不動産投資

賃貸物件購入の契約から引き渡しまでの流れと、注意すべきポイント

不動産投資で賃貸物件をはじめて購入する人は、全体の流れが見通せず不安を感じることもあるでしょう。契約前の買付から最後の引き渡しまでひと通りの流れを把握しておくと不安はかなり解消されるはずです。今回は、各ステップを注意点とともに解説します。

賃貸物件購入の契約から引き渡しまでの流れと、注意すべきポイント

買付〜融資事前審査〜契約

まずは初期段階として契約までの流れを説明します。

買付申込書を書く

買付申込書とは、売り主に物件を購入する意思を伝える書類です。以下の主要な事項を記入し、仲介の不動産会社を通じて売り主に渡します。

  • 物件名
  • 物件の所在地
  • 買付希望額
  • 手付けの金額
  • 手付けの支払い方法
  • 融資の有無
  • 買付申込書の有効期限
  • 自分の住所と名前

不動産会社が雛形の書類を持っており実際にはその項目を埋める形で記入します。買付希望額は「販売価格をそのまま書く」「値下げをした希望額を書く」などどちらでも可能です。売り主が記入した内容で了承をすれば予約が成立します。ただ値引きが受け入れられるかどうかは売り主次第といえるでしょう。問い合わせの多い物件や特に地主が売り急いでいない物件では、値引きに応じないこともあります。

売り主の意図を理解しているのが不動産仲介会社の担当者のため、買付希望額や手付けの金額、期限などをよく相談しながら記入するようにしましょう。

融資の事前審査を行う

買付申込書が了承された後は、銀行に希望の融資をしてもらえるかの事前審査を申し込みます。申し込みに必要な書類は非常に多いため、買付申込書を書いた時点で銀行に問い合わせ準備を進めておくと良いでしょう。買主の属性にもよっても異なりますが、審査結果が出るまでに2週間程度はかかると考えておいたほうが無難です。

良心的な売り主であれば買付の期限内は他の商談を断るため、早めに融資審査の結果を伝えたほうが安心してもらえます。

売買契約を結ぶ1

融資の事前審査が承認されたら速やかに売買契約に進みましょう。契約にあたって主に注意をしておきたいのは以下の3点です。

  • 契約書や重要事項説明書などを事前に送ってもらう
    売買契約書や重要事項説明書、その他の物件資料を契約当日にいきなり説明をされてもその中身を初心者が理解するのは難しいです。そのため仲介の不動産会社に写しでも良いので契約書などを事前に送ってもらい記載事項にしっかりと目を通しましょう。

分からないことがあれば必ず質問をして、納得できる答えがもらえない場合は各都道府県にある宅建協会の相談所など中立な立場の専門家に問い合わせをしてみると良いでしょう。

  • ローン特約が付けられているか
    契約前に行う銀行融資の事前審査はあくまで仮のため、契約後の融資申し込みで行われる本審査では、承認されないケースもあります。この際に契約を白紙に戻し手付金を返還してもらうことを約束するのがローン特約です。ローン特約が契約書にしっかりと明記されているかについても確かめておきましょう。
  • 諸費用を再度確かめる
    事前に仲介の不動産会社から渡される見積書の諸費用項目について、目的やどのタイミングで用意するかを確かめておきましょう。

【代表的な諸費用】

  • 印紙代
  • 仲介手数料
  • 名義変更登記の費用
  • 司法書士報酬(登記を依頼する場合)
  • 固定資産税の日割り精算額

他にもさまざまな諸費用が記載されていることもありますが、そちらも目的と支払いのタイミングを確かめておくようにしましょう。また後日精算とされ金額が未記載のものがあれば契約までに相場価格など目安の金額を聞いておくことをおすすめします。なぜなら後で思わぬ高額費用を請求されると資金計画に狂いが生じるからです。

売買契約を結ぶ

融資申し込み~金銭消費貸借契約~決済

契約後は銀行とのやり取りが発生しますが、融資を利用しない人はすぐに決済へ移ることができます。

融資申し込みを行う

事前審査を受けていた金融機関に融資の申し込みを行います。融資の申し込みで必要な書類は非常に多く、本業がある人の場合は準備に大変時間がかかってしまうかもしれません。しかも行政など平日の日中にしか取りにいけないような書類もあります。テンポよく準備をしたいなら、契約の前に金融機関へ必要なものを問い合わせておき契約を結んだその足で書類などを集めると効率が良いでしょう。

金銭消費貸借契約を結ぶ

融資の申し込みが終わり本審査でも承認が下りた後は、金融機関と金銭消費貸借契約を結びます。通常は再び銀行に赴いて手続きを行い用意するものは印鑑や身分証明書などで本申し込みほど多くはありません。追加の確認事項などがなければ30分程度で終了します。融資資金が銀行から振り込み可能となる実行日を確かめ、それを不動産会社へ連絡して決済の日程を調整してもらいます。

決済を行う

決済とは手付金以外の物件残金と諸費用を支払うことで、融資を受けていればその銀行の1室を借りて立ち合いを行います。立ち合いには売り主(仲介の不動産会社に一任で同席しないこともあり)、仲介不動産会社の担当者、登記を行う司法書士、銀行融資の担当者が同席しますが、物件残金や諸費用を振り込みで精算していくため、平日の昼間に行われます。

しかし万一の不備を想定して午前中の早い時間から開始するのが一般的です。また決済時に諸費用を現金で精算することもあるため、事前に不動産会社に確かめ決済を行う銀行の口座に預け入れをしておきましょう。

引き渡し~登記

振り込んだ残金などが相手方の銀行に着金したことが確認され、決済が完了すると引き渡しに移ります。同時に司法書士へ物件の登記に必要な書類を渡し手続きに取り掛かるのが一般的です。

引き渡しを受ける

物件の引き渡しにおいて売り主から受け取る主なものは以下の通りです。

  • 玄関の鍵
  • 管理規約
  • 分譲時の図面やパンフレット
  • 設備の説明書や保証書(物件内に保管されている場合あり)
  • ポストの鍵
  • 個別の物置などがあればその鍵
  • 購入前から賃貸で入居者がいる場合は賃貸借契約書

実際には物件によって受け取るものが変わるため、事前に仲介不動産会社に一覧表を作ってもらいチェックをしながら受け取ることをおすすめします。

登記を行う

物件の名義変更と融資の抵当権設定の登記を決済に同席していた司法書士が行います。決済の完了を見届け必要な書類を預かり登記の手続きに移ることが一般的です。通常は取り掛かりから約2~3週間ですが、登記を行う法務局の繁忙具合によっては1ヵ月程度かかることもあります。登記が終わると司法書士から連絡があり「登記識別情報通知」という書類が引き渡され取引は完了です。

スムーズに手続きをするには早めの確認と準備がポイント

賃貸物件購入の全体的な手続きをおさらいすると以下のようになります。

  • 買付〜融資審査~契約
  • 融資申し込み~金銭消費貸借契約~決済
  • 引き渡し〜登記

一連の手続きをスムーズに行うためのポイントは、早めの確認と準備です。特に融資の事前審査や申し込みで用意する書類などは普段あまりなじみのないものが多く、しかも平日の日中に出向かないと取得できないものもあります。そのため本業がある人にとっては準備に時間がかかってしまいがちです。

そこで必要なものは早めに銀行や不動産会社に確かめて事前準備を行い、次のステップへ早く進めるよう心がけましょう。不動産売買では取引完了までの間、さまざまなアクシデントが発生することがあります。売り主が個人の場合、親族などからストップがかかったり、もし高齢であれば健康上の問題で中断したりする可能性もあるでしょう。

トラブルなく売買を成立させるために、できるかぎり素早く買付から引き渡しまでを完了させるように意識しておくと安心です。

なお、売主が法人の場合は上記のようなトラブルは少ないですが、買主であるあなた自身の就業状況や健康上の変化によって融資の内定が取り消されてしまうことも起こり得ます。金融機関との交渉にも詳しい不動産会社にサポートしてもらうことで、せっかくのチャンスを逃さないようにしたいものです。

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