不動産投資

ローンは金利か返済期間のどちらで考えるべきか?

不動産投資では、ほとんどの人がローンを利用します。ローンは利息を含めて返済しなければならず、金利が高いと返済総額は増えてしまうため、どうしても金利は気になってしまいます。しかし、総返済額は金利だけでなく返済期間にも左右されます。それでは、サラリーマン大家が賃貸経営を続ける上で、金利の高低と返済期間の長短では、どちらを優先するべきなのでしょうか。

キャッシュフローがないと不動産は維持できない

賃貸経営にはリスクがつきものです。空室が増えれば、収入が減ってローンの返済に困ります。また、老朽化とともにリフォームが必要になったり、保険がカバーしない事故が起きたりすることもあります。そういう事態が立て続けに起きると、自己資金からの持ち出しが増えて賃貸経営の継続が困難になり、大家さんの人生に大きな影響を及ぼすかもしれません。

そうならないためにも、毎月の出費を少なくすることでキャッシュフローを安定的に積み上げていくことが大切になります。出ていくお金の中で、最も大きいのがローンの返済です。月々の返済額を抑えるために、金利と返済期間のどちらを優先するべきかが問題となります。

不動産投資ローンは利率で返済総額が大きく変わる

中古、新築、区分所有、一棟買い、ワンルーム、ファミリータイプなど、購入する不動産によって必要となる資金は大きく異なります。最低でも1,000万円、一棟ともなれば1億円程度のローンを組むことになるでしょう。

仮に30年の返済期間でローンを組み、金利が1.5%、2.5%とします。元利均等返済、固定金利で、7,000万円を借り入れた場合、それぞれの総返済額を単純計算してみると、金利1.5%が8,697万円、2.5%が9,957万円となり、最終的に1,200万円以上の差が出ます。毎月の返済額は24.1万円と27.6万円で、その差は3.5万円です。当たり前のことですが、ローンは少しでも低い金利でという気持ちになります。

数字で分かる返済期間の重要性

先ほどの例は、返済期間を30年にしていました。それでは返済期間を25年にしてみましょう。総返済額は金利1.5%が8,398万円、2.5%が9,420万円で、その差は1,000万円程度です。毎月の返済額は28.0万円と31.4万円で、差は3.4万円です。

金利と返済期間の違いがわかりやすくなるように、表にまとめてみました。金利が1%変わるのと、返済期間が5年変わるのでは、返済期間のほうが差額は大きくなります。また、金利1.5%・返済期間25年と、金利2.5%・返済期間30年を比較すると、金利が高くても返済期間が長いほうが、毎月の返済額は低くなります。

毎月の返済額
返済期間25年 返済期間30年 差額
金利1.5% 28.0万円 24.1万円 3.9万円
金利2.5% 31.4万円 27.6万円 3.8万円
差額 3.4万円 3.5万円

つまり、キャッシュフローを残すためには、返済期間を長くするのが効果的であるというわけです。

中古物件は法定耐用年数が長いRC造を

建物は構造により法定耐用年数が定められています。金融機関で基準に多少の違いはありますが、融資が法定耐用年数(中古物件は築年数を差し引いた残存年数)以上の期間になるのを嫌うのが一般的です。言い換えると、長い融資期間を設定するためには、法定耐用年数(残存年数)が長い物件を選ぶ必要があるということです。木造の耐用年数は22年でRC造は47年なので、中古物件を購入する場合はRC造のほうが、長い返済期間のローンを組めることになります。

不動産投資で大切なことは、毎月のキャッシュフローを確保して、少しずつでも構わないので、長期の積立を行っておくことです。資産価値を維持するための修繕や、想定外のリスクなどに対応するためにも資金が必要です。サラリーマンとして稼いだ給与所得に手をつけては意味がありません。ローンは単に返済総額で判断するのではなく、キャッシュフローが回るように借りることがポイントです。金利よりも返済期間の長さを重視してローンを選ぶようにしましょう。

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