リノベーション

こだわり派に「リノベ」が支持されている理由

住まいにこだわる人は、街に愛着を持つことも多いと言われます。都心回帰のブームが再び起きている今、築年数が古くても自分の好きな雰囲気やスタイルを求め、個性的なマンションに住む人が注目されています。

リフォームとは違う「リノベーション」マンションとは?

東京都杉並区高円寺は、南北1キロくらいの細い道に個人店が軒を連ねる商店街があり、ロックバーやライブハウスなどが多く、独特の雰囲気がある街です。古着や古本屋、中古家電の店も独特の店構えで、ここに住むAさんは古本が好きで引っ越してきました。

住む所にもこだわり、本を壁一面に並べた空間を作りたかったのですが、見て回った中古マンションでは満足できませんでした。そこで友人の建築家に相談したところ、リノベーションマンションがあることを知ったのです。

Aさんが選んだマンションは、すでにリノベーションが施された中古マンションです。Aさんは、本をとことん並べたいと考えていました。このマンションは壁面収納式となっていて、壁一面がオリジナルギャラリーのようでした。本棚と木床は木目が見えるライトブラウンでしつらえてあり、落ち着いた印象を与えます。既存の中古マンションでは、なかなかお目にかかれないコンセプトだと感じました。

リノベーションはリフォームとは違います。リフォームは、外壁の塗り直しやキッチンの設備変更、壁紙の張り替えなどをイメージすれば良いでしょう。基本的に、壊れていたり、老朽化したりしている部分を直す意味に使われることが多いのです。

新たな機能、付加価値をつける

一方のリノベーションは、すでにある建物に大幅な工事をすることで、建物や部屋そのものに新たな機能、付加価値を付けることを狙っています。とはいえ、明確な線引きは難しく、リノベーション会社によっては、工事の規模と住まいの機能の2つの点について、大胆なコンセプトを提案、新築時以上の性能をアピールしているところもあります。

リノベーションを望む入居希望者にとって、職場までのアクセスなどより重要なのが、「暮らし」そのものです。Aさんも、自分の持っている本を映画や美術、デザインといった好みの分類で書棚に並べ、日々の発想の刺激にしたいという望みがありました。そのためなら、まず本がある暮らしを実現してくれるマンションと街自体にもこだわるというわけです。

居住者のニーズはさまざまです。不動産流通経営協会が行った「若者世代の住替え意識調査」によると、住替え志向のある若者世代のうち、持家への住替え希望者は76.6%となっています。このうち住替え先として新築・中古に「こだわらない派」は31.1%、「中古派」は6.5%と、意外に中古住宅を志向していることが分かります。同協会では、「グレードの高い住宅性能を求めるよりも、自分のライフスタイルの実現に投資をしよう」と考えているのが中古派だと言います。そのため、「リノベーション住宅などが受け入れられる」と指摘しています。

個性的な部屋作りに

時代背景も関わってきます。テレビや雑誌などで多く取り上げられる「DIY(Do It Yourself)」。部屋の印象を変えるため、買ってきた雑貨やアクセサリーを飾るという初心者から、棚を自分で作ったり、壁紙を貼り替えたりするなどの中級者、さらにトイレを変えるなど設備に踏み込んだ本格派もいます。いずれも個性的な部屋作りをしたいとの理由があります。

しかし賃貸に関しては、原状復帰の原則があり、オーナーの合意も必要です。こうしたニーズには、リノベーションマンションが貢献しそうです。「DIY」ではどうしてもコストが気になり、失敗したら……とためらう人も少なくありません。

また自分の好みは分かっていても、それを具体的に部屋に反映させる手法は難しいものです。その点、コンセプトが明快なリノベーションマンションなら、ひと目見ただけで分かります。

Aさんが選んだリノベーションマンション会社では、住まいのコンセプトを重視していました。趣味を重視した部屋作りをしたり、クラシカルなのに新しい感覚のヘリンボーン床材を使ったフロアで部屋をまとめたものがあったりするなどユニークです。こうした空間と住む街とがマッチした部屋なら、自分のイメージをどんどん膨らませることができるでしょう。

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