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不動産投資
不動産投資の成功は「経費」について正しく理解することから
不動産投資で家賃収入を得ると納税の義務が発生します。その際、賃貸経営で生じる様々な支出を経費として計上することで利益を圧縮し節税することが可能です。今回は、不動産投資を成功させるために押さえておきたいポイントのひとつである経費について解説します。
不動産所得と経費
不動産投資で所得が発生したらその分だけ所得税を払うことになります。年間の家賃収入から経費を差し引いた額が課税対象となり、所得が高いほど税率は上がる仕組みとなっています。そのため、家賃収入を増やすと同時に必要な経費を適切に計上することで不動産所得を抑えることが重要になってくるのです。
なお、サラリーマンオーナーで不動産所得が赤字になってしまった場合は、会社からの給与所得と「損益通算」する確定申告を行うことで源泉徴収されていた所得税の還付を受けることが可能です。
こういう費目は計上できる
不動産投資において経費として計上できる費用は主に以下の23項目とされています。
管理会社への 業務委託費 |
管理費 | 修繕積立金 | 修繕費 |
消耗品費 | 減価償却費 | ローン金利 | 火災保険料 |
地震保険料 | 固定資産税 | 不動産取得税 | 登録免許税 |
印紙代 | 司法書士報酬 | 不動産会社への 仲介手数料 |
広告宣伝費 |
貸倒引当金 | 交通費 | 通信費 | 交際費 |
セミナー受講費 | 書籍・新聞代 | 従業員への給料 |
これらはすべて不動産賃貸業を行うために必要な費用とされています。
否定された経費の例
不動産投資の経費としてふさわしくないものは判例として明示されており、以下の5つはそれに当たります。
- 住宅の専有面積のうち事務所として2部屋分40平方メートルの広さ
- 住宅における水道光熱費の50%の按分
- インターネット利用料と電話代
- スーツ代、自転車代、コンタクトレンズ代
- 妻が行っていた電話の取り次ぎや郵便物の発送対応に対する給与
この5つは経費として計上できるか判断するうえで一つのガイドラインになるでしょう。ただし不動産賃貸業に限らずいえることですが、ビジネスにおいて経費であるかないかの線引きは曖昧な部分もあります。判断が難しいものは、事前に税理士や税務署に確認するとよいでしょう。
経費が200万円あると所得税はこんなに違う
先述した通り所得税は所得が高いほど税率が上がる仕組み(累進課税)となっています。税率は以下の通りです。
課税対象となる所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万円~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円~899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円~1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円~3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
出典:国税庁
例えば不動産投資の経費が200万円あった場合、計上するかしないかで納税額がどの程度変わるのか計算してみましょう。会社の給料が500万円、不動産投資で200万円の収入を得ている人の総収入は700万円です。仮に経費を計上しなかった場合、所得額はそのまま700万円となるため上記の課税額と控除額を適用すると納税額は700万円×23%-63万6,000円=97万4,000円となります。
経費200万円を計上した場合は所得額が500万円となるため、500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円です。経費の計上の有無での差額は97万4,000円-57万2,500円となり、納税額は40万1,500円も変わります。
会社の給料が900万円、不動産収入が200万円あるケースでも考えてみましょう。この場合、総収入は1,100万円になります。不動産投資の経費が100万円あったとすると総所得額は1,000万円となり、納税額は1,000万円×33%-153万6,000円=176万4,000円です。一方、経費が300万円あったとすると所得額は800万円になり税額は800万円×23%-63万6,000円=120万4,000円となります。
このように経費計上するかしないかで大きな差が出てしまうのです。実際は住民税や健康保険料なども影響するため、納税額はさらに変わってくると思っていた方がいいでしょう。
このようにきちんと経費計上することで節税ができるのは大きなメリットです。不動産投資を始めてからの数年は、物件購入費用が減価償却費として大きく経費計上できるため、よりメリットが大きくなります。経費はすべて確認して正しく計上するようにしましょう。