資産運用

超高齢化社会を生き抜くための資金計画とは?

日本社会は長期の経済停滞、少子高齢化など、さまざまな課題を抱えています。その一方で、WHO(世界保健機関)が2018年に発表した統計によると、日本国民は男女の平均寿命が世界一となっています。寿命が伸びれば伸びるほど、生涯に必要な生活費も金額は増えますが、その分、リスクに直面する機会も増えるのです。人生100年時代とも言われる今、「長生きのリスク」が金銭的な面で増加してきているとも言えるでしょう。だからこそ、人生の最期まで困らずに楽しく生活を続けるためには、綿密な資金計画が必要です。

各国で伸びる平均寿命と老後資金の問題

厚生労働省が2018年夏、2017年の日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳になったと発表しました。この数値は男性が世界で第3位、女性が第2位であり、世界でも有数の長寿国になりました。いずれも過去最高であり、今後、医療技術の進歩によって、がんや心疾患、脳血管疾患などの死亡要因の多くを占める疾患の予防・治療の効果が上がれば、さらに寿命が伸びるでしょう。

しかし、寿命が伸びた場合、当然生涯の生活費は余計にかかることになります。高齢になっても働くのか、資産を運用するのか、それとも年金を含んだ公的扶助なのか、何かしらの方法で、収入を得る必要があります。生命保険文化センターが発表した平成28年度の生活保障に関する調査結果によれば、男女ペアの無職シニア世帯の生活には、最低でも月額22万円が必要とされ、ゆとりのある生活を望むのであれば、月額34万8.000円必要とされています。寿命が伸びた分だけ、この資金をどう確保するかが問題になるのです。寿命の伸長と高齢者の老後資金の問題は多くの先進国が抱えており、これは世界的な問題とも言えます。

年金は本当にもらえるのか、もらえるとすればいくらなのか?

多くの人にとって老後の生活費は、年金を基本に考えることになります。ともすると、本当に年金はもらえるのか、もらえるとしてもいくらになるのかという点が大事になってきます。

そもそも日本の年金制度は、20歳以上の国内居住者全員が加入する国民年金(基礎年金)と、会社などに勤務する人が加入する厚生年金の「2階建て」を基本としています。そして、国民年金は掛け金も受給額も定まっており、現在は月額1万6,340円を負担し、65歳から月額約6万5,000円を受け取る制度となっています。一方、厚生年金は雇用主が半額負担しますが、月額給与の18.3%を定率で負担し、掛け金に応じた金額を65歳から受給します。その平均は15万前後と言われており、個人事業主など国民年金のみの人の受給額は月額5万6,000円、厚生年金加入者は月額が合計14万7,000円です。

この年金制度が、そもそも破綻するのか否かということですが、年金制度は、それ自体の掛け金のほかに、国からの税金でも支えられており、超大規模自然災害や戦争級の異常事態が生じて、日本そのものが滅ぶということにでもならない限り、完全に破綻する可能性は低いでしょう。しかし、すでに年金の受給開始年齢は60歳から65歳に引き上げられており、今後もそういった受給開始年齢の引き上げや、受給額の減少などが起きないとは限りません。むしろ、景気が今よりも冷え込んだり、少子高齢化がさらに進んだりした場合は、そうなる可能性は高くなります。

副業収入や投資による収入を得ていくことが大切

厚生年金加入者の方の場合、年金受給額は本人が14万7,000円であり、専業主婦などの配偶者がいれば、その方は5万6,000円を受給できるので、世帯収入は20万3,000円となります。この場合、ある程度の生活は営めると思いますが、余裕のある生活とは言えません。夫婦共働きの場合は、月額29万4,000円の受給になりますが、現在の水準の受給額が、今後も維持されるとは限りません。

いずれにしても、年金は期待しつつ、余裕のある老後生活を営もうと思えば、副業や投資などによって、収入を得ることが大切になるでしょう。その点から不動産投資は、とても優れた方法と言えます。ローンを組んで不動産を購入した場合、返済があるため、当初はそれほど多くの収入を得られませんが、ローン返済後は経費など差し引いた残りの家賃が、そのまま手元に入ります。管理や入居者との交渉ごとなども管理会社に一任できるため、代表的な不労所得と言える不動産投資は、長期化する老後生活の資金不足を補うための選択肢のひとつになるでしょう。

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