投資の基本

いつかでは遅い!?20代の若い世代こそ不動産投資が必要な理由

多くの日本人は、自らが望まない限り“投資”に関する教育を受けないまま大人になります。つまり、投資のことをほとんど知らず、金融リテラシーを高めることなく社会に出ているのです。この事実は、私たちに何をもたらしているのでしょうか。

他方、近年では「貯蓄から投資」へと誘導する論調が多く見られます。金融庁など中央官庁も投資の重要性を発信 しており、「老後2,000万円不足問題」にも象徴されるように自助努力で資産形成をするべきだというのは国民的なコンセンサスになりつつあります。

なぜ投資が必要なのか?そのなかでも20代など若い世代の人にはなぜ不動産投資が適しているのか?これらの疑問にお答えしていきたいと思います。

1.日本人は投資に消極的

日本銀行調査統計局が2020年8月に発表した「資金循環の日米欧比較」 によると、家計における金融資産構成は次のようになっていることが分かりました。

まず日本ですが、「現金・預金」の割合が54.2%、次いで「保険・年金・定額保証」が28.4%、その後が順に「株式等」9.6%、「投資信託」3.4%、「債務証券」1.4%となっています。つまり、投資に回されている金額は2割にも満たないということです。

一方、海外はどうでしょうか。アメリカの場合、もっとも大きいのは「株式等」の32.5%です。次いで、「保険・年金・定額保証」の32.6%が続きます。「現金・預金」に関してはわずか13.7%のみ。「投資信託」12.3%、「債務証券」6.0%と、いずれも日本よりも高水準となっています。

ユーロ圏の場合、アメリカより「現金・預金」の保有率は高いですが(34.9%)、それでも日本よりはかなり少ない傾向が見られます。「株式等」が17.2%、「投資信託」が8.7%、「債務証券」が2.0%と、こちらもやはり日本の水準を上回っています。

このようにデータで確認してみると、いかに日本人が投資に消極的かということが分かります。政府や経済界が主導して積極的な投資を呼びかけてはいるものの、実態としては、投資マインドはまだまだ弱いと言わざるを得ません。

2.重要なのは「複利効果」

本質的な投資の効果を考えたとき、年齢が高くなってからスタートするのは得策ではありません。なぜなら、投資の旨味は「複利効果」にあるからです。複利効果とは、元本と利子を合わせた金額に対してさらに利子がつくことを意味します。具体的には次の通りです。

複利:投資金額×((年利回り(%)÷100)+1)^投資年数

※「^」は乗を表します。例えば上記の投資年数が30年なら30乗です。

この公式からも明らかなように、利息が利息を生んでふくらんでいくのが複利効果の特徴です。元本にだけ利子がつく「単利」とは異なり、複利が“雪だるま式にふくらむ”と言われる理由は、ここにあります。

この複利効果が実感できる、「72の法則」があります。この「72の法則」とは「72を金利で割るとお金が2倍になる時期の目安がわかる」 というものです。近年ではFIRE(「Financial Independence, Retire Early」の略で、経済的自立と早期リタイアを意味 します)が注目されていますが、このFIREでは4%の運用利回りが想定されています。この4%を「72の法則」に適用すると、以下のようになります。

72 ÷ 4 = 18

4%で運用し続けることができれば、資産は18年でほぼ2倍になるということです。投資によって得られる利益は不労所得なので、不労所得で資産が2倍になるのはとても魅力的なことだと感じられるのではないでしょうか。

ただしこれは4%で運用できた場合の数値であり、実際はそれよりも利回りが低かったり投資元本が少なかったりして、資産を大きく増やすには18年では足りないケースが大半です。

その意味でも、人生の時間がまだまだ十分にある20代の方たちこそ投資に目を向けるべきなのです。20代など若い世代の人たちには投資元本となるまとまったお金を用意するのは難しい部分もあるかもしれませんが、「運用できる時間」という大きな資産があると考えてください。

そう考えると、年齢を経てからではなく、若いうちから投資にチャレンジした方がお得ということです。若いうちならリスクに対する許容度も高く、そして何より、複利によって投資金額が大きくふくらむ可能性が高いのです。

2.重要なのは「複利効果」

2-1.毎月コツコツ投資することのメリットとは?

20代の方が不動産投資を始めることを想定して、そのメリットを考えてみましょう。

都心エリアの資産価値が高い物件は、地方の物件と比べると利回りは低いかもしれません。なぜなら投資利回りは年間の家賃収入を物件購入価格で割るため、分母にあたる購入価格が高いと利回りが大きくなりにくいからです。

しかし資産価値が高いため、売却益(キャピタルゲイン)を期待できます。家賃収入で融資返済を進め、元金を減らし、売却額とローン残債との差額が、まるまる利益となるのです。

「そうは言っても、投資するお金がない」、これはごもっともな意見ではありますが、投資目線だとその発想は間違っていると言えます。たとえまとまったお金がなくても、投資を始めることはできるからです。

たとえば、毎月一定額で投資をするのはどうでしょうか。これなら、貯金と同じような感覚で投資を行うことができます。しかも、複利効果は早く実践した方ほど大きいため、まとまったお金ができてからではなく、すぐに始めたほうが良いのです。

将来のために、そして複利効果を最大化させるために、若いうちから投資を始めましょう。早くスタートした方が、より多くのメリットを得られるということを、忘れないでください。

3.不動産投資は20代から始めるのが理想

できるだけ早くから投資を始めるのが人生において有利になる事実を踏まえて、ここでは20代で不動産投資を始めることの意義や注意点、成功の秘訣について解説したいと思います。

3-1.不動産投資を20代から始めるべき理由

20代の方が不動産投資を始めることのメリットは、実に多くあります。

何といっても人生の時間がまだまだ長いので、最長の35年ローンを組んで不動産を購入したとしても現役世代のうちに完済できる可能性が高くなります。現役世代のうちに完済できるということは、途中で返済が苦しくなるリスクが低く、それゆえに審査にも通りやすくなります。

そしてもう1つ、先ほども述べたように十分な時間があることで得られるメリットがあります。それは不動産投資によるメリットを享受できる期間の長さです。20代の人たちには時間という資産があるというのは、この意味も含まれます。

家賃収入で豊かな生活を手に入れるというのは不動産投資のメリットの1つですが、若いうちから大家さんになった方にはこのメリットが長く続くため、老後の安心だけでなく現役世代のうちから豊かな生活を手に入れ、最近注目されているFIREと呼ばれる早期リタイアも視野に入ります。

さらに、そこから得られる二次的なメリットもあります。不動産投資では本業とは別の収入源を確保することができるため、この「本業以外の収入」が精神的なゆとりをもたらします。

特にサラリーマンの方は会社でさまざまなストレスを感じることもあると思いますが、「いざとなったら辞めても生活できる」「本業だけの収入で生きているわけではない」という意識を持つことがどれだけ心にゆとりをもたらすかは、想像に難くないのではないでしょうか。

長い人生のうちの大部分でこうした心のゆとりをもって生活することの価値がどれだけ高いか、イメージしてみてください。その期間を長くすることができるのは若い世代の特権であり、年齢が高くなるとその特権は二度と訪れません。

3-2.不動産投資を20代で始める時の注意点

人生の時間が長いという圧倒的な優位性がある20代の方々にも、もちろんリスクや注意点はあります。20代の方が不動産投資を始めるのにあたって注意したいことは、主に3つあります。

1つめは、ローン審査についてです。不動産投資では数千万円規模の買い物をするわけですが、20代でこれだけの金額をキャッシュで用意できる方は稀でしょう。ほとんどの方が融資を利用することになりますが、20代など若い世代の方はこの審査に通りにくいのが1つのハードルになります。
不動産投資向けのローン審査で重視されるのは、年収や勤続年数など返済能力に直結する社会的な信用状態です。
20代の方はたとえ年収が高い職業に就いているとしても物理的に勤続年数が短い方が大半になるので、このことがネックになります。審査に通らなければ不動産投資による資産形成の計画も絵に描いた餅になってしまいます。

2つめの注意点も、融資についてです。自己資金と借入によって調達した資金を合わせて不動産を購入するのが一般的ですが、20代の方は自己資金額をそれほど大きくできないので、どうしても借入金のウェイトが高くなります。
借入金のウェイトが高くなると月々の返済金額も大きくなるため、どうしてもギリギリの収支になります。その分返済の期間が十分確保できることは強みなのですが、一時的に負担が大きくなる可能性があります。
収支がギリギリになると資金ショートのリスクが高まるため、それを回避するためにも自己資金をしっかり貯金してからスタートするか、借入金が大きくなっても手元に余剰資金をプールしておくことを強くおすすめします。

1つめと2つめについては資金計画についてのものですが、それ以外にも20代の方は不動産投資に必要な経験や知識が不足しがちな点もリスクであると考えるべきでしょう。
不動産投資が初めてであれば専門的な知識が少ないことはもちろんですが、それ以外にも不動産投資は賃貸経営なので、人が相手のビジネスです。社会人経験が役立つ場面も多いのですが、20代の方は社会人経験の年数が少ないので、もっと年齢の高い方であれば簡単に解決できるようなことであっても、壁にぶち当たってしまうかもしれません。

しかし、それも多くの不動産投資家が乗り越えてきたものであり、人生経験を積んでいくことによって自然に解決できる問題です。

3-3.不動産投資を成功へ導くポイント

それでは20代の方々に向けて、不動産投資に成功するポイントを解説しましょう。若い世代の方々が取り組むべきことは、以下の5つです。

  • 不動産投資を学び、知識を身につける
  • 十分な自己資金を用意してから行動する
  • 不動産投資に過度な期待は禁物
  • 不動産投資は人相手のビジネスであると心得る
  • 信頼できるパートナーを見つける

この5点はいずれも順位をつけられないほど重要なものばかりですが、その集大成ともいえる重要項目が、5つ目のパートナー選びです。

ここでいうパートナーとは、収益物件の取り扱いに強みをもっている不動産会社のことです。不動産投資初心者であり、人生の初心者ともいえる20代の方々が丸腰で不動産投資に乗り出しても、なかなか成功の道筋は見えてきません。

そこで不動産投資のプロであり、信頼できる不動産会社をパートナーとすることで物件選びから資金計画、さらには物件の管理までサポートが期待できるので、信頼できる不動産会社と出会うことができれば不動産投資は半分成功していると言っても過言ではありません。

4. 20代向きの不動産投資

ここまで20代の人たちが不動産投資に取り組む重要性やメリットなどについて解説してきましたが、それでは実際にどんなビジネスモデルが有効なのでしょうか。ここでは、20代の人たちに適した不動産投資の形を3つ提示したいと思います。

4-1.中古のワンルームマンション

20代の若い人たちが取り組むべき不動産投資として最適なビジネスモデルの1つめは、中古のワンルームマンションです。なぜ中古なのか、なぜワンルームマンションなのか、解説していきましょう。

新築物件よりも中古物件をおすすめするのは、価格の妥当性です。中古の不動産は需給のバランスによって価格が決まるため、常に妥当な価格で購入できます。これに対して新築物件は市場価格ではなくマンションディベロッパーが「売りたい」価格で販売されます。

その価格には土地の取得や建築の費用、さらに販売に要した宣伝費用なども含まれるため、市場価格よりも高くなります。この価格差は「新築プレミアム」と呼ばれており、新築物件を割高にしてしまっている原因の1つです。「新築プレミアム」込みで購入した物件をすぐに売りに出すとプレミアム分は剥落するため、すぐに売っても損をしてしまいます。

その点、中古マンションであれば妥当な価格で購入できるため、投資利回りを安定化させやすいメリットがあります。

また、単純に購入価格が安くなるため少額から参入したいという方にも手が届く物件が多くなります。

2つめの中古ワンルームマンションをおすすめする理由は、需要の高さと将来性です。東京はワンルームマンション投資の好適地ですが、その東京都では1世帯あたりの人数が減り続けており、今後単身者世帯が増加することが確実視されています。

ワンルームマンションは単身者世帯が住むのに適した住居なので、今後も安定した需要を見込むことができます。

4-2.土地だけでスタートできる駐車場経営

次に紹介するのは、駐車場経営です。平地の駐車場であれば建物が不要なので、土地さえあれば簡単に始めることができます。近隣に商業施設など人が集まる施設がある場所であればスポット的な需要を見込むことができるため、手軽な不動産投資として検討に値します。

自己管理する方法もありますが、コインパーキング運営会社に委託することでコインパーキングとして運営するのも1つの方法です。投資先の土地の立地条件によって使い分けるのがよいでしょう。

また、駐車場経営を未来永劫続ける必要はなく、駐車場として利用したうえでマンションやアパートを建設して投資をするのも有効です。駐車場はほぼ更地に近いので、このように土地の利用法を柔軟に変更できるのもメリットです。

4-3.少額投資可能な不動産投資信託

少額から不動産投資を始めたいという方には、不動産投資信託(REIT)がおすすめです。投資法人が主体となって不動産を運用し、その運用益を投資信託を所有している人に分配するのが不動産投資信託 なので、投資家は間接的に不動産投資に参加することができます。

しかも投資法人は不動産投資のプロなので、自分で物件を選ぶ必要がなく、プロの目利きに任せられるのもメリットです。

不動産投資信託のなかでも証券取引所に上場している銘柄群を、「J-REIT」 といいます。上場していることもあって運用の透明性が高く、なおかつ株のように手軽に売買ができるので、証券会社の口座を開設すれば今すぐ始めることができます。

5.20代で不動産投資の資金を確保するには?

不動産投資を始めるために銀行など金融機関の融資を利用するケースは多いと思いますが、融資を利用するにも自己資金は必要です。自己資金を多く用意できると審査にも通りやすくなるので、不動産投資の長期計画を実行するためにも自己資金は重要です。しかし20代の方々で多額の貯金がある方は少ないと思います。そこで、自己資金を用意するための方法を3つ紹介します。

5-1.家計簿をつけて収支を把握

家計簿というと結婚している世帯が家計の管理に使うものというイメージがあるかもしれませんが、若い方や独身の方であっても家計簿をつけることは有意義です。

最も重要なのは支出を見える化することで、そのなかには無駄な出費や衝動買いのような出費が少なからず含まれているものです。それを洗い出してコントロールすることでお金を残すことができれば、それを積み上げることでまとまった金額になるでしょう。

今では家計簿アプリといってスマホで簡単に家計の管理ができるアプリがたくさんあります。有名なものでは「Zaim」 や「マネーフォワードME」 などがあります。他にもたくさんの家計簿アプリが無料で提供されているので、ぜひ利用してみてください。

5-2.固定費を見直す

固定費とは、毎月必ず支出される費用のことです。賃貸住宅に住んでいる人であれば家賃なども固定費に含まれますが、特に見直しをおすすめしたいのが携帯電話やネット回線、サブスクリプションの利用料金などです。

携帯電話はキャリア間の価格競争が激しく、格安SIM会社だけでなくNTTドコモやau、ソフトバンクといった大手であっても格安の料金プランが用意されています。「ギガ数」の多いプランは料金も高くなるので、自宅では極力Wi-Fiを利用するなどパケット通信量を節約して、携帯料金を安くするのが得策です。

サブスクリプションは本当に利用しているもの、利用する価値があるものだけに絞りましょう。こういった固定費を見直すことによって毎月数万円をねん出することができれば、それを貯金に回すことができます。

5-3.事業スタートの支援制度を利用する

不動産投資は事業なので、新規に事業を始めようとしている人に向けて用意されている支援制度を利用できることがあります。国の省庁レベルだけでなく地方自治体もさまざまな制度を設けている ので、こうした支援制度や補助金、給付金などもしっかり活用したいところです。

6.20代で不動産投資を始める時に確認すべきポイント

不動産投資を始める以上、失敗は何としても避けたいところです。大きな金額の投資になるだけに失敗するとダメージも大きくなりやすく、考えられるリスクは事前にしっかり押さえて対策しておきましょう。ここでは事前の要確認項目を3つ解説します。

6-1.選ぶ不動産投資で目的達成は見込めるか

当記事では不動産投資について3つの方法で解説しました。ワンルームマンション投資、土地投資、そして不動産投資信託です。このどれを選ぶかは資金量や不動産投資に求める結果によって変わってくると思いますが、重要なのはその投資で目的を達成できるか否かです。

安定した現金収入を目指すのか、資産形成を目指すのか、さらに目標としている時期までにそれを達成できるかといったように、細かく目標を立ててそれを達成できるものなのかどうかをチェックしましょう。

6-2.現実的な数字でシミュレーションできているか

長期スパンで取り組むのが不動産投資なので、収支のシミュレーションはとても重要です。しかし「どんぶり勘定」のシミュレーションでは意味がなく、シミュレーションにどれだけ具体性があるか、現実味があるかを精査してください。

不動産物件を提案してくる不動産会社のシミュレーションを鵜呑みにすることなく、その数字にどこまで現実味があるのかを、納得できるまで質問するスタンスを持ちましょう。

6-3.本業に支障はでないか

サラリーマンなど本業がある方にとって、不動産投資は副業です。国が副業を促進していることもあって多くの企業で副業を容認する社会的な風潮がありますが、さすがに本業に悪影響を及ぼすような副業は奨励されていません。

不動産投資は物件管理や家賃の回収など多くの業務をアウトソーシングできるのもメリットなので、外部に委託できることは極力委託して、本業に支障がでないビジネスモデルを構築しましょう。負担が少ないことは長く続けていくコツです。

7.パートナー会社選びを間違えないために

先ほど、パートナーとなる不動産会社選びの重要性を説きました。その重要なパートナー選びを間違えないために重視したいのが、どこまで親身になってくれるかという姿勢と、実績や具体的なデータに基づいた提案力です。

さらに、提案している物件に関する情報、特に収支シミュレーションの正確性と将来におけるシミュレーションの現実味が重要なので、購入前にしっかりと精査するようにしましょう。

不動産投資を始める方には、それぞれの事情があります。その事情にしっかりと寄り添い、最適な物件を提案してくれるかどうかはとても重要なポイントです。

また、そこで提案される物件の収益性がしっかりと実績やデータに基づいたものでなければ意味がありません。この2点を意識しつつ、不動産会社の提案を精査してみてください。

3年以上勤めた会社員へ。
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