不動産投資

単身者向けとファミリー向け、それぞれの不動産投資の違い

不動産投資では、物件のタイプ、エリア、ターゲット層などでグループ分けを行い、購入物件を検討することがあります。その際に単身者を狙うか、それともファミリー(夫婦、もしくはその子どもも含めた居住者)を狙うかという分け方があります。

この両者の間には、物件に求める間取り、設備、立地などで大きな違いがあります。そのため不動産投資では、あらかじめ両者を分けて、どちらに向けた投資を重視するのかを決めておくべきだという考え方があります。そこで今回は、単身者向け物件とファミリー向け物件の具体的な特徴について、詳しく考えてみることにしましょう。

単身者向け物件とファミリー向け物件は何が違うのか

単身者向け不動産の特徴

まず、単身者は地方よりも東京などの首都圏に多く、その生活スタイルから、郊外よりも都心や市街地などの利便性の高い立地を重視する傾向があります。多くの若者が地方から東京に出てきています。単身者向けの不動産投資は、よほど明確な理由でもない限り、東京23区内の不動産を選ぶべきでしょう。

また、単身者の場合は広い部屋を必要としないケースが多く、1Rか1K、広くても1LDKの間取りを希望することがほとんどです。広さも30平方メートル以下で十分のようですし、設備に関しては部屋を留守にしがちなことから、宅配ボックスや、外干しせずに洗濯物を乾かすための浴室乾燥機が設置されている方が好まれます。また女性の単身者は、防犯面からオートロック機能をとても重要視しています。

単身者は学校への入学・卒業、就職・転職など生活環境の変化が多い傾向があります。また、ご家族で生活している人に比べ単身で生活している人の方が引越しに対する抵抗は金銭面、精神面ともに少ないでしょう。そのため単身者向けの物件は、入居者の入れ替わりが多くなりがちです。

逆にファミリー物件は一度、入居すると単身者より入居期間が長期になる傾向があります。単身者用物件は物件購入からある程度の期間が経ったとしても、一定の需要が見込めるように、内装のきれいな新築や管理がきちんと行き届いた物件、リノベーション物件を選ぶのがお勧めです。

単身者向け不動産の特徴

ファミリー向け不動産の特徴

ファミリー向けの物件では、駅からの近さよりも、子どもが通う学校までの距離や、病院までの距離などが重要視されています。また、都心部や市街地への交通アクセスだけでなく、子育て支援施設の充実度、公園など自然環境の豊かさ、治安の良さなども重視されるため、むしろ郊外エリアが適しており、人気も高くなる傾向にあるようです。

家族で暮らすのが前提ですから、少なくとも50平方メートル以上の広さは必要になるでしょう。間取りも3DKや3LDK以上が多く、使いやすいシステムキッチンや大きな収納があることや、高齢者がいる世帯の場合は、床暖房や浴室暖房なども重視されます。車を所有する可能性も高く、駐車場も必要になるでしょう。

ファミリー層は一度入居するとあまり退去しない傾向にあるので、単身者向けの物件よりも、回転率は低くなります。また安定した生活を送っている場合が多いので、家賃の未払いや近隣住民とのトラブルも少なく、賃借人としてはグレードが高い層だという言い方ができるかもしれません。

単身者向けとファミリー向けのどちらを選ぶべき?

日本では未婚化・晩婚化が進んでおり、現在は単身者世帯が最も多くなっています。その傾向は首都圏や東京で顕著であり、平成27年度の国勢調査によると、都内の約669万世帯のうち、半数近い約316万世帯が単身世帯となっています。

この傾向は今後も拡大していく可能性が高いため、東京では、単身者向け物件の需要が引き続き見込めます。ただし、一概に東京では単身者向け物件が良いというわけではありません。単身者向け需要の高いエリア、ファミリー向け需要の高いエリアを事前に把握し、エリアのニーズに即した物件を取得することが重要になります。

単位面積当たりの家賃相場では、ファミリー向けが不利になります。そのため、全室が満室稼働となる前提で、ファミリー向け物件と総額で家賃収入が同額になる単身者向け物件を比較すると、後者の利回りが高くなります。利回りを重視するなら、単身者向けということになるでしょう。

なお、ファミリー向け物件の場合、将来売却しようと思ったときに、投資ではなく住居として中古マンションを探している需要があるため、出口戦略が描きやすくなるという見方もできます。その点においては、ファミリー向け物件が有利かもしれません。

このように、単身者向け物件への投資とファミリー向け物件への投資には、どちらも一長一短があります。それぞれの特徴を十分に理解した上で、選択するようにしましょう。

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