不動産投資(管理)

投資物件の建物劣化を見分ける方法と突然の修繕費発生への対策

中古の不動産投資物件を購入する際に気がかりなのが劣化や損傷が発生した時の修繕費です。購入後にそれらの修繕が突然発生すれば、投資の収支計画が大きく狂ってしまうかもしれません。そこで今回は修繕費をあらかじめ準備できるように、建物の劣化を見分ける方法を解説します。

投資物件の建物劣化を見分ける方法と突然の修繕費発生への対策

突然の修繕は収益に悪影響を与える

建物が古く劣化していれば当然修繕が必要になりますが、それが突然発生すると投資の資金計画に悪影響を与えます。ある程度資金の蓄えがあれば良いのですが、運営し始めたばかりなら不足することもあるでしょう。そうなれば自己資金を持ち出したり、融資の返済が滞ったりする危険性もあります。

そのため堅実に物件運営を進めるためには建物の劣化をある程度見極め、修繕費用やかかる時期を見通すことが大切になります。

不具合は入居者の退出を招く

投資物件に劣化や損傷が起きると単に修理費用がかかるだけでなく、入居者の退去を招き空室となる危険性も生まれます。特に設備と内装の不具合は入居者に非常に悪い印象を与えてしまうでしょう。

設備の故障は退去の原因になる

例えば冬場にボイラーが故障してお湯が出なければお風呂に入れませんし、夏場にエアコンが故障すれば不快なだけでなく熱中症にさせてしまう危険性もあります。設備の故障は入居者に多大な迷惑をかけてしまうため、不満を持たれて退去されてしまってもおかしくない事態なのです。

内装の汚れは不快に感じる

内装の壁紙や床の劣化は入居者へ直接不便をかけるものではありませんが、見た目が悪く退去のきっかけになってしまうかもしれません。また空室になり入居を検討する人が内見したときも、見た目が悪ければ敬遠され空室が長期化する恐れもあります。

内装の劣化や汚れは生活する上で不便がないため、修繕を後回しにする所有者もいます。しかし空室を招く隠れた原因であることを十分に理解しておきましょう。

設備の劣化を事前に知るチェックポイント

近々修繕が必要になるかどうか事前に知るためのチェックポイントを、特に費用がかかりがちな設備の例でご紹介します。

エアコン

エアコンは温風や冷風が出ないというクレームや修理依頼が増えたら、交換を視野に入れておきましょう。15年を超えたあたりから劣化で出力が弱まり故障も増えてきます。逆に本体の清掃を定期的に行うと寿命は伸びやすいため、入居者に相談してクリーニングすることも検討してみましょう。

キッチン

キッチンにおいてはIHやガスコンロなどの不具合による修理依頼が増えるようになったら、交換を視野に費用を準備しておきましょう。また水栓金具の水漏れは設置から10年を超えたあたりから起こることが多く、キッチン全体の劣化のサインにもなっています。徐々に各部で故障が増えていきますので、大きな額ではありませんが備えをしておくと良いでしょう。

浴室

浴室も水栓金具からの水漏れが一つのサインで、10年を超えると劣化で発生しやすくなります。ただ浴室は水栓金具がカウンターや本体と一体になっている製品も多く、交換が簡単にできないことがあり注意が必要です。

鏡や棚なども部品が廃盤になってしまうと代替品はほとんどなく修理が困難なため、こまめに点検して早めの修理を心がけましょう。

トイレ

トイレは本体が床に接している部分から水漏れがあったら、早めの交換をおすすめします。他の水回り設備もそうですが内部で水漏れが起きていても、悪化して大量に水があふれるまで気づきにくいものです。そのためわずかな兆しでも見逃さないようにすることがポイントです。

特にトイレは汚物が漏れてしまうと匂いやシミを除去するための費用が想像以上にかかることがあります。空室になった時には必ず細かな部分まで点検することをおすすめします。

洗面化粧台

洗面化粧台も水栓金具からの水漏れが一つの目安になりますが、さらに本体の樹脂部分が日焼けで黄ばんできたらかなり劣化しているサインです。樹脂は古くなると硬化して非常に割れやすくなるため、黄ばみがひどかったり細かなひび割れがあったりする場合は、本体の交換が近いと思っておきましょう。

またミラーの割れは始めは小さくても徐々に大きくなっていきます。非常に危険なので割れが小さいうちに交換するようにしましょう。

水回りの排水

水回り設備の排水の流れが悪いときは、配管の汚れや詰まりが原因のことが多く清掃で改善されます。ただし対処が遅れると水があふれてしまい、床にシミを作ったり下の部屋に被害を及ぼしたりする恐れがあります。入居者から流れが悪いという連絡があったら、すぐに専門業者に点検と清掃を依頼するようにしましょう。

設備の劣化を事前に知るチェックポイント

修繕履歴を確認し見通しを立てる

購入前の物件で入居者がいると部屋の中の状態を確かめられない場合もあるでしょう。そこで物件購入の前にぜひ確かめたいのが、過去の修繕を記録した修繕履歴です。これは建物の管理組合や管理会社が保管しており、仲介会社を通じて問い合わせれば事前に見ることができます。

これを見ると建物の状態を把握でき、今後の修繕の見通しをある程度立てることができます。さらに費用の明細や工事内容が記録されていることもあって、購入後の資金計画の大きな参考になるはずです。どの物件でも必ず記録されているとは限りませんが、仲介会社は依頼があれば有無を確認する義務があるので、購入を検討する際はぜひ聞いてみるようにしましょう。

修繕履歴で確かめたいポイント

ここからは突然修繕費がかかってしまうことを防ぐために、修繕履歴でチェックしておきたいポイントを紹介します。

設備の設置年数を確認する

修繕履歴では設備の設置年数を確認しましょう。もしエアコンやボイラー、IHなどの機械設備が設置から15年以上経過しているなら、近いうちに交換になる可能性があります。それまで順調に作動していても突然故障することもあるため、修繕費用の準備をしていた方が賢明です。

修理が頻繁かどうか確認する

建物の同じ箇所を頻繁に修繕しているかどうかも修繕履歴で必ず確認しましょう。年数がそれほど古くなくても修理やクレームが多ければ再発する可能性があり、費用がかかってしまうかもしれません。特に雨漏りの有無は最も確実に確認したい部分です。建物修繕の中でも雨漏りは原因特定がかなり難しく再発性が非常に高いためです。

大規模修繕の履歴

大規模修繕と呼ばれる建物の外壁や屋根などの修繕が適切に行われているかも、しっかりと確認しましょう。区分マンションを購入する際はその部屋の状態にばかり目が向きがちですが、大規模修繕が適切に行われていないと外壁や共用廊下の損傷が発生しやすくなります。こういった物件は見た目が悪く入居者が集まりにくくなるからです。

また屋根が劣化したままなら雨漏り被害が起きる可能性もあり、入居者に被害を及ぼす事態も考えられます。建物全体としても良好な状態であるかは売却時の価格にも影響するため、大規模修繕の履歴は必ず確かめるようにしましょう。

修繕済み物件で突然の出費を防ぐ

修繕が終わっている物件を購入したり、あるいは購入と同時に修繕を行ったりすれば、突然修繕費がかかることを防ぎやすくなります。内装や設備が新しければ当面は修繕費がかかる心配もなく、さらに見た目も良いため入居者が集まりやすく空室回避にもつながります。

初期費用はかかりますが購入時であれば融資にその修繕費用を含められる物件もあり、手持ち金を使わずに新しい状態の物件にすることもできます。

あるいは内装や設備をグレードアップし入居者層に合わせたデザインにリノベーションすると、物件の価値が高まりより多くの収益が期待できます。特に需要は安定しているものの競合の多い都心では差別化にもなるため、検討する価値は大いにあるでしょう。

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