不動産投資(管理)

賃貸物件の初期費用を減額交渉されたときの対処法

賃貸物件を借りる人は一般的に単身者が多く、20~30代の学生や若手の社会人の場合、敷金や礼金といった初期費用の捻出に苦労するケースは少なくありません。入居してくれそうな人から初期費用の減額を切り出されたら、オーナーはどう対処すればいいのでしょうか。

賃貸物件の初期費用を減額交渉されたときの対処法

入居者が用意する初期費用の種類と相場

物件を借りる際に必要になる初期費用は、主に以下のとおりです。

  • 敷金:家賃の1~2ヵ月分
  • 礼金:家賃の1~2ヵ月分
  • 入居月の家賃:家賃÷月の日数×居住日数
  • 翌月の家賃:家賃1ヵ月分
  • 仲介手数料:家賃の0.5~1ヵ月分
  • 火災保険料:2~3万円(2年契約)
  • 保証料:連帯保証人の代わりに保証会社を利用した場合、家賃の50~100%(1~2年毎に更新料を支払う)

仮に都内にある家賃10万円の物件に月の半ばに入居する場合、上記をベースに考えると敷金10万~20万円、礼金10万~20万円、入居月の家賃5万円、翌月の家賃10万円、仲介手数料5万~10万円、火災保険2万~3万円、保証料5万~10万円が発生し、合計42万~78万円の資金の準備が必要になります。

オーナー次第ですが、物件によっては入居前にクリーニングや消毒を行うための費用を徴収されることもあり、本来は退去時に発生するカギの交換費などを先に支払う場合もあります。

初期費用のほかに引越し代も必要です。新しい家具や家電の購入費用がかかることもあるでしょう。これらの費用は特に若い世代の人にとっては大きな負担になるため、敷金礼金を0円にするなど入居率を下げないための工夫をしているオーナーも少なくありません。

優良物件なら値下げの必要はなくなる

とはいえ、賃貸経営もビジネスです。価格設定が妥当なら減額は断っても問題ありません。1~3月の繁忙期ともなると、都内の優良物件なら借り手はすぐに見つかることがほとんどでしょう。物件を購入するときは、とにかく良い物件を確保することが大切です。

また「敷金20万円は高いから、とにかく半額にしてほしい」などと明確な理由を述べず、むやみに値下げを要求する人には慎重に対応しましょう。日々の生活を営む上で欠かせない住居を確保するのに、その資金繰りで困っているようでは、入居後にトラブルを起こすかもしれないからです。

一方で「とても気に入ったので、礼金を減額してくれたら明日にでも入居します」というように、具体的かつスマートに交渉してくる人なら、前向きに検討してもいいかもしれません。

優良物件なら値下げの必要はなくなる

敷金・礼金は、シーズンや空室率で柔軟に対応

大学周辺エリアはライバル物件が多く、入居者の経済的な状況も似通っています。同じような立地、広さ、築年数ならば、初期費用の金額設定によって入居者の見つけやすさは変わるでしょう。

条件が劣っていれば、結局初期費用で差別化を図らざるを得なくなります。なかなか空室が埋まらず、どうしても入居者が必要になったときは、1~3月の繁忙期以外は敷金・礼金をゼロにするといった決断が必要になることもあるかもしれません。そもそも礼金は昔からの慣習であり、最近は徴収しない物件も徐々に増えてきています。

また不動産会社に支払う仲介手数料は、これまで入居者が上限額を全部負担するケースが多かったのですが、場合によっては手数料を安くしてあげることも可能かもしれません。どのようなことができるのか、不動産会社と相談してみるといいでしょう。

大切なのは、いろいろと打つ手を考えることです。エアコンを整備したり、家具付きにしてみたりと、初期費用を下げる前にできることはあります。もちろんターゲットによっては、初期費用を下げることが効果的かもしれません。入居希望者が初期費用の減額を求めてきたときは、相手が置かれている状況や経済事情、ライバル物件の動向をよく見極めた上で、頭から否定するのではなく柔軟に対応するようにしましょう。

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