資産運用

資産運用を始めるなら、固定費から見直そう!

社会が成熟した先進国では、基本的にどの国でも、少子高齢化に悩まされています。なかでも日本は、ほかの先進国と比較して、非常に早いペースで少子高齢化が進んでおり、社会制度や年金システムの維持が不安視されています。

年金があてにできない世代は、老後資金を自分自身で用意するしかありません。しかし、若い世代を中心に、資産運用の原資もないという人が大勢いるというのが現状です。今回は、そうした方々に役立つ、資産運用の原資を貯める節約生活について考えます。

高齢化と年金不安

現在、日本では非常に早いペースで少子高齢化が進んでいます。その原因は、先進国のなかでも極めて出生率が低く、かつ平均寿命が高いことです。例えば、2015年のフランスとスウェーデンの出生率は、1.92と1.85でした。しかし、同じ年の日本の出生率は1.45で、両国よりも低い水準にあります。その一方で2015年の日本の平均寿命は83.84歳でした。これは香港の84.28歳に次いで第2位です。こうしたことから、日本の少子高齢化は急速に進んでいます。

そうしたなか、受給年齢に達していない世代から、年金制度に対する不安の声が高まってきました。日本の年金制度、特に公的年金制度は、過去の積立分を受け取る積立方式ではなく、現役世代が支払った保険料を高齢者の年金給付に充てる賦課方式が採用されています。そのため、年金を支払う現役世代が減少すれば、制度の維持は難しくなってしまいます。また、近年、実際に年金の支給年齢は引き上げられており、自分たちは年金がもらえないのではないかという不安を高める大きな要因となっています。

日本FP協会がインターネットを通じて行った「老後とお金に関する調査」の結果によれば、実に8割もの方が「老後の生活資金が不安」があると回答しています。

お金を貯められない人たち

そうしたことから、自らお金を貯め、それを殖やす資産運用の重要性が高まってきます。しかし、ここで課題となるのが、そもそも資産運用の原資となる貯金ができない人たちの存在です。

2017年に総務省が発表した「家計調査報告」では、各世帯の平均貯蓄高は1,820万円でした。しかし、この数字は高齢者や一部の資産家が、平均値を引き上げている結果であり、一般的な日本人の貯蓄は、これよりもかなり低いと考えなければなりません。

例えば、同調査における20代世帯の平均貯蓄額は184万円、30代は395万円、40代で588万円です。そして、この平均値は中央値よりもずっと大きく、貯蓄額の中央値は20代で0円、30代で167万円、40代で200万円となっています。金融資産を保有していない世帯の割合も大きく、大半の人は資産運用以前にそのための原資が用意できていないのです。

貯蓄をするためのポイント

それでは、貯蓄ができていない人たちは、どうすれば良いのでしょうか。貯蓄を増やすには、収入を増やすか、支出を減らすか以外ありません。まず、収入を増やす方法ですが、現在の勤務先の給与が「自分の能力に見合っておらず低い」と感じている場合は、転職を検討しても良いでしょう。時間的に余裕がある人は、副業を行って収入を増やす方法もあります。

しかし、収入を増やすことは、誰もが必ず行えるわけではありません。そうなると、支出を減らすことがとても重要になってきます。そのための一番のポイントは、現状の把握と管理を徹底することです。貯蓄ができないタイプの人は、そもそも何にいくら使っているのかを把握できていない場合が少なくありません。

まず、毎月、何にいくら使っているのかを、きちんと把握するようにしましょう。また、月々の支出額は総額を定め、貯蓄は収入があったタイミングで、別口座に分けてしまい、半ば強制的に貯蓄してしまうのも効果的です。

特に抑えやすい支出として、本当は必要ないのに、見栄のためだけに行っているような消費や過大な固定費があげられます。例えば、最近はSNSの人気が高まり、「インスタ映え」する写真を撮ろうとして、必要のない調味料や食器、高い食材などを無理して買ってしまう人もいるようです。

こうした行為を見直すだけでもだいぶ支出が改善されます。また、家賃や自動車に関連する費用、スマホ代やインターネット代などの通信費は、家計に占める割合が大きいので、自分の収入に見合った適切な賃料の家への引越しや、日々の生活に本当に車が必要かどうかを再検討し、車を手放したり格安スマホに乗り換えたり、小さなこともしっかりと検討することが重要です。

固定費の節約は資産運用を行うために原資を捻出するための鍵となります。もし将来に対する不安を持っているなら、明日からでも始めることをおすすめします。

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