不動産投資

あなたは準備していますか?不動産の出口戦略

不動産投資を行う場合、「出口戦略」をしっかりとイメージしておくことが重要になります。不動産投資における出口戦略とは、「所有物件をどのタイミングでどのように手放すか」という不動産投資の「止め時」や「止め方」のことです。たいていの場合、「不動産を買い換える」「手放して投資を終了する」といった出口を迎えます。

また不動産売却時にはさまざまな税金がかかる可能性があるため、この点も事前にしっかりと押さえておくと安心でしょう。本記事では不動産投資における出口戦略について解説します。

あなたは準備していますか?不動産の出口戦略

不動産投資における出口戦略の重要性

不動産投資で得られる利益は「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」の2種類があります。不動産投資におけるインカムゲインとは毎月の家賃収入のことです。一方キャピタルゲインとは購入時よりも高く売ることで得られる利益のことをさします。いくら毎月の家賃収入がたくさんあったとしても、売却時に大きく値下がりしてしまうようでは、トータルでマイナスの投資になりかねません。

不動産投資では「インカムゲイン」「キャピタルゲイン」の両方を意識した出口戦略が重要になってきます。一般的に建物が古くなれば資産価値は落ちていくため、最終的な売却価格が購入価格よりも下がってしまうことを前提に、家賃収入との合算で収支がプラスになるような賃貸経営を目指すことが賢明です。

不動産売却時にかかる税金

不動産売却時に利益が出た場合、その売却益に対して譲渡所得税が発生します。譲渡所得税の計算式は以下の通りです。

  • 譲渡所得=譲渡収入金額- (取得費 + 譲渡費用)-特別控除
  • 税額=譲渡所得×税率 (所得税・住民税)

家賃から得られる所得は給与や事業所得と合算された総額で適用税率が決まりますが、譲渡所得には個別に税額を計算する分離課税方式が用いられ、税率は不動産の所有期間に応じて決まります。譲渡所得に適用される税率は、給与所得や事業所得の税率とは別と覚えておきましょう。

  • 譲渡した年の1月1日現在において所有期間が5年以下の場合、所得税30.63%・住民税 9%の合計39.63%(復興所得税を含む)
  • 譲渡した年の1月1日現在において所有期間が5年長の場合、所得税15.315% 住民税 5%の合計20.315%(復興所得税を含む)
不動産売却時にかかる税金

譲渡所得税の控除や特例

マイホームを売却する場合は、譲渡所得から3,000万円の特別控除が受けられますが、他人に貸している投資用不動産では特別控除は受けられないため注意が必要です。ただし不動産を売却したお金でまた新たな投資用不動産を購入する場合は、以下のような条件を満たすことで「特定事業用資産の買換え特例」の適用を受けられる場合があるので検討してみましょう。

  • 不動産の所有が10年超
  • その取得の日から1年以内に買換資産を事業に組み入れる

条件を満たせば譲渡所得を20~30%圧縮することが可能です。(不動産があるエリアなどによって圧縮率は異なります)ただしこの制度では税金が免除されるわけではありません。あくまでも「繰り延べ」されるだけという点はしっかりと押さえておきましょう。

例えば将来買い替え資産を売却して譲渡所得が生じた場合は、前資産の取得費を引き継ぐため最終的な納税額が少なくなるというわけでありません。しかし有利な条件で買い替えできるため、不動産投資の収益性には大きく貢献してくれるはずです。

上手な出口戦略の方法

最後に上手な出口戦略の方法について考えてみましょう。不動産投資の出口戦略は「いつ、どのような不動産を、どのように購入したか」で決まります。例えば将来大幅に値下がりする可能性の高い新築マンションを購入した場合、「投下した資本を回収できるまで賃貸を続ける」「入居者が入らなくなったら自分や家族で最後は利用する」といった選択が可能です。

一方で売却の見込めない過疎地での物件購入は、「最後は終のすみかにする」という気持ちがある場合以外は、十分に注意する必要があります。人口の減少が進む日本では以前のように全国的な地価の上昇はあまり期待できないため、東京のように今後も地価が維持されそうなエリアの不動産を選択するのが賢明でしょう。

また、出口戦略を練る際にあわせて考えておきたいことのひとつにリノベーションがあります。不動産価値をバリューアップさせる効果があるリノベーションによって、あなたが経営してきた不動産の資産価値を高めることができれば、最終的な出口戦略の条件はクリアしやすくなるはずです。不動産は長期投資が前提のため、最終的に収益を上げられるよう出口戦略をしっかりと持って臨みましょう。

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