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不動産投資
家賃収入は圧縮したい。でも、これは経費で落ちません!
不動産投資で多額の家賃収入があった場合、経費が多ければ所得が減って節税になります。しかし、あれもこれもと経費計上をしすぎてしまうのも考えものです。なぜなら、中には経費として落ちないものもあるからです。節税したいからといって、なんでもかんでも経費計上していると税務署で否認されることもあります。そこで今回は「何が経費となり何が経費とならないのか」について再度整理をしてみました。
経費で落とせるものはこんな費用
経費となる費用は、主に以下のような項目があります。
No. | 経費内容 | No. | 経費内容 | No. | 経費内容 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 管理会社への業務委託費 | 11 | 不動産取得税 | 21 | セミナー受講費 |
2 | 管理費 | 12 | 登録免許税 | 22 | 書籍・新聞代 |
3 | 修繕積立金 (管理組合が存在するマンションの区分所有者) |
13 | 印紙代 | 23 | 従業員の給与 |
4 | 修繕費 | 14 | 司法書士報酬 | 24 | 借入金の利息 |
5 | 消耗品費 | 15 | 不動産会社への仲介手数料 | ||
6 | 減価償却費 | 16 | 広告宣伝費 | ||
7 | ローン金利 | 17 | 貸倒引当金 | ||
8 | 火災保険料 | 18 | 交通費 | 9 | 地震保険料 | 19 | 通信費 |
10 | 固定資産税 | 20 | 交際費 |
これらはすべて不動産賃貸業を行うために必要な費用とされています。
ローンの元本、不動産に関係のない税金、宅建資格、観光旅行はダメ
上記の項目について補足すると、物件を購入するための借入金の金利は経費になりますが、借入金の元金は経費となりません。なぜなら、元金は減価償却費で計上しているからです。経費になる各種税金は、すべて不動産投資に関係があるものである必要があるため、所得税や住民税、法人税など関係がないものは経費となりません。
また、税金が経費になるとはいっても延滞税や加算税などはペナルティですから経費計上できません。オーナーの中には、不動産について詳しくなるために「宅地建物取引士」「マンション管理士」「管理業務主任者資格」などの資格を取得する人がいますが、不動産賃貸業には不要のため、資格取得のための受験費用や参考書代なども計上することができません。
遠方の物件を見に行くために、交通費や宿泊費が発生した場合やマイカーを使用して発生するガソリン代や高速代、駐車場代などは経費計上できます。ただし、内覧のついでに現地で観光旅行をした場合などは、不動産とは関係がないため除外しなければなりません。例えば業務中であれば、事故を起こして自走できなくなりレッカー移動代がかかった場合も経費計上可能です。
ただし、スピード違反や駐車違反をした際の反則金や、人身事故を起こした際の罰金は対象外になります。交通費や交際費は領収証がもらえないものがありますが「金額」「日付」「時間」「支払先」をメモして客観的に証明できる書類を作っておけば、領収証がなくても経費計上は可能です。忘れないうちにやっておきましょう。
国税不服審判所が否認した事例
最後に、2011年に不動産投資の経費に関して国税不服審判所が経費計上を否認した裁決事例を紹介します。
- 住宅の専有面積のうち2部屋分40平方メートルもの広さを、常時事務所として使用していたとは認められない
- インターネット利用料と電話代は業務上必要ではない
- スーツ代、自転車代、コンタクトレンズ代などは不動産賃貸業と関連がない
- 妻が行っていた電話の取り次ぎや郵便物の発送などは日常生活の一環であり、不動産事業を専業として給与を受け取るには合理的でない
ここに挙げたようなものは、経費計上しないほうが無難かもしれません。ただし、これらが否認された理由は、「賃貸経営との関連性を客観的に示すことができなかったから」と推察され、税務調査が入った際にきちんと理由が説明できるのであれば、一律に全部がダメというわけでもないでしょう。賃貸経営上、必要性のある経費であればきちんと計上できるのです。
法人化すれば計上できる経費が増える
不動産投資に弾みがついて複数の物件を持つようになると、法人化を考える人もいるでしょう。法人化のメリットの一つは、経費の幅が広がることです。所得税法基本通達によると、不動産投資で事業規模と見なされるのは「おおむね5棟10室以上」とされています。これ以上の規模になれば法人化が可能ということです。法人化することで、上述した従業員への給料や回収不能が確定した賃料未回収分を貸倒損失として計上できるようになります。
今回は、経費で落とせるもの、落とせないものについて解説しました。不動産所得を確定申告するときは「賃貸経営に関係があるかないか」をきちんとチェックして計上するようにしましょう。税務調査で貴重な時間と労力を割くことを回避できるはずです。