不動産投資

不動産投資が「割に合わない」「やめとけ」と言われる理由は?失敗例から学ぶ成功へのカギ

ネット上の記事や動画などで、不動産投資について「割に合わない」「やめとけ」といった否定的な論調を見聞きしたことはないでしょうか。このような情報は、玉石混交で真偽や事実関係があいまいなものも多いですが、これから不動産投資を始めたいと考えている人がこうした否定的な論調に接すると不安に感じてしまうことでしょう。

本記事では、不動産投資が「割に合わない」「やめとけ」といわれる理由や典型的な失敗パターンを考察し、失敗しなければ得られる多くのメリットについても解説します。

不動産投資が「割に合わない」「やめとけ」と言われる理由は?失敗例から学ぶ成功へのカギ

1.不動産投資が「割に合わない」「やめとけ」と言われる理由

不動産投資について「割に合わない」「やめとけ」と論じる否定的な意見の根拠や理由を、ここでは5つの項目に整理しました。おおむねどのネガティブ情報も、この5項目が根拠となっています。

1-1.失敗すると多額の負債を抱える

不動産投資ではアパートやマンションといった収益物件を購入することになりますが、これらはポケットマネーで買えるようなものではなく、少なくとも数千万円規模の資金を投じることになります。融資を利用して購入した場合は、数千万円の借金をすることもあるでしょう。

そんな状況で始めた不動産投資が失敗に終わってしまうと、最悪の場合は多額の負債だけが残る事態も考えられます。

1-2.空室リスクが常につきまとう

不動産投資は入居者からの家賃収入が主な収入源です。そのため、所有している物件が空室になると家賃収入はゼロになってしまいます。総務省統計局が発表した「住宅・土地統計調査結果」の平成30年版によると、日本全国に空き家は約848万戸も存在し(空き家率は約13%)、過去最高とのことです。

空き家のうち賃貸住宅が約432万戸を占めている事実を考えると、空室リスクが他人事ではないことがおわかりいただけると思います。空室リスクは不動産投資の大敵といわれているのも、このように決して無視できない規模になっているからです。

1-3.すぐに利益を出しにくい

不動産投資は長期的な視点で取り組み、トータル収支をプラスにすることが成功の定義です。物件を購入した直後はローンの返済によって利益を出しにくい、もしくは赤字になる場合もあるため、すぐに利益を出しにくいことも「割に合わない」といわれる一因です。

1-4.管理コストや税金が発生する

所有物件を維持するための管理コストや税金はいずれも、物件オーナーが負担するべきものです。不動産投資以外の投資ではあまり考慮しなくてもよいコストだけに、不動産投資は「割に合わない」と感じてしまう人もいます。

1-5.災害や入居者トラブルなど予測できないリスクも

台風や地震、火災などによって所有物件が重大なダメージを受けてしまうのは、現物資産ならではのリスクです。また、入居者がいたとしても滞納によって家賃収入が途絶えてしまったり、問題のある入居者によってトラブルが起きてしまったりするリスクもあります。こうしたリスクも不動産投資特有のものなので、やはり「割に合わない」と感じる理由となるでしょう。

2.不動産投資に向いていない人の特徴

ここまで、不動産投資が割に合わないといわれる理由にスポットを当ててきましたが、こうした否定的な意見がすべての人に該当するわけではありません。特に不動産投資の場合は、そもそも向いていない人がいるので、失敗を避けるためにも不動産投資をやめておくべき人物像についても解説しましょう。

2-1.年収や自己資金が少なめの人

不動産投資では収益物件を購入するために融資を利用するケースが大半です。そのためには銀行などの金融機関から融資を引く必要があるわけですが、これには審査があります。

年収や自己資金の多寡が審査で重視されるため、年収が低い、自己資金が少ないといった属性の人は審査に通りにくいので不動産投資に不向きといえます。仮に融資を引けたとしても融資額や金利などの条件が不利になる可能性が高く、収益性を十分に高められず失敗につながる恐れがあります。

2-2.短期間で稼ぎたい人

短期的な利益を求める人も、不動産投資には不向きです。先ほども述べたように不動産投資は長期的な視野で取り組むものであり、物件の購入直後は収支が赤字になることもあります。しかし長期的に続けていくことで収支が改善し、資産形成が進むといった効果が期待できます。

かつてあった不動産バブルの時代には「土地転がし」という言葉があり、不動産の短期売買で利益を上げるビジネスモデルが存在していました。それが今では通用しないことについては、言うまでもないでしょう。

2-3.他人任せで騙されやすい人

いかなる場合であっても投資の判断は自分で行い、決断するのが基本です。そうでなければ巷にあふれかえっている怪しげな投資話に騙されるリスクが高くなりますし、そもそも自分で考えることをしなければ仮に失敗したとしても自分の教訓にすることができません。

不動産投資の世界にも、投資価値の低い物件を提案してくるような不動産会社は存在します。そんな物件を掴まされてしまうと最初から失敗が確定しているようなものなので、他人任せにする人、自分で判断しようとしない人は不動産投資に向いていないと言わざるを得ません。

3.不動産投資における失敗とは

不動産投資では、物件を購入するために多額の資金が必要になるため、自己資金以外にも金融機関でローンを組んで資金を調達するのが一般的です。

その後は、月々の家賃収入をローンの返済に充てることで運用していくことになりますが、どのような状態に陥ると不動産投資で失敗したことになるのでしょうか。ここでは、不動産投資における失敗の定義について押さえておきたい2つの知識を解説します。

3-1.最終的に赤字になること

不動産投資を始めてから終了するまでの一連の流れを終えて、最終的な収支がマイナス、つまり赤字になってしまった場合は不動産投資の失敗となります。その不動産投資をしなければ損失は発生しなかったわけで、思惑に反して損失を出してしまったのですから、失敗と見なすほかないでしょう。

3-2.運用中に赤字でも失敗にはならない

最終的な赤字が不動産投資失敗の定義であると述べました。この「最終的な赤字」というのがとても重要で、不動産投資の成否は物件を売却するなど何らかの形で運用を終了するまで確定しません。

多くの場合、不動産投資では最初の物件購入の時点から金融機関の融資を利用します。物件価格に対して1割から2割程度の自己資金があれば、残りは融資で調達することが可能だからです。

仮に2割の自己資金と8割の融資で収益物件を購入したとすると、この時点で8割部分は借金です。収支だけを見るとこの時点で赤字になっており、その後も家賃収入の総額と借入金が逆転する(つまり黒字化する)までには一定の年数を要します。

それではこの黒字化までの期間は赤字なので不動産投資は失敗なのかというと、そんなことはありません。融資を利用するのは多くの不動産投資で前提となっていることであり、担保がある状態で借り入れをするのですから単なる借金とは性質が異なります。

先ほど「最終的な赤字」を失敗と見なすと述べたとおり、運用中に赤字になることがあってもそれが想定された赤字であれば、失敗とは見なされません

4.不動産投資でよくある失敗事例

これまでに多くの不動産投資家が取り組んできた不動産投資において、ありがちな失敗事例を5つ紹介します。これらはよくある失敗例なので、これから不動産投資を始める方は同じ轍を踏まないためにも参考にしてください。

4-1.不動産会社のセールストークを鵜呑みにして失敗

先ほども述べたように、「自分で学んで、自分で判断する」というのは、不動産投資に限らず投資の基本です。他人任せにしたり、他人の意見や勧めを鵜呑みにしてしまうのはとても危険です。

不動産投資のための収益物件を取り扱う不動産会社にとって、最も「オイシイ顧客」はこれから不動産投資を始めようとしている新米投資家です。理由は簡単で、まだ目利きがなく投資価値の低い物件であってもセールストーク次第では買ってくれるかもしれないからです。

不動産会社の良し悪しに関わらず、営業マンはセールスのプロです。売りたい物件について「この物件を買えば将来安泰」と訴求し、聞き手をその気にさせることに長けています。そんなセールストークを鵜呑みにしてしまうと、購入後に「こんなはずではなかった」となってしまう可能性は極めて高いでしょう。

優良とはいえないような不動産会社にとってその物件は「投資家のためになる物件」ではなく、「売りたい物件」に過ぎなかったのです。

4-2.「新築プレミアム価格」を考慮せずに失敗

新築マンションと中古マンションとでは、価格の決まり方が異なります。中古マンションは需給のバランスで決まるため、常に市場価格です。これに対して新築マンションはまだ市場で流通していないため、販売者が新築でマンションを建築し、販売するのに要した費用に利益分も乗せた上で価格が決められます。

しかし中古マンション市場ではこうした販売者の事情は考慮されないため、たとえ新築間もないマンションであっても一旦誰かが購入した上で中古市場に流通すると市場価格となり、新築時の価格ではなくなります。通常、新築価格よりも1割から3割程度安くなると言われており、この価格差のことを「新築プレミアム」といいます。

新築マンションにはこの上乗せ分があるため、どうしても購入費用が高くなってしまいます。仕入れ価格をいかに安く抑えるかは不動産投資の成否に直結するため、その意味で「新築プレミアム」が足を引っ張ることがあります。

新築マンションは集客力が高く、築年数が浅いうちは入居者探しに困ることはあまりないでしょう。しかし築3年、築5年と時間が経過するごとに徐々に新築の優位性は薄れてしまいます。それなら最初から中古マンションを安く購入し、古くなっている部分を含めてリノベーションをして価値を再生するほうがコストパフォーマンスは高くなり、成功する確率も上がります。

この中古マンションのリノベーション投資については、後述します。

4-3.利回りだけを見て郊外物件を購入し失敗

不動産投資の利回りは、年間の家賃収入を物件購入価格で割って求めます。この計算式で利回りを高くしようと思うと、家賃収入を増やすか、物件価格を安く抑えるか、もしくはその両方が必要になります。

家賃をオーナーの都合で一方的に引き上げると入居者が付かなくなるため、それなら物件の購入価格を引き下げたいとの心理が働きます。都心の物件は高く郊外の物件は安いというのが不動産相場なので、利回りを高くしたいあまりに郊外のあまり人気がないような物件を購入してしまうと、安く購入することはできても不人気であるがゆえに空室に悩まされることになります。

収益物件を安く購入することは利回り向上に有効ですが、入居者から支持される物件であることを大前提に選ぶことが重要です。

4-4節税目的で不動産投資を始めて失敗

不動産会社のセールストークに、「節税になる」というものがあります。収益が赤字になりそうな物件であっても、その赤字分を本業収入と差し引きすることで課税所得を減らし、節税になるというロジックです。なお、このように複数の収益を差し引きすることを損益通算といいます。

不動産投資に伴う必要経費も損益通算の対象になるため、節税になること自体は間違いではありません。しかし、節税目的で不動産投資を始めることがメリットになるのは、主に自営業などで年収額が大きく節税の必要がある人です。

サラリーマン大家と呼ばれるような兼業投資家の場合、節税メリットはそれほど大きくなく、逆に不動産投資の赤字収支のほうが負担になってしまいます。

4-5.物件購入後の不動産会社のサポートが不十分で失敗

新米投資家にとって、収益物件の管理や運用は未知の領域です。独自のノウハウが求められる世界だけに、プロのサポートが不可欠です。

優良な不動産会社であれば物件の購入後も十分なサポートが期待できるため大きな失敗をする可能性は低いのですが、「売ったらそれまで」という不動産会社から購入してしまうと購入後に大きなリスクを抱えることになります。購入後のサポート体制が十分であるかどうかの確認も、不動産会社選びで重要なポイントになります。

5.不動産投資にはメリットも多数ある

不動産投資は割に合わないという視点から解説を始め、よくある失敗パターンについても言及してきました。これだけを見ると、やはり不動産投資は割に合わない、失敗して損をするのがオチだと考えてしまう人は多いかもしれません。

しかしこれらの失敗リスクはいずれも克服する方法が確立されており、適切にリスクを管理すればむしろメリットのほうがはるかに多いのが不動産投資です。

ここでは不動産投資で得られるメリットを5つの項目で解説します。これらのメリットがすべて現実になれば、不動産投資が割に合わないとは思えないはずです。

5-1.他人資本で安定的な収入が見込める

株やFXなど、ほかの投資と不動産投資が大きく異なるのは、金融機関の融資を利用できることです。1割から2割程度の自己資金があれば残りの資金は融資で調達できるので、大部分は他人資本です

大部分が他人資本だからといって家賃収入が少なくなるわけではなく、不動産投資で得られる利益はすべて投資家のものです。そして家賃収入を融資の返済に充当すれば、やがてその物件は自分のものになります。他人資本で購入した物件の融資返済も他人資本である家賃収入で済ませ、収益物件は自分のものになるのですから、この仕組みをうまく利用すれば資産形成効果は絶大です。

5-2.生命保険代わりになる

不動産投資のために融資を利用する際は、団信(団体信用生命保険)という保険に加入するのが一般的です。融資を受けた人に万が一のことがあって返済不能になった場合、この保険で残債が完済される仕組みです。

つまり、この団信があれば万が一の事態になったとしてもローンが完済され、以後の返済義務はなくなります。高度障害の場合は本人に、亡くなった場合は遺族に収益物件が残ることになり、これを不動産投資の生命保険効果といいます。

融資を利用して不動産投資を始めた場合は別途生命保険に加入する必要がなくなるため、保険料の節約にもなります。

5-3.本業に支障をきたさない

不動産投資ではさまざまな業務が発生しますが、そのほとんどは専門の業者への外注が可能です。投資家がすることは物件選びや資金の調達、売却の判断や手続きなどです。日々の物件管理や入居者への対応、家賃の回収などはすべて外注できるため、サラリーマンなど別の本業がある人であっても本業への影響は軽微です。

副業が禁止されている公務員であっても「5棟10室」までであれば不動産投資が認められているのは、本業への影響をあまり考慮する必要がないからです。

5-4.インフレ対策になる

すでに多くのマスコミ報道などでご存じの方は多いと思いますが、日本では今後インフレが進行するといわれています。インフレが進行すると貨幣の価値が相対的に低くなるため、それに代わってモノの価値が高くなります。不動産は現物資産なので、貨幣の価値が下がると相対的に不動産の価値が上昇する可能性が高いでしょう。

現金だけで資産を持っていると、インフレが進行した際に実質的な価値が目減りしてしまいます。現金だけでなく資産の一部を現物資産である不動産にしておくことはインフレ対策として有効です。

5-5.節税効果も期待できる

不動産投資には節税効果があるといわれていますが、その理由は2つあります。

1つめは、減価償却費です。マンションなどの建物は償却資産なので、劣化が進むことを想定して年々価値が下がっていくと解釈されています。その価値の低下分は損金として処理でき、これを減価償却費といいます。実際にキャッシュが出ているわけではない会計上の経費なので、不動産を所有すると減価償却費の計上による節税が期待できます。

もう1つは、相続税対策です。遺産を現金で相続すると保有している金額がそのまま評価額になりますが、土地や建物の場合は評価額が低くなります。つまり現金で持っているよりも不動産のほうが相続税の節約になるというわけです。しかも賃貸に供している不動産は借主の権利が保証されている分だけさらに評価額が低くなるので、より高い相続税の節税効果が期待できます。

6.「割に合わない」と言われる不動産投資のメリットを最大化するために

不動産投資にはさまざまなメリットがありますが、これらのメリットを最大化するテクニックとして、中古マンションを購入しリノベーションをする方法が挙げられます。その際、市場が求めている物件を選ぶことが重要です。

1つめのポイントは、都心もしくは都心からのアクセスが良好な物件であることです。賃貸マンションに入居する人は利便性や交通アクセスで物件を選ぶケースが多いため、こうしたニーズに応えられる立地条件のマンションは入居者が付きやすく、失敗しにくいといえます。

もう1つのポイントは、ワンルームマンションであることです。東京など大都市圏では単身世帯が増加しています。単身世帯が求める住居の筆頭格はワンルームマンションなので、マンション選びにおいて考慮したい事実です。

これらを踏まえると「都心」「中古」「ワンルーム」「リノベーション」の4つが不動産投資のメリットを最大化するキーワードとなります。

7.不動産投資で成功するための基本をまずは押さえよう

不動産投資を始める人の中で、最初から失敗したいと思う人はいません。しかしながら実際には失敗してしまう人がいるのは、当記事で解説したような「ありがちな失敗」のパターンにはまってしまったか、成功するための基本を踏まえていなかったことが原因と思われます。

それゆえに不動産投資は「割に合わない」と感じる人が多いわけですが、ありがちな失敗リスクはいずれも回避できるものであり、適切にリスクを管理すればむしろ不動産投資はメリットのほうが多いのです。失敗しなければ成功できる可能性は極めて高いので、当記事で解説した基本や失敗事例をしっかりと理解し、万全の体勢で臨みましょう。

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3年以上勤めた会社員へ。
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