をしやすい特性があります。

3-2.一棟投資に向いている人

上記のメリットとデメリットを総合すると、一棟投資に向いているのは資金力があって属性が高く、時には億単位になる初期費用を用意できる人です。この条件をクリアできなければ始めることができないため、一棟投資はすべての人に門戸が開かれているわけではありません。

また、物件の管理もオーナーが主体的に行う必要があるため、副業で不動産投資をする人よりも専業で取り組める人に適しているといえます。

4.戸建て投資

戸建て投資とは、一戸建ての住宅を所有して入居者からの家賃収入や値上がり益を狙う投資形態です。マンションやアパートと比べると、相続などで取得した戸建て住宅を活用する形で賃貸経営をしているケースも多く見られます。

4-1.戸建て投資のメリット・デメリット

戸建て投資のメリットとデメリットをまとめました。マンションやアパートとは異なる特性もあるので、それぞれをしっかり押さえておきましょう。

【戸建て投資のメリット】

  • 入居期間が長いことが多く賃貸経営が安定しやすい
  • 高い利回りを出しやすい
  • 少額から始められる場合が多い
  • リフォーム、リノベーションなどの自由度が高い
  • 「ペット可」「駐車場付き」などのニーズに応えられる

戸建て投資は家を1軒購入した上で賃貸経営をするため、一棟投資と比べると少額で始められますが、区分投資と比べるとそれほど大差はないかもしれません。その一方で、入居者の多様なニーズに応えやすいというのは、戸建て投資特有のメリットといえます。

【戸建て投資のデメリット】

  • 管理についてオーナーの手間が多くなる
  • 融資では不利になりやすい
  • リフォームや修繕などで費用が高くなることも
  • 賃貸経営を軌道に乗せるまでに時間を要する

戸建て住宅はマンションやアパートのように管理会社がないため、修繕を含む管理でオーナーの手間がかかることがあります。また、戸建て住宅は金融機関が担保価値を見極めにくい部分があるため、融資を受けにくい、もしくは受けられない場合があるので注意が必要です。

4-2.戸建て投資に向いている人

上記のメリットとデメリットを考慮すると、戸建て投資に向いているのは時間的な余裕がある人、もしくは利益が上がるまでじっくり待てる人です。

マンションやアパート比べると戸建て投資は市場がそれほど大きくないため、入居者を見つけるために時間を要することもあります。そのため、すぐに結果を求めるようなタイプの人には不向きで、時間的、経済的な余裕のある人に適しています。

5.新築と中古のどちらを選ぶべき?

続いて、新築と中古についても比較・解説したいと思います。同じ種類の物件であっても新築と中古とでは大きく異なる部分もあるので、その違いに注目してください。

新築と中古のどちらを選ぶべき?

5-1.新築の特徴

新築物件の強みは、何といっても新しいことです。新しいことで入居者を集めやすくなりますし、金融機関からの融資も引きやすくなります。建物だけでなく設備も新しいので突発的な修繕などが発生しにくく、賃貸経営の見通しを立てやすいのは初心者にとって大きなメリットでしょう。

その一方で、新築物件はどうしても購入価格が高くなりがちです。それゆえにキャッシュフローを出しにくく、場合によっては赤字になること珍しくありません。リスクは低いですが収益性も低いというのが、新築不動産投資に共通する特徴です。

5-2.中古の特徴

新築に対して中古の不動産投資は、メリットとデメリットがほぼ裏返しになります。購入価格は新築よりも安いですが、その一方でメンテナンスの費用がかさむ、金融機関からの融資が引きにくい、といったデメリットもあります。

しかし、中古物件は市場価格で流通しているため適正価格で購入しやすく、また古い建物の中には好立地のものも含まれているため、うまく立地条件に恵まれた中古物件を仕入れることができれば、新築よりも有利な環境で不動産投資をすることができます。

6.初心者におすすめなのは中古区分投資

3種類ある建物について、様々な観点からメリットやデメリットを解説してきましたが、これらの解説をお読みになった上でひとつの結論にお気づきではないでしょうか。

それは、「初心者におすすめなのは中古の区分投資」という傾向です。区分マンションは集客しやすく流動性も高いため失敗しにくいですし、区分マンションの中でも中古物件であれば購入価格が安く、好立地の物件を見つけられるチャンスもあります。

これから不動産投資を始める方は、「中古」「区分投資」をキーワードに検討してみてはいかがでしょうか。

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