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贈与税の配偶者控除、「平成28年度税制改正」でどうなる

「平成28年度税制改正」では、贈与税の配偶者控除の適用を受けるために必要な添付書類が変更されました。そこで今回は、変更内容と確実に控除を受けるための注意点について、考えてみましょう。

贈与税の配偶者控除の適用を受ける場合、添付書類が必要

贈与税については、相続税法で定められています。その中に、婚姻期間が20年以上に及ぶ夫婦間で、居住用不動産、または居住用不動産を取得するために金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除できるという特例があります。これが、贈与税の配偶者控除と呼ばれるものです。なお、同じ配偶者間では、一生に一度しか適用が受けられません。

国税庁の「夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」によると、この特例を受けるためには、以下の適用条件を満たす必要があります。

1. 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
2. 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること、または居住用不動産を取得するための金銭であること
3. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

これらの条件を満たしたうえで、贈与税の配偶者控除の適用を受けるためには、贈与税の申告の際に、いくつか規定の書類を添付する必要があります。

所有権移転を確認するための書類が必要に

「平成28年度税制改正」の前までは、申告の際に居住用不動産の「登記事項証明書」が必要でした。ただし、この贈与は夫婦間で行われるため、所有権の移転登記が行われていなかったり、移転登記をしていても、登記事項証明書は贈与者名義のままで提出されていたりと、贈与を受けた人が、本当に居住用不動産を取得したかどうかが、書類上では確認できないケースがありました。

そのため、「平成28年度税制改正」では申告時に必要な書類として、「居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの」と改められました。

具体的には、居住用不動産の所有権を移転登記した後の登記事項証明書や贈与契約書など、その居住用不動産を配偶者が取得した事実が分かる書類の添付が必要になったということです。

気をつけるべきポイント

贈与税の配偶者控除の適用を受けるために申告する際、贈与契約書を添付するのであれば、贈与対象が明確に分かるように、正確な所在地が記載されていること、贈与による移転引渡し日が明確に記載されていること、相互の合意のもとに、贈与が行われていることを証明するために、日付と署名を手書きで行ったうえで、押印することが望ましいです。

また、夫婦間での取引となるため、贈与の事実を主張するうえでも、公証人による確定日付の付与を受けておいた方がいいでしょう。

また、金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、上記の書類の他に、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)が必要となりますので、その点も注意してください。

相続税の節税対策として、生前贈与が注目されています。「平成28年度税制改正」のように、細かい変更が加えられていることもあります。難しい部分は税理士などの専門家と相談のうえ行うのが望ましいでしょう。

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