資産運用

資産形成するなら、自宅よりも投資用物件を先に買おう

不動産投資を始めるにしても、自分が住む住宅を購入するにしても、普通、ある程度の頭金を貯めなければならないため、購入する年齢は、ほぼ一致する傾向にあります。それでは、不動産投資を考えている人は、収益物件を先に買うべきなのでしょうか、それとも自宅を先に買うべきなのでしょうか。考えてみましょう。

自宅を先に買った場合

住宅ローンで借りられる金額は、年収の7〜8倍程度といわれています。実際には、もう少し多く借りることができる場合もあります。

住宅ローンを抱えていると、不動産投資用ローンを借りるときに間違いなく影響します。属性や条件で異なりますが、不動産投資用ローンは年収の5倍程度とされています。金融機関はローンの残債がある間は、自宅を負債とみなしますので、残債が年収の5倍を超えるローンを抱えていると、融資に難色を示すことが多いのです。

例えば、年収500万円の人が2,000万円の住宅ローンを組んで、残債がまるまる残っている場合、不動産投資用ローンで貸してくれるのは500万円というわけです。投資用ワンルームマンションを購入するにしても、1,000万円はかかるでしょうから、残りの500万円は自己資金を用意しなければなりません。なお、投資用ローンに影響するのは住宅ローンだけではありません。マイカーや教育ローンも含まれているので注意が必要です。

投資用物件を先に買った場合

先述したケースとは逆の場合を考えてみます。先に1,000万円のローンを組んで投資用物件を買った後、自宅を購入しました。金利3.6%、35年で返済すると、月の返済額は約4万2,000円になります。そうなると、年収500万円の人は、住宅ローン(金利1.2%、返済期間35年)で3,999万円まで借りられる計算になります。

自宅こそ賃貸でいい

非常に単純な試算ですが、同じ年収の人でも、住宅を先にするのか、投資用物件を先にするのかで買いやすさが変わることがわかります。さらにいえば、「借りられること」と、「返済できること」は同じではありません。もし、なんらかの理由で資金繰りに困ったとき、自宅の住宅ローンまで滞納すると最悪の場合は自宅を手放さなくてはなりません。競売になり、売却した額が残債を下回れば、返済義務だけ残ります。

価値観は人それぞれなので一概には言えませんが、住む家は賃貸住宅で十分なのかもしれません。家賃が負担になれば、さらに安いところに住み替えればいいのです。ローンを滞納して事故歴が残ることもありません。また、不動産投資を拡大して、2部屋、3部屋と増やしていくつもりなら、それ以外でローンを組まないほうがいいことは明らかでしょう。自分が住まない家を購入して、自分が住む家を借りることに違和感を持たれるかもしれません。しかし、そちらのほうが、経済合理性が高いと考えられます。

以前は、「自分の持ち家を持って初めて一人前」という考え方もありました。しかし、それも過去のものになりつつあります。職住近接や、モノを持たない暮らしを好む人も増えています。ライフステージで住まいを変えられる賃貸は身軽でいいという人たちも増えてきているのです。

今回は不動産投資を始めるにあたり、「先に買うのは投資用物件がいいのか、自宅がいいのか」を考えてみました。投資の観点からすると、経済合理性が高いのは「投資用物件を先に買う」ということになります。そして、自分が住む自宅は無理に持ち家にせず、賃貸物件でいいのではないかという提案もしてみました。もちろん、住まいに対する考え方は、人それぞれですが、ぜひ一度検討していただければと思います。

3年以上勤めた会社員へ。
あわせて読みたいおすすめコラム