市況

アフターコロナの不動産投資では、高いけれど駅近と安いけれど駅遠のどちらがいい?

「ウィズコロナ」という言葉が定着しつつあります。「緊急事態宣言」が解除され、百貨店などが営業を再開し、無観客ながらもプロ野球やJリーグも始まりました。

しかし、宣言解除後も東京都では連日感染者が出ており、全国的にも感染者数は増加傾向にあります。新型コロナウイルスは日本経済や社会に影響を与え続ける可能性が高く、それを受けて不動産市場は今後どのように変化していくのか、という点に注目が集まっています。

アフターコロナの不動産投資では、高いけれど駅近と安いけれど駅遠のどちらがいい?

アフターコロナでもテレワークは続くのか?

このような状況下の中で「今後もテレワークが続くかどうか」というのは、私たちの関心事のひとつではないでしょうか。ビジネスの中心地である東京では、オフィスや商業施設の需要に直結します。不動産投資家にとっては、新型コロナウイルスがもたらした影響の中で特に関心が高いテーマでしょう。

新型コロナウイルス対策として、政府や東京都は企業に対して在宅勤務を要請しました。総務省が補助金などの導入支援策を実施したことによって、多くの企業が現在も「テレワーク」に取り組んでいます。

もともと「働き方改革」を推進していた総務省は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と企業の事業継続の観点から、引き続きテレワーク導入支援を継続する方針であることを会見で明らかにしています。

しかし実際に導入した結果、これまでスムーズに行われてきた社員間のコミュニケーションが損なわれて、相談や依頼がしにくいという意見が一部で出ています。また、機密保持といったセキュリティーの課題や、テレワークにおける社員の評価方法といった労務的な課題も浮上しています。

テレワークにはメリットとデメリットがありますが、現時点ではその是非について結論を出せるだけのデータが集まっていないというのが実情です。

都心部の賃貸需要はどうなる?

日本生産性本部が5月22日に発表した「第1回 働く人の意識調査」では、「新型コロナウイルス収束後もテレワークを継続したいか」という設問に対して、62.7%の人たちが肯定的でした。一方で、「自宅での勤務で効率が上がったか」という設問に対しては、66.2%の人が「効率が下がった」と答えています。

テレワークの課題としては、「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」が最も多く、機密性の高い資料やデータをネット上で共有できるセキュリティー技術を保有し「テレワーク」でも業務効率が落ちないIT系企業などを除いては、そのメリットを100%享受できていないことが分かります。

今後もテレワークを継続することにより、オフィス賃料や従業員の通勤費といったコストを削減できることは企業にとって大きなメリットですが、こうした課題はまだまだ残されており、またテレワークだけでは業務が完結しない業種も一定数あることから、都心部の賃貸物件需要が一気になくなるということは考えにくいでしょう。

都心部の賃貸需要はどうなる?

コロナ禍でも人口が増加する街「東京」

東京都は6月11日、5月1日時点の推計で東京都の人口が初めて1,400万人を突破したことを発表しました。東京には企業や大学が集まっており、平均賃金も高いため、東京で就職や進学を希望する若年層の流入が増えていることが要因だと分析されています。

ここで注目したいのは、新型コロナウイルスの感染が拡大した4月だけで2万人も増えているという点です。新型コロナウイルスでさえも、人口の東京一極集中化に歯止めをかけられなかったということでしょう。

この期間は移動制限もあり、訪日外国人は減少していました。例年通りであれば、東京の人口はさらに増加していたことになります。東京に流入した人の多くが若年層であったことを考えると、通勤や通学に便利な「駅近」の賃貸物件の需要は、今後も増える可能性が高いと言えそうです。

こうした駅近物件の場合、少し高めの家賃設定にするのが一般的ですが、ただ「高い」という印象だけを与えてしまっては、入居率はなかなか上がりません。今後、都心部での不動産投資を考える際に大切になってくるのは、こうした若年層をはじめ物件を探している入居希望者に「駅近だけれど、そんなに高くない」と思ってもらえるかどうかでしょう。前述した通り、コロナ禍においても東京の人口は増え続けています。

賃貸経営で空室リスクを抑えるために最も重要なことは、人口が増加していて賃貸需要の旺盛なエリアで、利便性の高い優良物件を手に入れることです。これらを踏まえて考えると、価格の高い新築物件ではなく「比較的価格が安く、リノベーションによって新築に負けないぐらいの内装を備えられる中古物件」を選択することが不動産投資を成功させるポイントになりそうです。

3年以上勤めた会社員へ。
あわせて読みたいおすすめコラム