不動産投資

都心のワンルーム経営のメリットデメリットと経営成功の5大法則

給与とは別口の収入源の確保として、将来の相続税対策として、都心にあるワンルームマンションの不動産経営に人気が集まっています。このようなセミナー参加者の多くは、会社員や公務員など、今日まで不動産業界には関係なかった方が多く、副業が当たり前になってきた昨今、誰もが参入しやすいものになっているようです。

しかし、ワンルームとは言え、不動産購入では大きなお金が動きますので、失敗は避けたいものです。そこでこの記事では、都心のワンルーム経営に関して以下のようにまとめました。

  1. 「都心ワンルーム」が不動産経営に適している3つの理由
  2. 「都心ワンルーム」の経営をするメリットデメリット
  3. 成功する「都心ワンルーム」の選び方

最後までお読みになれば、都心ならではのワンルームマンション経営の価値がわかり、より前向きに不動産経営を検討できるようになります。

都心のワンルーム経営のメリットデメリットと経営成功の5大法則

1.「都心ワンルーム」が不動産経営に適している3つの理由

本章では、都心のワンルームが何故、不動産経営に適しているのかの理由を3つにまとめました。ワンルームマンションは単身者向けのコンパクトなマンションのことです。

1-1.家賃を高く設定できる

人が多く集まる都心の不動産は常に「需要>供給」の状態にあるため、比較的高い家賃設定でも入居者が決まります。

家賃設定が高いもう一つの理由として、都心は地価が高いため、不動産オーナーがワンルーム物件を取得するための投資資金が高額になり、返済計画の際、一部屋あたりの賃料を高めに設定する必要があるからです。

ただし、ワンルームは、ファミリー向け物件などと比較すれば、家賃は低くなりますので、高めに設定すると言っても、あくまで、地方で同条件のワンルームマンション経営をするケースと比べれば家賃を高く設定できるという意味です。

1-2.空室率が低い

都心のワンルームマンション経営は、空室率が低いという特徴があります。空室率が低い主な理由は、都心の圧倒的な人口の多さによる、入居者需要の多さです。

以下の表は、総務省統計局のデータによる、都道府県の人口トップ10です。

人口の多さトップ10 人口の少なさトップ10
都道府県名 人口 都道府県名 人口
1 東京都 1406万人 1 鳥取県 55万人
2 神奈川県 924万人 2 島根県 67万人
3 大阪府 884万人 3 高知県 69万人
4 愛知県 755万人 4 徳島県 71万人
5 埼玉県 734万人 5 福井県 77万人
6 千葉県 629万人 6 山梨県 81万人
7 兵庫県 547万人 6 佐賀県 81万人
8 北海道 523万人 8 和歌山県 92万人
9 福岡県 514万人 9 香川県 95万人
10 静岡県 364万人 10 秋田県 96万人

この表からもわかる通り、人口が多いトップ10に入るのは、全国でも大きな都心部がある都道府県であり、その中でもさらに上位に入るのは、大手企業や公共施設が集まる大都市であることがわかります。

人口が少ない都道府県トップ10と比較するとハッキリとわかりますが、両者の人口比は最大で25倍もの差があります。当然、人口が多ければ多いほど借り手の候補は増えますので、都心のワンルームマンション経営は、空室が起きにくいことが理解できます。

特に東京は目立って人口が多く、さらには、

  1. 家、車、物を持たない&買わない主義の若年層(ミニマリズム)
  2. 非婚または晩婚志向
  3. 離婚による単身世帯の増加
  4. 死別によるシニア層の単身世帯

の影響で、2035年までに都内で暮らす人口の半分が単身世帯になるという予測データがあります。

参照:東京都世帯数の予測概要

ワンルームマンションは単身者が住むのに適した部屋であり、病院・交通機関・商圏・飲食店など単身での生活が便利な都心には、幅広い年齢層の入居者需要が推測されます。

特に、1番目の物を買わない・もたない世代は、今後も賃貸で暮らしていく可能性が高く、従来のようにワンルームマンションは独身時代に住む一過性のものという前提は崩れつつあります。

このように人口が多い都心は今後も多くの企業がビジネス目的で集まり、それに合わせて大量の人が流入していきますので、都心のマンション経営は空室率が低い状態での長期運営が期待できます。

1-3.資産価値が高く流動性が高い

都心にある不動産は、資産価値が落ちにくく、売却しやすいという特徴があります。目減りするのは上物(建物)の部分だけで、土地は経年劣化しませんので、不動産としての価値は10年20年経過しても購入時と大きくは変わらない傾向があります。

また、エリア条件が好ければ、建物が経年したとしても、その利便性を求めて、いくらでも借り手が現れますので、不動産経営物件としての売却にも買い手が付きやすく、運営・売却ともに損をしにくいでしょう。

2.「都心ワンルーム」の経営をするメリットデメリット

本章では、都心のワンルームで不動産経営をするメリットとデメリットをまとめています。

2-1. 「都心ワンルーム」の経営をするメリット6つ

都心のワンルーム経営で得られるメリットです。

2-1-1.得られる収入1 インカムゲイン

マンション経営により、毎月家賃収入(インカムゲイン)が発生します。不動産経営は、収入の中から借入れの返済をしていきますので、仮に家賃10万円・毎月返済額7万円だった場合には、毎月3万円、年間で36万円の家賃収入が発生します。

厳密に言えば、年間36万円の家賃収入から、運営コスト(管理費・修繕費・税金など)を指しい引いた金額が、オーナーの収入となります。

ローンの返済が終わらないうちは、手取りが少ないと感じるかもしれませんが、実際のローンは入居者が支払ってくれていますので、ローンを返済しながらマンションからの収入が発生し、なおかつ年月が経過するごとに借金が減っていきます。

2-1-2.得られる収入2 キャピタルゲイン

都心のワンルームを安く買い、高く売却できれば売却益(キャピタルゲイン)が発生します。ワンルーム経営のキャピタルゲインでは、ローン残債よりも高い金額で売れたら「収益」と考えますので、仮に購入時よりも低い金額で売却をしても収益となります。その理由を説明します。

前章でも解説したとおり、都心にあるワンルームは高めの家賃設定と安定した入居者確保ができるため、ローン返済が安定します。一般的な不動産賃貸は経年すれば賃料を下げる傾向がありますが、利便性を最優先している都心のワンルームは、家賃を下げなくても空室が起きにくいため、かなりの長期間、同じ家賃設定のままローン返済ができます。

このワンルーム物件のローン返済は入居者が行っていますので、空室さえ発生しなければ、不動産の資産価値が落ちるよりも早いスピードでローン返済が進んでいき、オーナーにとっての不動産含み益が増えていきます。その結果、ローン残債よりも高く売れれば、全額が売却益(キャピタルゲイン)となります。

購入した不動産が買った時よりも高く売れるということはあまり起きないので、不動産の売却益というものはほとんど発生しないのが一般的ですが、都心ワンルーム経営の場合のみ、買った時より不動産価格が下がっていても、キャピタルゲインを得やすいというメリットがあります。

ただし、マンション経営の醍醐味はインカムゲインですので、キャピタルゲインのみを狙った短期のマンション売買はおすすめできません。立地とエリアの良い都心ワンルームで十分なインカムゲインを得たうえで、地価上昇などで大きな売却益が見込めそうな場合は、前向きに検討してみてもよい方法です。

2-1-3.保険として人生をサポート

都心でワンルームマンション経営をするにあたり、ほとんどのオーナーは金融機関からお金を借りてローンを組みます。その時に団体信用生命保険というものに加入します。この保険は、とても簡単に言えば「死んだらローンをゼロにします」という保険です。

ワンルームのマンション経営中に、オーナーが亡くなった・または高度障害になった場合、ローンの残債は団体信用生命保険の会社が引継ぎ、その生命保険で相殺するため、遺族に債務が残りません。遺族には、無借金の状態の不動物件と、毎月の家賃収入が入ることになります。

現在、住宅ローンを組む場合は、それが投資用でも通常の住宅ローンでも団体信用生命保険の加入がありますので、マンション経営を始めると、自動的にこの保険に加入することになります。

マンション経営そのものは、ご自身の資産運用ですが、見方を変えると、家族を守るための保険として捉えることもできます。現在、毎月掛け捨ての生命保険に加入しているのであれば、都心にワンルームを購入してマンション経営をすれば、効率の良い保険として、人生の万が一への対策になります。

2-1-4.年金として人生をサポート

都心のワンルーム経営は年金対策になると言われています。これは、現役時代に都心にワンルームマンションをローンで購入しておけば、定年するころまでにはローンが完済しているので、老後には年金+家賃収入があり、家賃分を年金に上乗せした額が老後資金になるというものです。

マンション経営の場合、ローン返済には家賃が充当されますので、実際にはローンは入居者が返済してくれています。特に、都心のワンルームであれば、1章で解説した通り、長期にわたって家賃下落・空室とも起きにくいため、ローン返済は順調に進んでいきます。

通常の住宅ローン同様、繰り上げ返済をすることもできます。時間の経過とともにローン元金が減り、完済後は、賃料から経費を引いた分が収益になります。また、不動産という現物資産も手元に残りますので、不動産と毎月の現金の両方が手に入ります。

2-1-5.節税ができる

都心のワンルームマンション経営は所得税と住民税に対して効果的な節税ができます。税務上、不動産所得には、不動産経営の赤字を他の所得から差し引ける「損益通算」が認められています。

不動産の赤字分を、会社員の所得から差し引いた収入が所得税・住民税の課税対象となるため、税金が安くなることがあります。

例えば、会社員や公務員などの給与所得者は、給与から所得税が天引きされていますが、不動産経営で出た赤字分を確定申告すれば、会社員の所得総額から赤字分が差し引かれ、納めすぎていた分の税金が還付されることもあります。

マンション経営の所得とは、年間家賃収入から必要経費を引いた分です。この必要経費には、

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 火災保険 地震保険
  • 固定資産税
  • ローンの金利分

などが含まれます。これ以外にも、ワンルームマンションの取得費用を分割して、減価償却費として経費計上できますので、実際には手元に現金が残っていても帳簿上は赤字になり、課税対象額が減額して節税できます。

ただし、減価償却は土地には適用されず、建物部分のみ適用されます。また、建物の構造による法定耐用年数以内しか使えません。

鉄筋コンクリート造:47年
重量鉄骨造:34年
軽量鉄骨プレハブ造:27年
木造:22年
軽量鉄骨プレハブ造:19年

参照:国税庁 法定耐用年数表

耐用年数を過ぎると減価償却が終わるので、経費計上できなくなり、帳簿は黒字化します。この対策として、赤字継続のためにワンルームの追加購入を検討しているケースがありますが、金融機関は赤字が続いている経営者には融資を渋る傾向がありますので、期待通りにはならない可能性があります。

都心のワンルーム経営は、減価償却期間以内であれば節税となることを覚えておきましょう。

2-1-6.相続税対策になる

都心のワンルームマンション経営は、相続税対策としても効果があります。相続が起きたとき、現金と不動産では、不動産のほうが大きく節税できます。現金は現金価格そのものが相続税の対象となりますが、不動産の場合は

  • 土地 路線価
  • 建物 固定資産税評価額

という評価方法になります。これらは2つとも公示地価の6~8割になるため、現金よりも課税対象額が減り、節税となります。

さらに、不動産を第三者に賃貸している場合は、不動産を相続する人が100%自分の思うように物件を使えないという配慮により、先の評価額から、さらに3割の控除が適用されます。

そのため、相続をする際には、現金ではなく都心のワンルームマンションを購入し、その物件を相続させるほうが、大きく相続税を下げることができます。

参照:相続財産の評価

【コラム】サラリーマンほど参加しやすいワンルームマンション経営

都心でのワンルームマンション経営をスタートする方のほとんどは、医師・公務員・サラリーマンなどの給与所得者、つまりサラリーマンです。マンション経営がサラリーマンに人気があるのには、2つの理由があります。

1.融資を受けやすい
ワンルームマンションを購入するとき、ほとんどの方は金融機関でローンを組みます。その際、不動産価格の2割程度の頭金を準備するのが一般的なのですが、以下のような一定の条件を満たしたサラリーマンであれば、0~少額の自己資金だけで、融資を受けることができます。

  • 上場企業勤務とそのグループ会社 または医師・弁護士等の士業
  • 勤続年数3年以上
  • 年収600万円以上
  • キャッシングなどの経歴がない

2.経営に手間がかからない
都心のワンルームマンション経営をスタートする方のほとんどは、賃貸に出すワンルーム物件の管理を、管理会社に業務委託して経営します。これにより、オーナーとしてやる業務のほとんどを管理会社が代行することになるため、激務の方でも、安心してマンション経営に携われます。

以上のように、頭金ゼロ・知識ゼロの状態からでも、安心してマンション経営がスタートできるため、多くのサラリーマンの方が、都心のワンルームマンション経営を検討しています。

マンション経営を始めるほとんどの方は、今まで不動産業界とは無縁であり、不動産に関する知識は皆無に近い状態からスタートします。しかし、業務委託することにより、知識が全くなくてもスムーズマンション経営ができるのです。

参照:関連記事 サラリーマンが不動産投資をする4大きっかけと成功する3つのエッセンス

2-2.「都心ワンルーム」の経営をするデメリット3つ

都心のワンルームでマンション経営をするデメリットをまとめました。

2-2-1.マンション価格が高い

都心のマンションは地価も高く、資産価値が高くなる分、物件自体の価格も高くなります。また、都心には都市計画があるため、固定資産税以外にも都市計画税を払うことになります。

地方の物件であれば、もっと手ごろな値段のワンルームマンションがあるので、都心のワンルームよりも魅力的に見えることがあります。

【対策】
入居者の立場で考えた場合、都心のワンルームをわざわざ選んで住む理由には、

①ドアtoドア15~30分で通える職住近接したい
②仕事場と家の間で、外食・買い物を済ませたい
③都心独特の眺望や雰囲気が好き

などの明確な希望があります。

①は電車が3~5分ごとに来る都心以外では成立しませんし、②は商圏が密集し、数メートル置きにお店やコンビニがあるような都心でないと成立しません。最後の③の雰囲気や眺望は町全体が生み出すものですので、都心以外のエリアでは環境としても得にくく、またお金をかけてもマンション単体では創り出せない部分です。

都心ワンルームに入居したい人は、この都会的な雰囲気に加えて、時短を含めた便利・快適な生活を求めています。つまり都心ワンルームの価格は、このような「都心ならでは」の特徴的な要素を含めた値段であることを考慮に入れて、値段と価値を比較してみましょう。

2-2-2.利回りが低い

マンション経営指標の一つに、利回りがあります。利回りとは、物件の値段に対して、年間収益がどのくらいなのかを%で表すものです。計算式は

年間取得家賃÷物件購入費×100

*表面利回りの計算式です。

ですので、例えば、ほぼ同じスペックのワンルームを都心と地方で比べた場合は

  • 都心ワンルーム:2,500万円で購入し、家賃が10万円であれば利回り4.8%
  • 地方ワンルーム:1,000万円で購入し、家賃が7万円であればり利回り8.4%

となり数字だけ見ると地方のほうが圧倒的に利回りが高くなります。このような差が出る主な理由は、都心ワンルームはマンションの購入費が高いためです。

一般的には「利回りが高い=価値が高いマンション」という表現が使われるため、都心ワンルームのマンション経営に興味を持っても、利回り数値を見て、考えてしまう方も多いかと思います。 

【対策】
世間一般でいわれているような、利回りが高い物件=価値の高い物件という図式は、必ずしも正解ではありません。利回り計算はあくまで、家賃がちゃんと入ってきたらの数値であり、入居者がつかずに家賃が入ってこなければ、利回りは絵にかいた餅となります。

多くのマンションオーナーは購入時にローンを組みますので、入居者がつかないとローン返済を自腹で払うことになります。

つまり、いくら利回りが良くても、入居者を継続的に確保できないのであれば、価値がある物件とは言えないのです。

マンション経営において「本当に価値のある物件」とは、賃貸需要があり、なおかつ継続的に入居してくれる物件ですので、利回り数値に振り回されずに、物件の真価を見る必要があります。

基本的に、都心ワンルームは立地・設備・環境ともに魅力的なものが多く、賃貸需要が高い物件が多いので、マンション経営をするのであれば、都心ワンルームをおすすめします。

2-2-3.ライバルがたくさんいる

都心には入居希望者もたくさんいますが、同じようにマンション経営をしている人もたくさんいるので、ライバルが多くて経営がうまくいくか心配になる方もいらっしゃいます。

【対策】
確かに、競争相手はたくさんいますが、マンション経営成功の勝敗は、同業者に勝つことではなく、入居者を安定的に確保し、賃料が長期間発生し続けることで決まります。入居者の立場になって考えれば、1人一部屋あればよいわけですから、同業者がたくさんいても、実際にはあまり関係ありません。

入居者の候補が多い地域であれば、マンションに関わらず不動産経営は成功しやすくなります。入居者の多さとは、その物件を必要としてくれている世帯のことですので、都心ワンルームの場合は単身者のことになります。

1章の空室率の項でも説明をしましたが、例えば、東京都の人口は今後も人口増加が続き、なおかつ2030年には東京の人口の半分が単身世帯になることが見込まれています。首都である東京で起きる現象は、他の都心部でも同じことが起きますので、単身向けの不動産である都心のワンルームマンション経営は、ライバルが多くても、安定成長が期待できます。

参照:東京都総務局統計部「東京都区市町村別人口の予測」

3.成功する「都心ワンルーム」の選び方

本章では、成功する都心ワンルームマンションの選び方をまとめています。

3-1.エリアと立地を厳選する

都心というのは、官庁や商業、企業の本社などが集中する場所のことです。東京でいえば、丸の内・霞ヶ関・大手町・永田町・銀座・東京駅近辺のことで、オフィス街と呼ばれるエリアを指します。

それ以外のエリアでも、主要ターミナル駅がありオフィス街が集中する都心5区である港区(六本木周辺)、新宿区(新宿駅)、渋谷区(渋谷駅)、豊島区(池袋駅)、台東区(上野駅)なども都心と呼びます

3-1-1.理想は駅歩7~8分以内

都心ワンルームを入居先に選ぶ人は、通勤・通学時間を短くした職住接近のライフスタイルを好みます。そのため、同じ都心部であっても、より駅から近い便利な場所を希望します。

主要ターミナル駅または勤務先や学校まで、家から30分以内で到着できる時短通勤通学を希望していますので、駅歩7~8分程度までが理想です。

これ以上かかってしまうと、利用駅に着くまでの時間+電車移動時間+目的地までの徒歩の合計が30分を超えてしまい、都心ワンルームに住むメリットが減るため、リストから外される可能性が高まります

3-1-2.便利な環境のみ

便利な環境とは、駅から自宅までの間に、24時間営業か深夜まで営業をしている

  • スーパーや商店街
  • コンビニが数件
  • コインランドリー
  • カフェやレストラン
  • ファミリーレストラン
  • ドラッグストア

などが揃っていることです。この条件が完全に揃うのは駅前と呼ばれるエリアであり、前項の駅歩7~8分とほぼ同意になります。

3-2.災害リスクを確認する

災害リスクとは、地震・洪水・土砂災害・津波・液状化などの自然災害と、火災のことです。不動産は場所を動かすことができませんので、災害リスクを考慮したエリア選びが必要です。

3-2-1.ハザードマップから確認

便利な都心部であっても、エリアによっては大きな自然災害が出やすいところがあります。これらの場所の確認は、そのエリア(区・市)が発表しているハザードマップから判断できます。

例えば、東京都新宿区には神田川という、かつては水害で有名だった川が流れています。新宿区洪水ハザードマップによれば、以下の図のオレンジ色の部分は神田川があふれた場合には、1階天井部分まで水が来る可能性があることを示しています。(JR高田馬場駅周辺)

参照:新宿区洪水ハザードマップ 洪水避難地図

現在では河川工事がされているため、よほどのことがなければ被害は出ませんが、仮に、連日の大雨に加えて高潮などが重なれば、水害が出る可能性があります。このようにして、市区町村が発表しているハザードマップをもとに確認します。

気になる物件がハザードマップ上で災害リスクが高い場所だったとしても、イコール却下ではありません。このようなリスクが高いエリアは、便利な場所にあっても不動産価値が低くなっていることが多いので、例えば、水害が来ても問題のない4階以上を選ぶなど、リスクと価格帯とのバランスの上で判断をします。

ただし、地面の液状化や土砂災害などの、建物全体の倒壊の恐れがあるエリアは、収益物件そのものが消滅してしまう可能性があるため、どれほど安くても避けておいたほうが無難です。

3-2-2.余裕があれば自分で確認

物件探しに慣れてくると、ある程度、そこに書かれている情報だけでエリア情報がつかめてくるのですが、はじめたてのうちは、羅列してある情報だけでは、物件の良し悪しがすぐには判断できません。収益物件で条件の良いものはベテラン勢が瞬時に判断して購入してしまいますので、判断の速さは必要です。

この判断力を付けるために、不動産経営の勉強だと思って、気になる物件・お気に入りに入れている物件は、その周辺エリアの現地まで行って見て来ることをおすすめします。

ワンルーム経営をする側はそこには住みませんが、入居希望者はそこの場所に行って、内覧をして入居の是非を決定します。

入居者目線で見たときの体感が、現時点で足りない経験や知識を補ってくれることもあります。見に行った物件が購入できるかはわかりませんが、似たような条件を持つ物件が出てきたときには、以前よりも素早い判断ができるようになります。1度は足を運んでみることをおすすめします。

3-3.スペックよりも設備の良さを優先する収

マンションのスペックとは、基本的に、その物件を数字で表せるもの全てです。床面積・天井高・部屋数・バスの大きさ、マンション世帯数、フロア数など数限りなくあります。

これらの数字は、類似他物件の比較のためにはとてもわかりやすいので、物件の販売者や物件の購入者であるオーナーにとっては大切な数字ですが、マンション経営を実際に支えてくれる入居者は、この数字だけを見て入居してくるわけではありません。

そのためスペック以外の設備の良さや暮らしやすさからその物件の価値を判断していく視点も必要です

3-3-1.若い人もシニアの両方が求めるもの

1章空室率のところで解説しましたが、都心部は今後、

  • 家や車を持たない主義の若年層(ミニマリズム)
  • 非婚または晩婚志向
  • 離婚による単身世帯の増加
  • 死別によるシニア層の単身世帯

などで単身世帯が多くなります。東京都が発表したデータによれば、2035年までに東京都内で暮らす人口の半分が単身世帯になるという予測があり、一昔前の「単身ワンルーム=結婚前の若い人」という図式が崩壊します。

そのため、これから先の都心ワンルームは、あらゆる世代が求めるものを柔軟に提供する必要があります。そのような視点で、物件の場所・部屋の作りを含め、お付き合いをする不動産会社などを総合的に見ていく必要があります。

参照:東京都世帯数の予測概要

3-3-2.今・この時代に必要な設備一覧

これからの時代に必要な設備とは、このようなものです。

  • 高速インターネット環境
    年齢に関係なく、ほとんどの情報をスマホから得る時代になってきていますので、ネット環境を整えるのは、もはや当たり前といえます。シニア世代以外はテレビを所有していないため、スマホで動画がたくさん見られる無料WIFIが設備としてついていれば、喜ばれます。
  • ウォシュレット
    ウォシュレット付きトイレは一般家庭でも普通に使われています。わざわざ買ってつけるのは面倒でも、最初から設備としてついていれば嬉しいと感じる物の一つです。
  • 食洗器
    ワンルームはキッチンも狭いので、ちょっと料理をしただけですぐにシンクがいっぱいになってしまいます。食洗器が最初からついていれば、簡単に水に流したあとで数回分の食器をまとめて洗えます。

    また、食洗器として使わずに食器棚として使う方もいます。これも、狭い室内に余計な物を置かないため、ワンルームを広く使えます。

  • ウォークインクローゼット
    1人分の容量のウォークインクローゼットがあればタンスなどの家具が不要になり、ワンルームを広く使えます。
  • 浴室乾燥
    単身者は昼間は仕事をしていますので、洗濯~乾かすまでの時間が取れるのは休みの日だけになってしまいます。浴室乾燥がついていれば、平日に洗って干しておくことができ、雨の日でも洗濯ができます。

    これが適わない場合は、近隣にコインランドリーがあるかを確認しておきましょう。

【コラム】今・必要なものを的確にアドバイスできる不動産選びのパートナー

時代が変わると住まい方も変わっていきます。一昔前までは、都心のワンルームマンションには20代くらいの独身が住むのが相場でしたが、今後は、幅広い年齢層が長期間使う場所に変化していきます。

一般的な都心のワンルームマンションは、コストを抑えて効率的に大量供給することを目的に作られてきましたので、万人受けする作りになっています。外観・内装・設備から、エントランスや共用部分までの全てが「ごく普通のデザイン」で作られています。

良い意味で言えばみんなに好かれますが、別の言い方をすれば、デザイン性が皆無でオシャレではありません。

従来のように、大学に通う4年だけ、就職してはじめのうちは………など、ある程度の期間を決めて住むならば、仮の住まいとしてあまり気にしないでいられますが、ずっと住むとなると、いろいろなことが気になってきます。

マンションの構造は変えられませんが、せめて自分が住む空間だけは、自分が好むデザインのものにして、住み心地の良い空間にしたいのは誰もが同じでしょう。

マンション経営の成功には、その部屋を「自分の部屋」として気に入り、可能な限り長く住み続けてくれる入居者が必要です。

しかし、従来のワンルームのつくり方は、このような感性には合致しておらず、入居者にとっての満足のいく都心ワンルームは意外と少ないのが現状です。

REISMであれば、住みたい人の感性に沿ったデザインを創り出すことができます。例えば、

  • パリのおしゃれなアパルトマンみたいな部屋で暮らしたい
  • 海外ドラマに出てきたNYの弁護士みたいなクールな生活がしたい
  • 家の中では、しっとりとした和の雰囲気に包まれたい

など、住まう人が「自分らしさ」を表現できるデザインにリノベーションするノウハウがあります。世界のライフスタイルを参考にした34種以上のリノベーション・パターンを持っていますので、流行や経年に左右されない、けど、とても新しい感覚の都心ワンルームを提供できます。

お気に入りの部屋は引っ越したくありませんので、長期間の入居が期待でき、マンション経営が成功しやすくなります。住む人が満足するからオーナーの満足度が上がる、というシンプルだけど、どこもやっていない「あたりまえ」ができるのがREISMなのです。

【参照:REISM

3-4.最低でも5年は運営を続ける

都心ワンルーム経営を始める場合は、最低でも5年は経営する前提で物件を選びましょう。

3-4-1.短期譲渡所得税が高い

譲渡所得は不動産を売却した場合に利益が出たら、以下のように不動産を所有していた期間によって課税されるものです。所有期間は、売却した年の1月1日の時点で何年所有していたかを判断し、5年以上が長期になります。

  所得税 住民税 合計
短期譲渡所得 30.63% 9% 39.63%
長期譲渡所得 15.315% 5% 20.315%

※2013~2037年までは、上記の他に復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課されます。
参照:国税庁 長期譲渡所得の税額の計算

マンション経営していた物件を5年以内に売却した場合の譲渡益には、短期譲渡所得として39.63%の課税がありますが、長期であれば約半分の課税で済みます。そのため、同じ売却をして収益が発生するのであれば、税額が低くなる長期(5年以上)の経営をしているほうが良いといえます。

3-4-2.マンション経営は入居が長い前提

マンション経営には、インカムゲインとキャピタルゲインがあるということはお分かりいただけたと思いますが、マンション経営の醍醐味は、入居者が長期の契約更新をして、家賃を支払い続けてくれるインカムゲインにこそあります。

空室が続く・更新がないなどでインカムゲインが安定しない場合は、物件のマイナス原因だと想定できる部分を補完してから再び賃貸に出して入居者が決まるのを待つしかありません。しかし、あまりにも空室や退去が続く場合には、物件の選び方そのものに問題があった可能性があります。

売却利益がないことが前提であれば、前項の譲渡所得による課税はありませんので、より入居者の付きやすい物件への買い替えも検討してみるべきでしょう。

3-5.会社選びを慎重に

マンション経営で、オーナーの業務を代行するのが管理会社、物件選びをサポートしてくれるのが不動産会社です。中には、両方をひとつの会社が受け持っていることもあります。この会社選びで、マンション経営の成否が分かれることもあります。

3-5-1.管理会社選びを慎重に

都心ワンルームでマンション経営する方の中には、不動産業界の仕組みなどを何も知らない状態でスタートするケースもあります。

オーナーは普段は公務員や会社員をしていますので、そもそも管理業務の基本がわかりません。このように、オーナーが不動産管理の実情に無知であることをいいことに、不当な費用を請求してくる会社も、中にはありますので注意が必要です。

例えば、鍵交換、水道蛇口等の交換、室内清掃代金、壁や床の張替え、通常の管理費など、管理内容にはそれぞれ業界相場というものがありますが、丸投げしていると管理会社の見積もり通りにお金を出すことになってしまいます。

また、管理会社の中には、管理内容がセットプランになっており、本来ならばワンルーム経営には必要ない項目まで含まれていることがあります。このようなプランに入っていると、賃料から管理料としてかなりの金額を引かれてしまいますので、手元にお金が残らなくなってしまいます。

管理会社の仕事はオーナーのサポートですので、ある程度はオーナーの采配で管理内容が選べる管理会社から選ぶようにしましょう。

良い管理会社がどこかわからない場合は、複数の先輩オーナーなどから話を聞き、良さそうなところであれば、紹介してもらうようにすれば、間違いがありません。また、会計年度の途中であっても管理会社の変更は自由にでき、違約金などもありません。

3-5-2.不動産会社選びを慎重に

マンション経営における不動産会社は、収益物件のリストを提供し、購入のために必要な情報を素早く正確に渡してくれる、心強いサポーターです。できれば、マンション経営の検討をし始めた段階からお付き合いをはじめ、マンション選びなどは一緒にやっていけるのが理想的です。

サポートの仕方も、不動産会社によってまちまちで、

  • 情報提供に徹してあまり働きかけはしないタイプ
  • 面倒見がよく、あらゆる相談に乗ってくれるタイプ
  • 一緒に考えていく伴走タイプ

など、会社によって個性があります。どれが正解ということはなく、ご自身の性格や、仕事状況、今必要としているサポートはどれなのか?で選ぶと良いでしょう。

ただし、どの不動産会社であっても、マンションオーナーとして経営が続く長期間、ずっとサポートをしてもらえる会社である必要があります。具体的には、

  • 経営困難な状態の会社
  • 後継者のいない会社
  • 2代目が職業替えをする可能性がある会社
  • 担当者の入れ替わりが激しい会社(業務が進まない)

は、提携する不動産会社の候補から外したほうが良いでしょう。

4.まとめ

マンション経営は10~30年と続く、息の長いビジネスです。オーナーにとっては、長い期間、仕事をしながらでも安心してお任せできる不動産会社・管理会社とのお付き合いが、ストレスのない経営と収益につながります。

都心ワンルームのマンション経営を検討している場合は、これからめまぐるしく変わっていく時代に合わせて、柔軟な対応策を多彩に持つ不動産会社とチームを組み、必要な管理を必要な分だけしてくれる管理会社と一緒に歩くことを前提に会社選びをしましょう。

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