不動産投資

ローン審査に影響する属性とは?融資倍率や頭金の目安とともに解説

不動産投資のローン審査で金融機関から重要視される属性とは、融資を申し込む人の勤務先や年収などの経済的・社会的背景のことを指します。不動産投資初心者にとっては、あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、金融機関が着目する属性の意味をきちんと理解しておくことで、不動産投資をスタートするのに最適なタイミングがいつなのかが見えてきます。

本記事ではローン審査に影響する属性とあわせて、融資額の年収に対する倍率や頭金の目安を解説します。

ローン審査に影響する属性とは?融資倍率や頭金の目安とともに解説

審査で重視される属性とは

不動産投資ローンの返済原資は家賃収入であり、融資審査では投資物件の収益性や資産価値が検討されます。さらに、もし空室などで家賃が途絶えた時を想定し、属性と呼ばれる申し込み者本人の経済力や社会的信用度などが審査されます。

金融機関はこの属性が優良な人ほど長いローンをしっかり返済する力があると考え、融資の可否や年収に対して何倍の額まで融資するかを審査します。属性として審査される主な項目は以下のようなものがあります。

年収

年収は高いほどローン審査で有利になりますが、額の多い少ないだけでなく、将来的に安定しているかどうかも重視されます。年収は源泉徴収票や課税証明書の提出によって確認され、自営業者や個人事業主は過去数年分の確定申告書の提出を求められることもあります。

勤務先

勤務先は上場企業かどうかや資本金、規模などが調べられます。規模が大きく売り上げの多い方が有利ですが、年収と同様に将来的な安定性も重視されます。急激に高い売上を出しているより、長く安定した利益を上げてきた企業の方が有利な場合もあります。

職種

会社員は自営業者やフリーランスに比べ安定していると考えられ、良好な属性と評価されます。また弁護士などの士業や医師、公務員なども、倒産やリストラなどのリスクが少なく属性評価は高くなります。

勤続年数

現在の会社での勤続年数も判断基準になり、長く勤めていた方が有利です。頻繁に転職を繰り返していると評価が下がる場合もあります。また転職したばかりだと、一定の勤続年数をクリアするまで融資が受けられない場合もあります。

年齢

高齢になってから融資を申し込むと属性の評価が低くなるケースがあります。仮に定年間近の申し込み者に多額の融資をすれば、その後の返済に大きな不安が残るからです。また次項の健康上の不安も増加するため、若い年齢の方が有利と考えられます。

健康状態

不動産投資ローンは健康な人でないと申し込むことができません。返済中に申し込み者が死亡や高度障害となった際に融資完済に充てる「団体信用生命保険」に、特定の疾患があると加入できないからです。

保険に加入できない人に高額な融資をするのは金融機関にとって大きなリスクです。不動産投資ローンは健康な人が利用できるものなのです。

現在の借入

申し込む不動産投資ローンの他に、返済しているローンがないかも属性判断に影響します。いくら収入が多くてもすでに毎月多額のローン返済をしていれば、不動産投資の収益が減った時に返済が難しくなる可能性があるからです。

ただし、住宅ローンは、返済原資が異なるため不動産投資ローンの審査に大きく影響するとは限りません。しかし、そうした大きなローンを組む前の方が、希望に近い条件で不動産投資ローンを組みやすくなるでしょう。

過去の返済状況

過去のローンの返済状況も属性判断に影響します。自動車ローンやカードローンなどで滞納が繰り返されていれば、金融機関としても不動産投資ローンの返済に不安を感じるからです。

ただし、どのような滞納状態が審査で考慮されるかは金融機関によって異なるため、心配な方は一度相談してみることをおすすめします。

審査で重視される属性とは

融資額の倍率と頭金の目安

年収に対する融資額の倍率は7倍程度からが多く、場合によっては10倍以上の融資を受けられることもあります。ただし融資額の倍率は物件の収益性や評価、過去の投資実績、ここまでにお伝えした属性などによって総合的に判断されるため、一律で年収いくら以上なら◯倍などと明示されていません。

頭金は購入資金の10〜20%程度が一般的ですが、こちらも物件評価や過去の投資実績、属性によっては少ない頭金でも融資を受けられる場合があります。また頭金とは別に、仲介手数料や融資諸費用、登記費用などの諸費用は手持ち金で用意しなければならない金融機関もあります。

金融機関によって属性の判断は異なる

融資額や頭金は物件や申し込み者本人の属性によって変わりますが、もっとも注意したいのがその判断基準は金融機関によって異なる点です。例えば、不動産投資ローンの金利が低い金融機関なら、できるだけ安全な融資判断をしたいと考え審査基準が厳しくなる傾向があります。

逆に融資収益に力を入れている金融機関なら、収益の可能性を重視して緩やかな判断基準で審査してくれる可能性もあります。このため単純に勤務先の規模や年収で融資額や頭金を判断するのではなく、金融機関ごとの違いを理解した上で融資額や申し込み先を考えることが大切です。

ただしこれは投資初心者の方にはかなり難しいことです。さまざまな不動産投資ローンを扱った実績のある不動産会社に相談し、最適な金融機関を一緒に探す方が安全でしょう。

サラリーマンであることを活用する

サラリーマンは自営業者などに比べ将来の安定性が高く、属性評価で有利になる可能性があります。金融機関が重視するのは長期のローンを滞りなく支払えるかどうかであり、勤めている企業が安定しているなら大きな信用の裏付けとなります。

逆に自営業者は事業の安定性に不安があると判断されれば、融資期間が短くなったり金利が割高になったり、保証人を求められたりするケースもあります。サラリーマンであることは融資を受ける上で非常に有利な条件であり、不動産投資を始める上で活用すべきアドバンテージなのです。

定年までに完済がキーポイント

不動産投資ローンを組む上でキーポイントになるのが、定年までにローンを完済することです。働いているうちにローンが終われば諸経費を除いた家賃収入が手元に残るようになり、定年してからの年金生活を補ってくれます。

しかし定年後もローン返済が残ってしまうと、万一家賃収入が減った時に返済を補うことができない恐れがあります。そうしたリスクを避けるためにも、できるだけ早めに不動産投資を始め、働いているうちに完済した方が安心です。

また40代、50代になってから不動産投資を始めようとすれば、多くの自己資金が必要になったり長期のローンが組めず毎月の返済額が大きくなる可能性もあります。不動産投資のような長期スパンで計画する資産運用は、若いうちに始めるほどリスクが少なくなるのです。

資産形成で若いサラリーマンは有利

不動産投資ローンの審査では物件の収益性や資産価値が考慮されます。しかし高額で長いローンを確実に返済してもらうため、金融機関は申し込み者本人の経済力や社会性といった属性も重視します。その点でサラリーマンは、長期に安定して返済できる可能性が高く有利な属性の一つになります。

また、若い方は長期のローンが組みやすく毎月の返済額が抑えられ、しかも定年前のローン完済が期待できるなど多くのメリットを持ちます。

資産形成というと若いうちは無縁なものと考えてしまうかもしれません。しかし、人生100年時代と言われている今、老後資金の備えはすべての人に共通する課題です。いずれ資産形成を始めるなら、投資リスクを回避しやすい条件を備えている若いサラリーマンこそ、不動産投資をスタートする最適な条件と言えます。

3年以上勤めた会社員へ。
あわせて読みたいおすすめコラム