不動産投資(管理)

家主向けの保険について知っておこう

収益物件が燃えてしまったり、水漏れ被害にあったりしたときに備えて、保険に入るのは当たり前のことです。保険の種類は火災保険、家財保険、地震保険などさまざまありますが、その違いについて理解されているでしょうか。災害などのリスクに備える保険の中身について理解を深めておきましょう。

火災保険と家財保険は同じなの?

火災保険は、主に失火をはじめ、落雷や漏電などによる火災に対応しています。このほか、台風や突風による損壊、洪水による浸水など、自然災害にあったときに建物自体と建物の中にある家具や日常使用する道具、器物などの家財を補償します。また、盗難や偶然の事故による損害も対象です。火災保険も細分化されていて、補償対象が「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」のパターンがあります。この「家財のみ」を補償する火災保険が、「家財保険」です。

賃貸契約時に入居者が加入をすすめられるのは賃貸入居者専用の火災保険です。その火災保険は、建物の補償は対象外で契約する人の家財や、オーナーに対して賠償責任が発生した損害について補償する保険となっています。そのため、オーナーは建物が被害にあったときに補償する火災保険に入る必要があるのです。この保険も補償の内容をよく吟味しましょう。保険会社や管理会社に任せきりにしてしまうと、必要性の乏しい補償が入っていて、肝心の補償が入っていないようなことが起こりかねません。

火災保険と地震保険の違い

火災保険と地震保険は異なります。火災保険は地震による被害を補償しません。以前は、そのことがほとんど認識されていない状態でした。1995年の阪神淡路大震災では、家屋全損の理由が火災ではなく地震と判断されて補償されないこともあったのです。また、補償が不十分で被災者の生活再建補助にあまり役立たなかったという一面もあります。そのため、改めて保険に注目が集まり、それをきっかけに、地震保険は内容が改定されて加入率が高まっていきました。

2011年の東日本大震災では津波が発生しましたが、津波による火災や損壊や流出も、火災保険では補償されませんでした。このほか、火山の噴火による被害も、火災保険は対象外で地震保険がカバーします。また、地震が原因で起きた火災による延焼に巻き込まれた場合も、火災保険は対応しません。万が一に備えるには、地震保険に加入しておくべきでしょう。

水漏れがいちばん多いトラブル

賃貸住宅で最も多いトラブルは水漏れによるものです。その水漏れの原因がどこにあるかで、どの保険を使うのかが変わります。また、補償の対象と思い込んでいたものが、実は対象外だったということもあるので注意しましょう。まず、蛇口の閉め忘れなど入居者の過失による水漏れは、損害を与えた相手への補償や生じたリフォームなどの費用は、入居者の火災保険で対応してもらうことになります。

しかし、屋根の雨どいにゴミが詰まり、水があふれたようなケースだとオーナーの責任になるので、オーナーの火災保険で対応することになります。もし、水漏れがよく起きているのなら、オーナーが事前に被害を防がなかったという別の責任になるのです。被害が起きて修繕に乗り出しても、建物の劣化は補償の対象外なので、そうなる前にきちんと手を打っておきましょう。

また、水漏れがリフォームなどを行った業者の過失によることもあります。そのときは業者に責任を取ってもらえばいいのですが、金額の折り合いがつかない場合もあるので注意が必要です。

入居者が死亡するケース

最近、賃貸住宅内で入居者が死亡した場合の家賃の損失や費用を補償する保険が大手損保会社から相次いで発売されていることをご存じでしょうか。高齢化社会を反映した金融商品で、家主の経済的なリスクを補う保険として注目されています。

特に増えている孤独死のほか、自殺や事件による死亡も対象としています。室内でこうしたことがあると「事故物件」となってしまうリスクがあるのです。次の入居者がなかなか決まらないことが多いうえ、部屋の原状回復に多額の費用がかかってしまい、オーナーにとって大きな損失となるケースが増えています。

保険では、空室期間だけでなく、値引きした期間の家賃損失も補償するほか、原状回復費用も対象にしています。保険の中にはエアコンや照明の付け替え、壁紙や床材の張り替えなどの費用も補償してくれるものもあります。こうした問題に対しても、保険が役に立つのです。

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